ヴィンテージマンションの購入を検討している方、
気になるポイントとして「耐震」の面が上げられるのではないでしょうか。
地震大国の日本で物件を持つ時に、耐震性というのはやはり気になるところですよね。
古い建物は耐震性がやっぱり弱いのではないか、と考えている方が多いと思いますが
実は古い建物でも、耐震がしっかりしていて、物件として良いものもたくさんあります。
今回は特にヴィンテージマンションに的を絞って考えてみたいと思います。
ヴィンテージマンションとは
ヴィンテージマンションの定義は曖昧です。
一般的に建物というのは築年数が経つにつれて価値が下がって行くものですが、
ヴィンテージマンションは築年数が経っても人気が高かったり、逆に価値が上がっているマンションです。
ワインやジーンズにヴィンテージ、と使うのと同じ感じですね。
少し曖昧な定義ですが、
築数十年経過していてもなお、資産価値を保っているマンション、がヴィンテージマンションです。
- 築後10年以上経っている
- 立地が良い
- デザイン性が良い
- 管理が行き届いている
といったこともヴィンテージマンションの条件として挙げられるでしょう。
先日、通りがかった「ロイヤル麻布ガーデン」もヴィンテージマンションの1つですね。築年数は40年を超えますが、低層で戸あたりの土地が広い。
ちなみに、ロイヤル麻布ガーデンは1973年築の全8戸。目の前には「南アフリカ共和国大使公邸」があったりなんかもする超一等地。
ヴィンテージマンションに住んでいる人は、その物件に愛着を持って住んでいる人が多いので
住人のマナーも良いのもヴィンテージマンションの特徴と言えます。
旧耐震基準と新耐震基準の違い
1981年6月に建築基準法が改正され、建物の耐震強度の最低基準が引き上げられました。
1981年6月1日よりも前に建てられた建物は旧耐震基準で建てられた建物で、
それ以降に建てられた建物は新耐震基準で建てられた建物になります。
旧耐震基準と新耐震基準の大きな違いとして、
新耐震基準では許容応力度計算と保有水平耐力計算を行うことが必要である、と定められているんですね。
簡単にいうと、新耐震基準では建物の中、もしくは建物の周りにいる人が、
建物の倒壊に巻き込まれて被害を受けるような状況にならない、という基準で耐震基準が設けられています。
耐震基準の最低ラインが変更された、ということであり、
旧耐震基準の建物だからといって、全てが新耐震基準をクリアしていない、ということではありません。
新耐震基準で建設されている建物は、震度5程度の地震ではほどんど損傷しないように建てられています。
さらに震度6〜7程度の大地震でも、倒壊もしくは崩壊しない基準となっています。
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旧耐震基準のマンションでも強度が高いものもある
実は旧耐震基準で建設されたマンションでも、
しっかりお金をかけて作られており、現在の新耐震基準を上回っているものもあります。
現在ヴィンテージマンションとして、築年数が経っても人気のある建物は
そもそも作られた当初に富裕層をターゲットにしていたものが多いので、一般的な建物よりも建設費が高いものも少なくないんですね。
なので、ヴィンテージマンションで築年数が経っているから、
旧耐震基準の建物であり、耐震性が低い、という認識は間違っているのです。
中には新耐震基準を上回る建物もあります。
旧耐震基準の物件のデメリット
旧耐震基準で作られた建物でも、ヴィンテージマンションなら新耐震基準をクリアしている建物もあるので
そういう建物なら投資対象として良いのではないか、と考える方も多いと思いますが、
実はヴィンテージマンションを購入するデメリットもあります。
このデメリットをしっかり理解していないと、購入したことを後悔することになるかもしれないので
それぞれ詳しく見て行きたいと思います。
住宅ローン控除は使えない
住宅ローン控除は10年間に渡って住宅ローン残高の1パーセントが所得税などから控除される制度なのですが、
この住宅ローンを適用するためには築年数が25年以内であるか、耐震適合証明書という証明書が必要になります。
この耐震適合証明書というものが1981年5月以前に建造された建物の場合はなかなか取得できないケースが多いです。
贈与の非課税制度は使えない
両親などの直系の親族から資金の贈与を受けると、贈与税が課税されますが
住宅を購入するための資金を親族から援助された場合は、非課税になる制度があります。
ただし、これにも住宅ローン控除と同じで、築年数が25年以内か、耐震適合証明書が必要なんですね。
ヴィンテージマンションの場合は、この非課税制度が使えないことが多いです。
不動産取得税・登録免許税の優遇がない
もし居住用として物件を購入するのであれば、
条件によっては不動産取得税や登録免許税が軽減されることがありますが、
これも築年数25以内か、耐震適合証明書が必要になります。
修繕積立費が高い
日本のマンションの場合は、修繕費に段階増額積立方式が採用されており、修繕積立金が築年数とともに値上がりしていきます。
物件を所有している限りはずっと払わなくてはいけないのが修繕積立金なので、
築年数が経っているヴィンテージマンションではこの部分が高くついてしまうデメリットもあります。
さまざまなデメリットはありますが、
ヴィンテージマンションだから耐震性がない、というわけではありません。
さらにデメリットもしっかり把握して計画性を持ってヴィンテージマンションを購入すれば、
築浅の物件よりは値段が安かったり、立地が良いものが多いので、収益性の高い物件を購入することができるでしょう。
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