賃貸物件で起こりやすいトラブルが雨漏りです。
物件はどうしても年月とともに劣化して行ってしまうものですから、
こまめにメンテナンスをしていても、こういったトラブルが起きてしまうのは仕方がないことなんですよね。
しかし雨漏り等のトラブルが起きた時に、正しい知識を持っているかどうかで、
その後の事の運び方が大きく変わってくるものです。
今回は賃貸物件の雨漏りによって、入居者が退去するかどうか、というところまで発展してしまった時のことを想定して
詳しい事を解説していきたいと思います。
雨漏りしたら修繕する義務がある
賃貸物件を持つオーナーは雨漏りがあった、という報告を入居者から受けた時、
必ずそれに対して、修繕を行わなくてはいけない義務があります。
入居者が雨漏りをしていることに気づいた場合は、まずは不動産管理会社か物件オーナーに
雨漏りをしていることを伝えなくてはいけません。気にしないタイプの入居者さんだと、退去時に「ずっと雨漏りしていたんですけど」とおっしゃる場合があります。
これは投資として不動産を持っている側からすると、あまり嬉しいことではないんですよね。
さらに、雨漏りがどのようにしているのか、ということがしっかりわかるように、写真や動画を撮る、などしておくと、あとから役に立つ場合があります。
また、入居者から雨漏りの報告があったのにも関わらず、
オーナーが修繕を行わない場合は、入居者に損害賠償を請求される場合があります。
雨漏りしている事に対してオーナーが対応してくれない場合は、入居者が個別に業者に依頼し、
その修繕費用を請求することも可能です。
その都度対応をしないことによって、より被害状況が甚大なものになってしまうこともありますし
そうなってくると余計に修繕費用がかさんでしまったり、損害賠償を支払わなくてはけなくなってしまうので
雨漏りの報告があった場合は、オーナーはなるべく早急に対応するようにしましょう。
築古物件ではこういった突発的な出費が出てしまうこともよくあることです。雪解け時期等には雨漏りが多く発生しますよね。豪雪地帯に物件を持っている方は気をつけるべき点だと思います。
弊社所有の物件も冬から春にかけて、「雨漏りトラブル」は必ず起きます。
賃貸物件を運用する時は、そういったランニングコストもしっかりと計算した上で事業計画を練っておくようにしましょう。
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オーナー側で修繕の対応がなかった場合
雨漏りを入居者が報告したのにもかかわらず、
オーナーが修繕などの対応をしない場合には入居者側でできることがいくつかあります。
修繕依頼先を再度確認する
まず、雨漏りなどが起きた時に修繕を依頼するのは、オーナーなのか、それとも不動産管理会社なのか、ということを再度確認してください。
不動産管理会社を通している場合は、基本的には物件で何か困った事があった場合は、
不動産管理会社にまず連絡するように、ということが賃貸契約書にも明記されているかと思います。
相談してみる
雨漏りの被害があるのにもかかわらず、なかなか修繕してもらえない場合は
などに相談をしてみましょう。
個人の状況に応じた、具体的な解決策を提案してくれるかもしれません。
自分で雨漏りの修繕依頼をする
実際に住んでいるところで雨漏りがしている、となると
早急に対応しなければ、住むこと自体に支障が出てくる事もあると思います。
なかなか修繕の対応をすぐにしてもらえない場合は、入居者が業者に依頼して、修繕を行う、ということもできます。
その際は、業者からどのような施工内容で、どの金額がかかったのか、ということをしっかりと明示してもらい、
それを内容証明郵便にてオーナーに請求するか、もしくは家賃と相殺してもらう、といったことをすることもできます。
ただこれはトラブルにもなりやすいですし、なるべくなら先に話し合いで解決できるよう努力した方が良いでしょう。
入居者が雨漏りを報告しなかった場合
ちなみに、長年入居している入居者が、独自の判断で雨漏りを報告しなかった場合、
つまり入居者による簡易的な修繕で済ませてしまったり、
入居者の故意、または過失で雨漏りする事態を招いてしまった場合などに関しては、オーナーは修繕の義務を負いません。
むしろ、長年報告されなかった雨漏りによって、建物の損傷がより激しくなってしまう場合があります。
そういった場合はオーナー側が入居者に対して損害賠償を請求することができます。弊社が所有する物件においても、軽度の雨漏りであれば、コーキング処理だけで収まる場合が多いのですが、
長期間、放置してしまったものに関しては屋根の塗装を行ったケースがありました。保険も一部しか適用されず、数十万円の出費に。
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経年劣化による雨漏りには火災保険は適用されない
ちなみに、雨漏りなどの水周りのことなのであれば、
火災保険を適用できないか?と考える人もいると思います。
残念ながら、建物の劣化による雨漏りの場合は火災保険は適用されません。
火災保険は基本的に自然災害によって、建物に被害が出た場合にしか適用されないんですね。
水漏れに火災保険が適用されることもありますが、「何度も同じところから水漏れしている」というような場合は「事故性がないもの」と判断されてしまって保険金がおりないことも多いんです。
ただこれは、逆を言えば「自然災害によって雨漏りが起きた場合は、火災保険が適用される」ということでもあります。
例えば
- 台風で屋根の一部が吹き飛ばされたことによって雨漏りが起きている
- 雷が家に落ち、破損した部分から雨漏りしている
- 暴風などの影響で飛来物が飛んできて、そこから雨漏りしている
というような状況であれば、火災保険が適用されます。
多少費用はかかるかもしれませんが、経年劣化だけではなく、自然災害による影響がある場合に関しては
火災保険が適用されるかどうかも業者に依頼して調査してもらうと良いでしょう。
退去する場合の引越し費用
もし度重なる雨漏りが原因で退去することになった場合、
オーナーが修繕などの対応を毎回行っている場合は難しいですが、修繕の対応を怠っている場合、引越し費用などを一部請求することができる可能性があります。
雨漏りの報告があった時に、修繕の対応をする、というのはオーナーの義務ですからね。
「不動産のオーナー」と一口に言っても、潤沢な資金を持っているオーナーと持っていないオーナーがいるんです。
屋根の塗装をすれば、小さい戸建でも100万円程度はします。アパートとなれば、最低でも500万円程度。より大きなものになってくると、数千万単位になってきます。
オーナーとしても支払うべきところは支払い、計画的な投資をしていくべきなのですが、全てのオーナーが潤沢な資金を持っているわけではないので、現実的には難しかったりするんですよね。
今後の課題の1つでもあるような気がしますね。
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