売買知識

賃貸のオーナーチェンジ通知について、やり方と注意点。

賃貸中の物件を購入するとき、「オーナーチェンジ」という形になるわけですが、

そういった場合は、入居者にはどのような対応が必要なのでしょうか。

 

実際法律上は通知なども行わなくて良いことになっていますが、注意点などを確認しながら解説していきたいと思います。

 

入居者の了承は不要

 

賃貸中の物件の売買ですが、これは持ち主の自由なので、

特に入居者に了承を得る必要はありません。弊社でも実際にオーナーチェンジ物件を購入したことが何度もありますが、「入居者の承諾が必要」である場面は1度もありません。

売買と賃貸は全く別なのです。

 

売買の自由は物件所有者に認められている正当な権利です。

 

多くの入居者がいるような物件の場合は、それぞれの入居者に了承を得るだけでも一苦労です。

全戸の了承を得ていたら、了承を得るまでに何ヶ月もかかってしまうことだってあるでしょう。

なのでオーナーチェンジを行って、その後に事後報告という形で通知するので十分です。

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通知も法律上は不要

 

実は、法律上は賃貸中の物件のオーナーチェンジがあったとしても、それを入居者に通知する義務はありません。

 

ただ、実務的な問題が出てくる場合がありますので、オーナーチェンジをした場合は、入居者にも通知をするのが一般的です。

 

通知を行わないことによって

  • 入居者が旧オーナーに家賃を払い続けてしまう可能性がある
  • 詐欺だと思われてしまう

というようなトラブルが起きる可能性があります。

 

新オーナーの名前だけだと不審に思われてしまうこともあるので、できれば通知は旧オーナーと連名で出した方が良いでしょう。

 

特約がない限り、賃借人・新所有者間に、従来の賃貸借関係がそのまま移転・存続することになっているので

賃貸借契約も内容をそのまま引き継ぐような形になります。

 

新しく入居者とオーナー間で契約をし直す必要はありません。

 

ただ、内容をそのまま引き継ぐ形になるので

新オーナーになったからといって、今までの賃貸借契約内容を変更する、ということはできないと思った方がいいと思います。

海外やファンド系の物件では「オーナーチェンジに伴う家賃上げ」の例がありますが、通常のオーナー物件ではありません。

 

例えば今までペット可の物件だったのに、オーナーチェンジした後は今後はペット不可の物件にしたい、といいうのは難しいです。

 

賃貸借契約は締結した当時の内容で継続されると考えた方がいいでしょう。

 

もし変更したいのであれば、次の募集から変更する形になります。ちなみに、オーナーチェンジの通知書は不動産管理会社が送るものです。

自主管理のオーナーであれば、自前のものを作る必要がありますが、大多数のオーナーは不動産管理会社に任せるのです。

弊社もオーナーチェンジ物件を購入した際には管理会社を通じて変更通知を出しています。

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敷金の清算

 

賃貸中の物件のオーナーチェンジをした時に必要になってくるのが

敷金の清算です。

 

敷金は入居者のお金で、それをオーナーが一時的に預かっている、という形になっています。

 

クリーニング代などを引いた上で、敷金は入居者が退去する時に返還するお金になっていると思いますが、

返還をする時は返還時のオーナーが入居者に返還をしなくてはいけません。

 

なので、オーナーチェンジの際は旧オーナーと新オーナーの間で敷金の清算を行う必要があります。

 

物件の売値から敷金を引いたお金を実際に買主が売主に払うことが多いですね。

 

例えば1000万円で売買価格が成立した物件だとして、預かっている敷金が30万円だとしたら

実際に買主が売主に払うのは970万円、というわけです。

 

ただ、入居者からしたら、オーナーチェンジした上でしっかり敷金を返還してもらえるのか、というところを不安に感じると思います。

 

そこで物件のオーナーチェンジが完了した後に、「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」というものを

  • 売主(旧オーナー)
  • 買主(新オーナー)
  • 借主(入居者)

の三者の間で締結します。

 

一般的には入居者にオーナーチェンジの旨を記載した通知書を送る時に一緒に同意書を送り、

そこに入居者の名前と印をもらいます。

 

これも法律上義務はないのですが、

入居者を守るために大切なことです。

 

オーナーチェンジにはなるけど、「入居者の敷金は退去時にきちんと返還します」という旨を明らかにし

入居者に不安を与えないための措置ですね。

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賃料の清算

 

オーナーチェンジを行う際は、賃料の清算も必要になってきます。

 

家賃の支払いは先払いであることが多いので、

売買成立日以降の賃料を売主がすでに受け取ってしまっている場合があります。

 

その場合は、売買成立日以降の分の賃料を日割り計算で清算し、

その金額を敷金同様、売買価格より差し引いて売主に支払うような形になるでしょう。

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ちなみに敷金と家賃以外にも清算しなくてはいけないものがあります。

メインとなるのは

などの清算でしょう。

 

また

  • 付加使用料
  • 看板使用料
  • 駐車場代
  • 自販機収入

などの清算を行う場合もありますが、とても細かい部分になってくるので

ここは売主と相談して決めることが多いです。

 

敷金と家賃の清算についてはしっかり行なった方が良いですが

それ以外は相談して決めていく形で良いでしょう。

 

オーナーチェンジの際の参考になれば幸いです。

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