売買知識

不動産投資の利回りの最低ラインはどうやって判断する?

不動産投資を行う時に、利回りを基準にして物件を選ぶことがほとんどだと思います。

利回りをきちんと計算して物件を選ばないと、思っていたよりも利益がでず、それどころか赤字が続いてしまう、ということもあるでしょう。

 

今回は不動産投資における利回りの最低ラインについて、解説してみたいと思います。

 

不動産利回りとは?

 

そもそも利回りというものがどういったことなのか、改めて確認しておきましょう。

 

利回りとは

投資額に対して年間でどれくらいのリターンがあるのか、ということを数字で表したものです。

 

細かいことを抜きにして、シンプルに考えるなら

例えば「利回り25%」なら、投資金額を4年で回収することができるよ、という意味。

これを具体的な数字で表すと、1000万円の物件を購入して、利回りが25%となっていれば

年間で250万円儲かる予定で、4年物件を持ち続ければ元金である1000万円を回収できて、5年目からはプラスになってくるよ、という意味です。

 

これはわかりやすくするために、あくまでイニシャル・ランニングコストを考えないで、単純計算した時の場合の話です。

 

ですが実際の不動産投資は、そんな単純なものではありません。

イニシャル・ランニングコストもかかるし、考えなくてはいけないことは色々あります。

関連記事:不動産売買の申し込みをしてからキャンセルした時にかかる違約金

 

利回りの計算方法は色々ある

 

不動産投資物件を探している時、利回りだけを見ていると

「こんなに高い利回りの物件があるの?」と思うことも少なくないんじゃないかなと思います。

しかし利回りには計算方法がいくつかあります。

  • 表面利回り(グロス利回り)
  • 想定利回り
  • 実質利回り(ネット利回り)

これらについてそれぞれ説明してみます。

表面利回り(グロス利回り)

 

表面利回りはグロス利回り、と言われることもありますが

この表面利回りは「満室が続いた場合」で考えられています。

 

投資物件が満室のまま維持できた時の利回り、ということなので

言い換えれば「最高の状態で維持できたらこれくらいの利回り」というような感じですね。

 

計算方法としては

(年間家賃収入)÷(物件購入価格)×100=(表面利回り)

となります。

満室がずっと続くわけではないので、あまり期待しない方がいい数字と言えるかもしれません。

しかし、不動産投資ポータルサイト(ex.不動産投資連合体・楽待など)に掲載されている利回りはこの表面利回りであることが多いです。

注意事項ですが、売手である投資家は「見かけの利回り」を高く見せるために想定賃料を高めに設定している場合もあります。

投資家としては相場観から「利回りの引き直し」をするべきです。

 

想定利回り

 

想定利回りとは、表面利回りとは少し違って、計算式は

{年間収入(想定)} ÷(購入価格)×100=(想定利回り)

となります。

 

ここで言う想定、というのは

今は空き家だけど賃貸として貸し出そうと考えている場合、どれくらいの収入が見込めるか、などを想定収入として考えることを言います。

 

実際は、貸し出してみないとどれくらい人が入るかというのはわからないので

想定利回りよりは実際の利回りは低くなることもあります。

 

実質利回り(ネット利回り)

 

不動産投資では必ずランニングコストがかかってきます。

 

築古物件は利回りが高い物件も多いですが、その分メンテナンスをしなくてはいけない、だとか

税金や仲介手数料などもあります。

 

そういったランニングコストを踏まえた上で計算するのが実質利回りです。

 

計算式としては

(年間収入-年間支出)÷(物件購入価格+購入時の諸経費)×100=(実質利回り)

となります。

 

表面利回りに比べて、より具体的な利回りを計算することができるので

この実質利回りはしっかりと計算して物件を検討した方が良いでしょう。

 

ランニングコストとして考えられるものは

  • 管理費・修繕積立金
  • 修繕費・リフォーム代
  • 火災保険・地震保険
  • 固定資産税
  • 不動産取得税
  • 印紙税
  • 仲介手数料

など、細かく考えれば様々なものがあります。

関連記事:賃貸物件の畳の張替えはいくらかかる?誰が負担する?

 

東京と地方の物件の差

 

さて、利回りの色々について説明してみましたが、

「利回りの最低ライン」を考えるのにもう一つ頭に入れておきたいことがあります。

 

それは東京と地方の物件の差です。

 

利回りをみながら不動産ポータルサイトなどで物件を探していると、東京に比べて地方の物件の方が利回りが高い、と感じると思います。

地方だと、40%の超高利回り築古物件もあります。北海道の郊外にも多いですね。

 

実は不動産は、東京の方が利回りが低く、地方であるほど利回りが高くなります。

 

地方に比べると東京の方が家賃相場は若干高いですが、家賃相場に大きな差があるのではなく、

不動産購入価格が東京と地方では大きく違うんですね。

 

似たような物件でも、東京と地方では販売価格が数倍違うことがよくあります。

 

なので東京と地方では利回りが大きく変わってくるのです。

 

最低でも10%、は本当?

 

色々な不動産に関するサイトや書籍などでは、

不動産利回りの最低ラインは10%が目安、と書いてあることが多いです。

 

数字を目安にするのは確かに一つの基準になるとは思いますが、

物件の条件によって利回りというのは大きく変化するもので、利回りの数字だけをみて選ぶのは正直、危険なのではないかと思います。

 

一つの要素として考えるのに、利回りという考え方はとても重要ですが、

利回りが10%以上の高利回りであっても、稼働率が低かったり、築年数30年以上の物件だと修繕に大幅に費用がかかってくることがあります。

 

なので、不動産サイトなどで掲示されている利回りはあまり鵜呑みにしすぎず、

実質利回りをしっかり計算して物件を選びましょう。

 

地域での賃貸需要があり、稼働率も安定している不動産の方が、

投資としては安定した利益を生み出せることもあります。

 

10%はあくまで目安、という感じですね。

東京では実質利回り5%くらいが平均にもなってきているので、利回り10%以上の物件の場合は何かしらその理由がある場合もあります。

事故物件など……

 

不動産利回りは何パーセントが最低ライン!と考えてしまうこと自体が危険な考え方とも言えると思います。

 

その物件の条件をしっかり見た上で、

利回りが妥当なのかどうか、を考えてみましょう。

関連記事:収益物件の事業計画書を作る時のポイント

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