売買知識

不動産の無償譲渡をする時に、税金はどうなるのか?

不動産を扱う上で税金面というのは非常に複雑で面倒な部分になってきます。

今回は中でも不動産は無償譲渡する場合に税金がどのようにかかってくるのかということにスポットを当ててお話ししていきたいと思います。

 

個人か法人かで変わる税金の種類

 

まずは無償譲渡する場合、個人なのか法人なのかということによってかかってくる税金が大きく変わってきます。

それぞれのケースについて少し解説していきたいと思います。

 

個人から個人へ無償譲渡する場合

 

個人から個人へ無償譲渡する場合は、

贈与者には税金はかかりませんが、受贈者には贈与税がかかってきます。

 

個人から法人へ無償譲渡する場合

 

贈与者にはみなし譲渡所得課税というものが課税されます。

 

個人から個人へ無償譲渡する場合とは違い個人から法人へ不動産を無償譲渡する場合は、

税金の公平性を保つためにみなし譲渡所得課税というのが用いられるんですね。

 

これに関しては次の章で詳しく解説したいと思います。

 

また受贈者にあたる法人に関しては法人税が課税されます。

 

法人が個人に無償譲渡した場合

 

贈与者である法人には法人税が課税されます。

これは不動産の時価が収益である寄付金として法人の益金に計算されるようになっています。

 

受贈者である個人には一時所得として所得税がかかってきます。

 

法人が法人に無償譲渡した場合

 

法人から法人へ無償譲渡があった場合は

贈与者には寄付金としての税金である寄付金課税、

受贈者には法人税がかかってきます。

 

無償でも課税される、みなし譲渡所得課税

 

さて先ほど解説した「個人から法人へ不動産を無償譲渡する場合、みなし譲渡所得課税がかかってくる」という部分ですが

みなし譲渡所得課税というのはどのようなものなのでしょうか?

 

例えば社長が自分の所有している不動産を会社に無償譲渡する、というのはよくあるケースにも思えますよね。

 

不動産を無償又は低額で譲渡する場合、特別な扱いを受けることとなり

時価の資産相当と同じ金額の収入があったとみなされて課税が行われる、というのがみなし譲渡所得課税です。

 

特に節税の目的で法人を作る場合もありますから、個人から法人へ不動産が無償譲渡された時に課税されないようにしてしまうと

その仕組みを利用して租税回避しようとする人が出てきてしまいます。

 

そのためどのような条件においても公平に税金がかかってくるようにする、というのを目的として採用されているのがみなし譲渡所得課税なのです。

 

少しでも税金がかからないように不動産の権利移動をしたいものですが、このようにケースによってかかってくる税金も変わり

かなり煩雑な内容となっています。

 

法人税法上、法人が他者と何かしらのやりとりをする時は、

有償でも無償でも、全ての資産が時価によって取引されたとみなされ、そこに法人税が必ずかかってくるような仕組みとなっているんです。

関連記事:アパート経営をする人が起業するメリットを紹介

 

耐用年数を超えた物件の無償譲渡はどうなる?

 

例えば耐用年数を超えた物件、つまり建物自体にはもう価値がなくなってしまっており、減価償却することができない不動産を無償で譲渡するということがあると思います。

 

そういった場合は一応法律上もう価値がなくなってしまったものですし、無償譲渡にすれば税金がかからないではではないかと考える人が多いでしょう。

 

しかし不動産というのは土地と物件に分けることができます。

 

物件は年々価値が下がっていくもので、耐用年数を超えている場合は物件の価値がないという風にみなされますが

土地に関しては価値がなくなるということはありません。

 

また建物に関しては耐用年数が超えていたとしても20%の残存価値があります。

 

なので耐用年数を超えたところで不動産の価値が全くのゼロになるということはあり得ないんですね。

耐用年数を超えた物件の無償譲渡の場合でも

  • 贈与税…100万円の控除を超える部分にかかってくる
  • 不動産取得税… 固定資産税評価額×4%
  • 固定資産税…持っている示唆に毎年かかってくる税金
  • 登録免許税…評価額の3%

などがかかってくる可能性があります。

関連記事:更地にかかってくる固定資産税を節税する方法

 

相続と贈与の違い

 

無償譲渡の話をしているとどうしても相続と贈与の違いがよくわからなくなってくるという方も多いです。

 

贈与の対義語として譲渡(有償)という言葉が使われますが、これは不動産を移動させることでお金がかかるかどうかということで使い分けられている言葉ですので

贈与と無償譲渡は同じ意味だと言えます。

 

さらに相続と贈与の違いですが、

相続は亡くなった人から財産を譲り受けること

贈与は生きている人から財産を譲り受けること

を指します。

 

亡くなった人から財産を譲り受けるときにかかってくるのが相続税、

生きている人から財産を譲り受けるときにかかってくるのが贈与税です。

ここは混同しがちな部分なので明確にしておきましょう。

関連記事:親からアパート経営を引き継ぎ!投資初心者が知っておくべきこと。

 

さまざまな課税があり、不動産を無償譲渡する場合はケースごとにかかってくる税金が異なります。

 

不動産の無償譲渡を行う時は専門の税理士に相談して、どのような税金がかかってくるのか、ということを調べ

どんな風に不動産を譲渡するのが一番良いのか、しっかり考えていきましょう。

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