売買知識

かぼちゃの馬車事件ってどんな事件だったの?失敗に学ぶ不動産投資

不動産投資のことについて勉強していると、しばしばかぼちゃの馬車事件という事件の名前を見るかと思います。

これは不動産業界ではかなり大きな影響を与えた事件で、これによって銀行融資がかなり慎重になり、今日に至るまでその影響が続いていると言っても過言ではありません。

今回はこのかぼちゃの馬車事件がどのような事件だったのか、そしてこの事件からどんなことが学べるのか、ということを解説してみたいと思います。

これから不動産投資をしてみたいと思っている方で、以下のキーワードについて興味がある方は特に参考になるかと思いますのでぜひお付き合いください。

  • シェアハウス投資
  • サブリース契約
  • 不労所得
  • リスクなしの投資
  • 自己資金なしの投資

かぼちゃの馬車事件とはどんな事件だったのか

まずはこのかぼちゃの馬車事件がどんな事件だったのか解説していきたいと思います。

2018年5月に株式会社スマートデイズという不動産会社が破産したのですが、この会社の債権額がなんと1,053億円。

このスマートデイズが不動産投資家たちに販売していたのが「かぼちゃの馬車」という名前のシェアハウスだったんですね。

このシェアハウスは、不動産投資家が購入し、これを一括借り上げした上で、そのリターンを投資家に還元するサブリースという仕組みで運営されていました。

サブリースは通常、入居の有無に関わらず、借り上げを行っている不動産業者から一定の料率でオーナーにサブリース賃料としてリターンがあります。

もちろんオーナーが自分で運営をして家賃収入を得た方が収益性は高いのですが、空室リスクなく運営ができるので、多少収益性が低くなっても、サブリースでやったほうがリスクが低くて良い、という考え方のオーナーがサブリース投資を行うわけですね。

スマートデイズのかぼちゃの馬車事件では、このサブリース事業が破綻してしまい、オーナーへのサブリース賃料が未払いとなりました。

ほとんどのオーナーが銀行から借り入れを行ってシェアハウスを購入していたので、サブリース事業が破綻したことによって、オーナーには空室リスクの高いシェアハウスと大きな負債が降りかかってしまったというわけです。

かぼちゃの馬車と名付けられたシェアハウスは、敷金・礼金・仲介手数料なし、賃料も管理費を含めて4万円程度で、「トランクひとつで即入居できる」を売りにしている女性専用のシェアハウスでした。

主に地方から上京してくる女性がターゲット層として設定されていたシェアハウスです。

実際にはお部屋が5畳程度しかなく、共用スペースも狭く、周辺の競合物件と比べると割高で、入居がつきにくいお部屋に仕上がっており、サブリースが成り立たなかった、というわけですね。なんと当時の入居率は4割程度だったそうです。

このサブリース投資では、シェアハウスに投資をしたい投資家が建設費も出す形になっており、投資家が現れたらスマートデイズがシェアハウスを建設してオーナーに販売、という形をとっていました。

問題だったのは、不動産会社が建設会社からキックバックをもらっていた、ということ。

通常数パーセントのキックバックはよくあることなのですが、このキックバックがスマートデイズの場合は50%だったそうです。これにより建設費が不当に高くなっていたんですね。

さらに、不動産投資家に融資をしていたスルガ銀行は融資条件をかなり緩くしてスマートデイズに協力をしていました。

通常では通らないような融資が通る。

スマートデイズもオーナーのプロフィールを改竄したりしていたそうです。

つまりかぼちゃの馬車事件において、首謀者はスマートデイズですが、建築会社も銀行も、スマートデイズとの癒着があり、詐欺まがいのシェアハウス投資に協力していたというのもまた問題です。

関連記事:不動産投資における銀行融資で銀行員が見ているポイント

サブリースの落とし穴

かぼちゃの馬車事件から学べることは「サブリース事業が破綻して不動産業者が潰れてしまう」という可能性がある、ということでしょう。

サブリース投資は収益性が下がるものの、不動産投資家がリスクを抑えて安定して収益を得る方法として不動産業界では定着しています。

もちろん中にはサブリース投資でしっかりと安定した収益をあげているオーナーもいるわけです。

しかし、それが絶対に安心安全なもの、というわけではありません。

かぼちゃの馬車事件のように、サブリース事業を展開している不動産業者が潰れてしまうこともありますし、途中からサブリース事業を行っている不動産業者側で家賃設定を変える、ということもよくあることです。

当然家賃が安くなってしまえばオーナーに入ってくるサブリース賃料も安くなりますし、その金額ではローン返済を行えない、ということもあるでしょう。

サブリースが全くリスクがない、と思ってしまうのは危険です。

関連記事:サブリース(家賃保証制度)のメリットデメリットを解説

高属性の方ほど注意したい不動産投資の話

かぼちゃの馬車事件でターゲットとなった不動産投資家たちが購入していたかぼちゃの馬車と呼ばれるシェアハウスの金額の相場は1億円。

それほどの金額に投資をしようと思える方たちがメインターゲットだったのです。

つまりある程度属性が高く、不動産投資に関しては初心者で、あまり建物の相場などを知らない方たちですね。

  • 頭金ゼロで
  • リスクなしで
  • 家賃で返済できるのでマイナスにならない

と言った謳い文句は非常に危険です。

どんな投資方法であれ、リスクが全くない、という投資方法はありません。

特に融資を引きやすい、属性が高い方は不動産業者からは狙われているという意識を持った方が良いでしょう。

不動産投資をするのであれば良い物件は自分で見つけて掴みに行くべきです。

向こうからやってくる物件はあまりものの物件、そこには必ず売れ残っている理由があると思って、警戒した方が良いでしょう。

関連記事:不動産を購入する時気をつけたい詐欺の手口とは?

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