通常の不動産売買よりも安く不動産を購入することができる場合が多い競売(けいばい)物件を購入し、すぐにリフォームをして売却する、という方法があります。
日本の不動産投資業界では、投資物件の売買により利益を得るキャピタルゲインよりも、家賃収入から利益を得るインカムゲインの方が投資家の間で主流となっていますが、この場合はリフォームして転売、という形になるのでキャピタルゲインを狙うやり方になります。
しかし競売物件は不動産投資初心者にはなかなか難しい物件です。
トラブルも起きやすいですし、トラブルが起きてしまっても、競売物件には売主がいないので、それらに自分で対応しなくてはいけないんですね。
リフォームして転売するには、物件購入のことだけでなく、
- リフォームにどれくらいの費用がかかるか
- リフォーム後にいくらで売れたらどれくらいの利益を出すことができるか
ということも考えなくてはいけませんので、リフォームの相場、売買市場にも詳しい必要があります。
今回は競売物件をリフォームして転売する、という投資方法について、その流れや注意点を解説していこうと思います。
競売物件とは
まずは競売物件と呼ばれる物件がどういうものなのか、簡単におさらいしてみましょう。
競売物件とは、何かしらの事情で住宅ローンなどのローンが払えなくなったり、金融機関から借りていたお金を返せなくなってしまった人が、差し押さえられた物件を裁判所がオークション形式で売却している物件のことを指します。
銀行などの金融機関からの申し出により競売にかけられた物件で、裁判所は物件を競売にかける役割を担っているだけなので、売主不在の物件売り出し、という扱いになります。
通常の物件価格の6割〜7割程度の価格で落札されることも多い競売物件は、安く手に入れられるメリットもありますが、売り出される理由が理由なので、リスクも大きい物件になります。
関連記事:競売物件になる理由って?知らずに購入すると後悔するかも
リフォーム以外に出るかもしれない支出
売主不在の競売物件は、落札して購入できた物件にトラブルがあっても責任を取ってくれる存在がありません。
瑕疵担保責任ももちろんありませんし、物件を落札するにあたって事前に物件の内見をする、ということすらできないのです。
一応時前に3点セットと呼ばれる、裁判所の執行官等の調査に基づいた
- 物件明細書
- 現況調査報告書
- 評価書
をもらうことはできるのですが、物件を購入する前に内見をすることができないというのは、かなりリスクが高いように思います。
考えていたよりもリフォーム費用が莫大になってしまう可能性があります。
さらに、競売物件の場合はお金が払えなくなった人が物件を差し押さえられて競売にかけられるので、前入居者が居座っており、強制退去の手続きを取らなくてはいけない、といったケースもあります。
強制退去も簡単ではなく、督促を行って、手順を踏まないとできないことなので、お金はもちろん、手間もかかります。
こういったリスクがあるのが競売物件なのです。
関連記事:競売物件のトラブルとしてありがちな占有者の居座りと対処法とは
転売は違法ではないが、短期で利益を出すのは難しい
転売、と聞くと「違法なのではないか?」と心配になる方がいるかと思いますが、不動産を購入して、それをまた売却する、というのは違法ではありません。誰でも行うことができる権利を持っています。
ただし、短期間で不動産の売買を行うことで不利になる点があります。
不動産は売却する年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合、短期譲渡所得にあたり、5年より長く所有していた場合の長期譲渡所得の場合にかかってくる税率よりも税率が高くなります。
この場合の税率は約40%となり、利益をかなり圧迫することになりますので、短期間の不動産売買で利益を出すのは難しいのです。
また、転売は違法ではないものの、短期間の間に不動産を繰り返し売買するような場合は宅建の取得が必要と言われています。
これは非常に曖昧な話で、不動産投資家の中にも不動産売買を短期間のうちに行う人はいますし、そういった人が宅建を持っていなかったから、何かしらのお咎めがあった、というような話は聞いたことがありません。
ただ一応そういう決まりもある、という話です。
競売物件はさまざまな物件が出ていますが、やはり多いのは戸建てで、数百万円単位の利益を出しているリフォーム転売事例もありますが、
不動産についての専門知識が必要なのと、リフォームの手配や、居座りなどのリスクを考えると、簡単に儲かるやり方ではないなと感じます。
不動産投資をそれなりにやって知識を身に付けた上で、興味がわいたら挑戦してみるのもいいかもしれませんが、初心者には絶対にお勧めすることができない方法です。
結局楽して儲かる方法というのはないのです。
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