2021年7月3日に熱海市を大規模な土石流が襲いました。
リゾート地としても人気の高いこの熱海のエリアで、このような大規模な土石流が起きてしまったことはとてもショックでした。
そしてこの土石流の原因は盛り土だったと言われています。
熱海のように海が見える見晴らしの良い場所に物件を持ちたいと思う不動産投資家もいると思います。
今回は熱海市の土石流の原因などを解説しながら、盛り土への知識を深めていきたいと思います。
盛り土とは
盛り土とは宅地造成などで土地を利用しやすくするために、元々は斜面である所に土を持って地盤を高くすることを指します。
逆に斜面を切り取って新たな地面を作ることは切り土と呼ばれます。
やはり人工的に作られた土地ではありますので補強工事なども行われるものの、一部では地震の揺れなどで崩落してしまったり液状化の被害が発生したりすることがあります。
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熱海の土石流が起きた原因
今回の熱海の土石流は、長雨によって地面の中に雨が染み込み、その地下水がうまく流れていかず、水圧が高まって上部の盛り土部分が崩壊したのではないかと考えられています。
盛り土を行う際は以下のようなルールが決められています。
- 30センチの層ごとに締め固める
- 勾配は30度以下
- 底面に排水管を設置する
雨が降ったりするとどうしても盛り土の中に水分が溜まってしまいますので、その水分をきちんと吐き出すために排水管を設置することが義務付けられているのです。
しかしその排水管が詰まってしまったりそもそも地下水が通る場所か何かしらの障害物によって通りづらくなってしまったりすると、そこに水が溜まってしまってエネルギーが発生してしまうということですね。
今回の土石流も映像を見た方はお分かりかと思いますが、土と一緒に多くの水が流れていました。
これは盛り土の中に溜まっていた水なのではないかと思います。
また後の全国紙社会部デスクによると、以下のような記述がありました。
「(中略)09年には県の土採取規制条例に基づき、盛り土を15メートル、約3万6千立方メートルとする変更届を出したのですが、実際の高さは3倍超の約50メートル、容積も1・5倍の約5万4千立方メートルにのぼったとみられています」
(熱海土石流、盛り土業者の社長が「自分は悪くない」 「逃げる金がない」と周囲に相談も)
届出の内容と実際の盛土部分は随分と差があることがわかります。
土石流のほとんどが盛り土だったということです。
盛り土の土地、何を見ればいい?
こういった危険な土地を購入しないために、どのようなものをチェックすれば良いのでしょうか?
ハザードマップ
まずはハザードマップを見ることが大切です。
災害にどれくらい強い土地なのかということを調べるのは不動産を購入する上では必須となります。
ただ今回の熱海の土石流があったエリアに関しては建物の倒壊の恐れがある赤いエリアではなく、危険性が高いことを示す黄色いエリアだったとのことでした。
ハザードマップを見るだけでは情報が少ないことがわかります。
土地の成り立ち
できればその土地がどのように成り立ったのかということまで調べられると良いです。
土石流が起きた場所はそもそも土石流が起きてできた土地であることが多く、土石流によってできた土地は地盤もあまり強くはありません。
土地の成り立ちから理解することができると自ずとどの土地を買えばよいのかということも絞れてくると思います。
土地分類図
国土交通省が発表している都道府県の土地分類図というものがあります。
土地の保全や土地利用などの計画策定のために作られているものですが土地がどれだけ自然要素で作られているのかということがわかります。
国土交通省の重ねるハザードマップ
2020年盛り土が行われた大規模造成地の分布サイトとして重ねるハザードマップというものが国土交通省より公表されています。
こちらも一緒に見てみると参考になるかと思います。
関連記事:不動産投資で見極めたい災害に弱い家
盛り土エリアの物件を購入する時の保険について
盛土エリアの物件を購入するときにどのような保険をかけておけば良いのかということを知っておくとさらにリスクヘッジができるかと思います。
水災補償に入っているか
今回の熱海の土石流のような災害が起きてしまった場合大切になってくるのが水災補償に入っているかどうかということです。
火災保険は火災以外にも様々な自然災害に対して使うことができる保険ではありますが、今回の土石流に関しては水災補償に入っていることによって初めて保険が適用になるというケースが多いと思います。
保険会社によってどこまでが保証範囲として含まれるのかというのは異なりますので、すでに保険に加入している方は保証範囲について今一度見直しておくと良いと思います。
家賃補償収入特約
保険会社によって名前が異なる場合がありますが、このような災害があって家が倒壊してしまった場合、復旧まで入居者を募集することはできませんからその間の損害として考えられる家賃収入を保証してくれるのが家賃補償収入特約です。
どれくらいの期間を保証してもらうかによって保険額も変わります。
災害が起きそうで危険なエリアだと思うのであればこのような特約に入っておいても良いかもしれません。
ただもちろんそれだけ出費が増えるということにはなりますので投資として本当にその保険に入っておいた方が良いのかどうかということはきちんと考えたいところです。