不動産投資を行う時に必ず理解しておいた方が良いのが減価償却(げんかしょうきゃく)の考え方です。
これから不動産を購入しようと考えている人は必ず理解しておきましょう。
安く買って高く売ればもちろん利益が出ますので、そういったところに目が行きがちですが、
投資をする時はなるべく支出を減らすという考え方も大切です。
減価償却の考え方を知っていれば税金をコントロールすることができます。
だからこそ細かい部分にはなりますが必ず理解しておいた方が良い考え方なのです。
減価償却とは
通常経費として使えるものは購入した時に経費計上をするものですよね。
しかし価格が高く何年も使うことができるようなものに関しては、購入した年に全額を計上するのではなく何年かに分けて計上することができます。
これが減価償却です。
例えば1億円のマンションを購入して建物の価格が5000万円だった場合。
土地の値段は経年劣化していきませんが建物の部分に関しては年月とともに価値が落ちていくと考えられます。
会計上価値がなくなる期間を耐用年数といい、この耐用年数に従って減価償却を行っていきます。
例えば耐用年数が5年だった場合5000千万円の建物の価値というのは毎年1,000万円ずつ減っていくと考えられるわけです。
一括で赤字が出てしまうよりも毎年1000万円ずつ計上していくことができますので、節税対策をしやすいということですね。
もちろん耐用年数を過ぎた建物に直ちに住めなくなるというわけではありませんし、帳簿上を価値がないと考えられる建物も、実際の物件の取引価格がゼロになるということではありません。
あくまでこれは減価償却の考え方になります。
減価償却の計算方法は定額法と定率法
減価償却の計算方法には
- 定額法
- 定率法
の2種類の計算方法があります。
ただ平成28年度税制改正で建物や附属設備、構築物などに関しては定率法は廃止されておりますので、基本的には定額法の方を理解しておけば大丈夫です。
定額法は固定資産の法定耐用年数の間毎年同じ額の減価償却費を計上する方法です。
先ほどの5000万円の建物も5年にわたって毎年1000万円ずつ償却していきましたね。
一年間に計上できる減価償却費=建物価格÷減価償却期間
ということになります。
減価償却期間は建物の構造や築年数から算出されます。
- 木造…22年
- 鉄骨造(鉄骨の厚みが3mm超4mm以下)…27年
- 鉄骨造(鉄骨の厚みが4mm超)…34年
- RC造(鉄筋コンクリート造)…47年
※ここに示した数字は事業用のものになります。マイホームなどの非事業用の場合は、減価償却期間が異なりますので注意してください。
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中古物件の場合
先程は構造ごとの耐用年数を紹介しましたが、では中古の不動産を購入する場合はどのようにして考えれば良いのでしょうか?
一部の耐用年数を経過している不動産の減価償却期間を計算する時は以下の式に当てはめて考えます。
減価償却期間=(法廷耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
例えば、築15年のRC造の物件を購入した場合の減価償却期間は
(47-15)+15×0.2=35年
ということになります。
それでは、購入しようとしている中古物件が築古で、すでに耐用年数を超えているようなものの場合はどうなるのでしょうか?
実は耐用年数超えの物件でも減価償却期間はわずかながらにあり、以下の計算式で求められます。
減価償却期間=法廷耐用年数×0.2
つまり築30年の木造物件を購入した場合、減価償却期間は
22×0.2=4.4
で、4年ということになります。
なるべく毎年償却することができる金額を多くしたいのであれば、耐用年数超えの金額の高い物件を購入すると良い、ということですね。
ちなみにこれも事業用不動産の考え方で、マイホームなどの非事業用不動産に関しては、築年数には関係なく、該当する法廷耐用年数がそのまま適用されますのでご注意ください。
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減価償却で節税
個人の税金を減らす
実際の支出は伴わなくても、減価償却期間は毎年経費を計上することができるので、赤字を作りだす、ということができます。
個人の場合はその赤字と給与所得を損益通算することによって所得を圧縮し、節税効果を生むことができるんですね。
もちろん税務上も認められている方法で、所得税や住民税などを減らすことができます。
法人税の節税
法人の場合は譲渡税率との差が生まれないので、単純に税金を先送りという形になります。
しかし税金を払うのが先送りになることによって、トータルで支払う税金は同じでも、先に使えるキャッシュが増えます。
事業拡大資金にしたり、別のものに投資をしたりすることができるので、法人の場合もしっかり意味があります。
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不動産投資を行う時は減価償却についてもしっかりと知識を深めておきましょう。