不動産投資をする時に、中古物件を購入してオーナーチェンジをする、という選択肢もあると思います。
すでに入居者がある程度入居している状態の中古物件を引き継ぐことができるので、物件引き渡し日から家賃収入を得られるというメリットがあります。
オーナーチェンジ物件の場合、入居者と旧オーナーとの契約がそのまま新オーナーにも引き継がれるんですね。
ではその場合、敷金の扱いはどうなるのでしょうか?
今回はオーナーチェンジ物件の場合の敷金の扱いについて解説していきたいと思います。
そもそも敷金とは
敷金とは、賃貸借契約を結ぶ時に、契約をする入居者(賃借人)がオーナーへ預けるお金です。
一般的には退去後の原状回復のための修繕費に充填され、修繕が不要だった場合や、賃借人負担分の原状回復費を差し引いても敷金が余った場合は賃借人へ返金されます。
(中には敷金の返金は一切しない代わりに、追加で修繕費を要求することもない、という契約にしているオーナーもいます)
また、家賃の滞納があった時に敷金が充当されることもあります。
地域で違う敷金・礼金・保証金
民法上では敷金と呼ばれるこのお金は、関西では「保証金」と呼ばれます。地域によって呼称が異なるんですね。
また、初期費用として受け取るお金には敷金以外に礼金というものがある場合がありますが、礼金は謝礼として受け取るもので、返金はしません。
敷金と違って原状回復後に精算して返金する、ということなどはなく、意味合いは異なります。
オーナーチェンジ物件での敷金・礼金・保証金の扱い
ではオーナーチェンジ物件において、敷金・礼金・保証金はどのように扱われるのでしょうか。
敷金
退去時に敷金を返還する義務は旧オーナーから新オーナーにそのまま移転されます。
物件購入時にすでに入居されている入居者が退去をする時は、新オーナーが敷金の返還をする必要があります。
そのために、物件の売買があった時は売主(旧オーナー)と買主(新オーナー)の間で精算が行われるのが一般的です。
買主は物件を購入する時に購入金額を支払いますが、その時に、旧オーナーが預託を受けた敷金などを相殺した残額を支払うんですね。
ちなみに敷金に関しては引き継ぎが行われますが、家賃滞納のような債券は引き継がれません。
家賃滞納がある場合は敷金から差し引いて計算するのが一般的です。
例えば敷金が20万円で滞納が10万円、売買代金が5000万円だった場合、滞納家賃分10万円を敷金20万円から差し引いて、買主は敷金10万円を売買代金から差し引き、4990万円を支払います。
これによって敷金10万円分の引き継ぎが行われた、とみなします。
また、所有権移転手続き完了後には、賃借人や保証人に対して「賃貸人の地位継承通知書及び同意書」などと題した通知書を送付するのが一般的で、トラブルを避けるためにもこれはやっておいた方が良いです。
礼金
礼金に関しては返還の義務はありませんので、特にオーナーチェンジ物件でも引き継がれるようなものはありません。
ちなみにこの礼金という制度は関東での習慣で、関西エリアではほとんど見かけないものです。
なるべく初期費用を抑えたいという入居者をターゲットとして礼金ゼロにしている物件も増えていますね。
関連記事:敷金精算時に知っておきたい「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
オーナーチェンジ物件を購入する時は敷金の確認もすること
オーナーチェンジ物件において、敷金の継承に関するトラブルは発生しやすいです。
細心の注意を払ってこのあたりのことは進めていきたいですね。
オーナーチェンジで物件を購入したのにもかかわらず、敷金の引き継ぎがしっかり行われていなかったがために、入居者が退去する時に自費で敷金の返還を行わなくてはならなくなるということもありますので、
物件を購入する時に敷金の精算についてもきちんと確認しておくようにしましょう。
売買契約をよく読み、賃貸借契約の内容についてもしっかりと目を通しておきます。
敷金に関してはオーナーによって扱いが異なることがありますので、返還義務があるのかどうかというところから確認しておくべきです。
管理をお願いすることが決まっている管理会社があるのであれば、管理会社にも書類を共有して、見てもらうようにしましょう。
オーナーチェンジ物件は所有権が変更されるだけではなく、現在の入居者との契約内容も引き継ぐことになります。
自分が決めた内容の契約ではないものを引き継ぐわけですから、契約書もきちんと読める力が求められますね。
オーナーチェンジがあった際に不備あることで、せっかく入居してくれていた入居者が退去してしまうこともありますので、なるべく現入居者に負担をかけず、スムーズに引き継げるよう尽力しましょう。