不動産投資を行う時、物件の構造についてはとても慎重にならなくてはいけないですよね。
物件の構造は大きく分けて
- RC物件
- SRC物件
- 重量鉄骨
- 軽量鉄骨
- 木造
の5種類に分けられますが、どの構造の物件にするかによって、
融資額やメンテナンス費用、減価償却期間などが大きく変わってきます。
その中でも軽量鉄骨は耐用年数が「19年」と出てきたり「27年」と出てきたりするんですよね。
今回は軽量鉄骨のアパートの耐用年数について解説してみたいと思います。
耐用年数とは
そもそも耐用年数というのはどういう意味なのでしょうか。
耐用年数(たいようねんすう)とは、減価償却資産が利用に耐える年数をいう。
長期にわたり反復使用に耐える経済的に価値があるものの使用又は所有の価値の減価を、各年度に費用配分していく場合の、計算の基礎となる。
Wikipediaより
簡単に言うと、
国の税制度で、10万円以上・使用可能期間が1年以上の資産は、その費用をその年度で全て計上する、ということができないことになっています。
なので、それを法律のルールに則って分割し、計上していくんですね。
国税庁のHPにも詳しく載っています。国が作った資料なので、わかりにくいんですけどね。
耐用年数とはその分割の回数のことを指しています。
この耐用年数に基づいて、毎年減価償却していく、ということです。
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軽量鉄骨の耐用年数に種類がある?
軽量鉄骨の耐用年数は多くの場合が19年、ということになっていますが
実は27年、となっているものもあって、これはどこに差異があるのか、というと金属の厚みの部分です。
軽量鉄骨は法定耐用年数の基準では「金属造」というカテゴリに分類されるのですが、
これが次の表のように分類されます。
金属の厚み | 法定耐用年数 | 償却率 |
3mm以下 | 19年 | 0.053 |
3mm〜4mm | 27年 | 0.038 |
軽量鉄骨は厚さが6mm未満の鋼材のことを言いますが、
4mmを超える場合は法定耐用年数は34年になります。
その場合は重量鉄骨、という分類になることもあります。
物件をパッと見ただけでは鉄骨の厚さなんてわからないですよね。
不動産業者もしっかりと把握していないこともあるので、直接ハウスメーカーに問い合わせるのが一番確実だと言えるでしょう。
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軽量鉄骨造の減価償却の計算方法
減価償却とは、時間の経過とともに価値が下っていく固定資産を購入した場合、
多額の支出を法定耐用年数に応じて分割して費用計上していくことです。
ここで重要になってくるのが法定耐用年数、ということなんですね。
法定耐用年数は減価償却を考える時に重要になってくる数字であって、
あくまで法律で定められた建物の寿命です。
なので法定耐用年数を過ぎたからといって建物を壊さなきゃいけないわけではありません。
メンテナンスをしっかりしていれば、法定耐用年数を過ぎた物件でもきちんと住み続けることができます。
そういった法定耐用年数を過ぎた築古物件はたくさんあります。築古物件でも融資は受けられる?物件の選び方は?という記事では築古物件について詳しく書いているので、気になる方はどうぞ。
減価償却の計算の仕方は新築物件か中古物件かで異なるのでそれぞれについて簡単に説明します。
新築物件
新築物件は計算式が単純明快です。
これまでは減価償却費の計算法として「定額法」と「定率法」がありましたが、
税制改正によって、平成28年4月1日以降に購入した物件に関しては全て定額法で計算することになりました。
定額法の場合は、毎年同じ金額を減価償却していくので、物件所有の初年度から減価償却費はずっと変わりません。
計算式は
{不動産の取得金額(建物本体のみの金額)}×(資産の償却率)=年間の減価償却費
という計算式になります。
年間の減価償却費は会計上、支出として見なされるので
所得から減価償却費を引いた金額に税金がかかることになり、節税対策になります。
これは大家さんはしっかり勉強しておかなくてはいけない部分ですね!
中古物件
中古物件の場合は、新築物件と違って築年数が経過しているので、
取得時に新しく減価償却できる年数を算出します。
- 築年数>法定耐用年数の時
(減価償却できる年数)=(法定耐用年数)× 20% - 築年数<法定耐用年数の時
(減価償却できる年数)=(法定耐用年数)-(築年数)× 80%
このような形で、法定耐用年数より築年数がまだ経っていないか、それとも法定耐用年数より過ぎているか、で計算の方法が異なります。
新築物件に比べると中古物件の方が見る項目は多くなりますが
それでも計算式はそこまで複雑なものではないので、しっかりと減価償却の部分を考えて物件を検討するようにした方がいいでしょう。
きちんとメンテナンスをすれば大丈夫
軽量鉄骨造の耐用年数についてお話してみました。
先述した通り、法定耐用年数というのは減価償却を考える上で必要になってくる「法律で定められた物件の寿命」なので
実際の物件の寿命とは決してイコールにはなりません。海外のヴィンテージ物件なんて、100年越えのものがゴロゴロありますから。
「スクラップ&ビルド」の考え方は日本特有のものかもしれません。
法定耐用年数を大幅に超過していたとしても、メンテナンスをきちんと行っていれば、長く住むことが可能です。
軽量鉄骨造の物件は高さがなく、エレベーターも無い物件が多いので、修繕費が他の構造の物件よりも安いです。
物件自体も安く手に入ることが多いので、しっかりと耐用年数・減価償却に関する知識を身につけて投資をすれば
扱いやすい物件だと言えるのではないでしょうか。
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