不動産を購入する時、物件について色々調べると思います。
中古物件の場合は実際に物件を内覧してみて、どのようなところにリフォーム費用がかかるか、とか建物が傾いていないか、とか物理的なところはよく見るでしょう。
それとは別に、不動産を購入する時に知っておくと良い法令のことについて、今回は着目して書いてみたいと思います。
不動産を購入する時はもちろん、この法令についての知識を身につけておくことで、不動産を売却する時のことも見据えて物件を購入することができます。
不動産投資を行う時はいつだって出口のことを考えて購入しなくてはいけません。
例えば築古物件であれば、物件を解体して更地にしてから売却する、という方法もあります。
その場合はそれらの費用も含めて考えて、収益をあげられるかどうかを考えなくてはいけません。
しかし法令上の制限によって建て替えや解体が難しいという場合まおります。
だからこそ、法令についての知識を持った上で物件を検討することが大切なのです。
物件の高さ制限
物件には隣接する土地や道路に対しての日照や通風を確保するために「高さ制限」が設けられている場合があります。
これは後で説明をする用途地域などによって制限内容が異なるのですが、大きく分けて
- 絶対高さ制限
- 道路斜線制限
- 隣地斜線制限
- 北側斜線制限
の4種類となっており、この高さ制限があるため、建て替えをしようとしても希望の高さの建物を建てられないということがあります。
街をあるいていると「この地域は背の高い建物があまりないな〜」と感じるような地域では高さ制限が付されている、ということですね。
それぞれの高さ制限の詳細については以下の通りです。
絶対高さ制限 | 第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域にのみ規定されている制限で、10メートルまたは12メートル以上の建物は建てられない。高さは都市計画で規定され、おおよそ3階建てくらいまで。 |
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道路斜線制限 | 前面道路の日照や採光・通風を確保するための制限で、前面道路の反対側の境界線から一定の勾配で記された線の範囲内に建物を制限するもの。用途地域や基準容積率によって内容が異なる。 |
隣地斜線制限 | 隣地の日照、採光、通風を確保するための制限。第一種住居専用地域と第二種住居専用地域以外の用途地域に適用される。 |
北側斜線制限 | 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域の4地域のみで制限されるもの。 |
日影(にちえい・ひかげ)規制
同じ場所に一定時間以上の日影ができないように建物の高さを制限するのが日影規制で、これも用途地域や建物の高さによって対象となるかどうかが決まります。
一棟マンションやアパートなどが建っている用途地域に関しては日影規制の対象となっていることが多いので、必ず注意しておきたい部分です。
建て替えを行って物件を売却しようと考えている場合などは、当初の予定よりも建設する高さが制限されてしまって思ったように収益をあげられないということもあります。
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2項道路
建物の敷地は幅員が4メートル以上の建築基準法上の道路に2メートル以上接道していなければならないという法律があります。
これは有事の際に緊急車両などがスムーズに道路に入っていくことができるように、と作られた法律です。
ですが、この法律ができる前に建ってしまっていた建物に関してはこれらの基準に無理やり合わせるのは難しいので、既存物件に関しては新築や増改築をする際に基準を守るようにする、というようになっています。
つまり建て替えや増改築を行う際、今まで通りの土地の使い方ができなくなり、制限が生まれるということです。
建築基準法の要件を満たせば建て替えや増改築はできますが、建ぺい率などが大きく変わる場合があります。
特定行政庁が建築基準法上の道路(みなし道路)と指定する内容を定めているのが建築基準法第42条2項のため、2項道路という呼び方をされています。
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都市計画法をしっかり確認しよう
これまで説明してきた通り、法令によってその建築物にどのような制限が付されるか、というのは用途地域によって大きく左右されます。
重要事項説明に書かれている内容にも「法令に基づく制限の概要」という部分があり、宅建業者は売主にも買主にもこれらの説明をする必要があります。
法令制限をする法律として主なものは都市計画法と建築基準法になりますが、細かく言うと50種類以上の土地・建物の使用を制限する法令があるんですね。
現状建っている状態の物件では収益性がよくても、増改築をしたり建て替えが前提となるような建物の場合は売却時に困る可能性が高いです。
特に築古の不動産を購入する時はこれら法令上の制限についてもしっかりと調べた上で物件を購入するようにしましょう。
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