老後の生活を豊かにするために、アパート経営を考えている人は多いのではないでしょうか。
若い人でも、「副業収入として不動産投資を考えている」という人は増えています。その影響からか、最近では「アパート経営に関する広告」をよく見ますよね。
「アパート経営で老後の計画を!」みたいな感じの言葉が並ぶ。
私の友人にも新宿のゴールデン街で出会った男性と飲んでいたら、「不動産を買わないか?」と営業をかけられた人もいた。
何だか最近は以前よりも不動産投資というものが身近なものになってきているような気がするのです。
しかし、アパート経営の実態はどうなのだろうか。現役の投資家である私が書いてみようと思う。
アパート経営の実態が不明瞭な理由
そもそもアパート経営の実態って不明瞭だったりするんですよね。「不動産投資は絶対に儲かる」という感じの不動産投資本はたくさんあるけれど、実際のリアルな投資本ってほとんどありませんしね。
じゃあ、そもそもなんでアパート経営の実態って不明瞭なのだろうか。
実態を公表するとターゲットにされる可能性がある
アパート経営の実態について公表したい、と思っている人が少ないんですよね。なぜなら普通に儲かっている人は「資産があると思われたくない」という心理が働くからです。
地面師がそこら中にいるわけではないけれど、そういう詐欺集団や強盗などに狙われる可能性は高くなる。
狙われるくらいなら、公表せずにひっそりと投資していた方が良い、と考える投資家が多いのです。
書籍や公演で稼ぐ人たちにとっては、「アパート経営の実態を公開すること=売り上げに貢献」という感じになる。
しかし、多くの投資家にとっては、リスク上昇要因になってしまうのです。
売却する瞬間までは収支がわからない
売却する瞬間までは収支がわからない、というのもありますね。アパート経営が成功しているのか、失敗しているのか?なんて売却するまではわからないんですよ。
返済期間にもよるけど、たとえば最近流行っている45年ローンみたいなものを組んだら、一応キャッシュフローは健全な状態なわけです。
だって、返済額が少ないからね。
でも、売却時にはどうだろう。年単位ではむしろマイナス収支になっている、なんてこともあるんですよ。税金等やインフレ率等、総合的なことを加味していくと、実は売却時にはほとんど利益がない、ということもあります。
不動産を所有している時点で、「成功している」とは言えないのです。それは「うまく回っているだけ」であって、成功とは違うのです。
売却して初めてわかるのだから。
関連記事:不動産投資の空室リスクを回避するために行うべき3つのこと
アパート経営で損をする人、得をする人
損をする人の特徴
市況に関係なく購入する
不動産投資の難しいところは「買ってはいけない時に我慢する」ということ。しかし、我慢することのできない人が多いんですよね。
例えば、リーマンショック後と現在では2倍以上の価格差がある地域だってあります。投資をする現地の不動産会社からすると、
「この利回りは長くは続かない」と思っている。しかし、買ってしまう投資家はいるんですよね。市況に関係なく買ってしまう投資家はすべからく損をしてしまうと思います。
融資の状況はどうなのか?蛇口はきついのか、緩いのか。現場で働いている売買担当者と密に連絡を取り、把握しておいた方が良いです。
売り時を間違える
売り時に関しては何とも難しい部分があります。築年数に関しては「築30年を超えると売れにくくなる」という定説のようなものはあると思いますが、物件によっては築古物件でも低利回り、高価格で売れることがあります。
ただ、売り時を間違えると、本当に売れなくなってしまう場合もあるんです。北海道の札幌に所有していた物件がありましたが、
その物件はランニングコストがとても高く、不良債権になってしまいそうな物件だったんですよね。固定資産税と月々の管理費だけで、賃料くらいのお金がかかっていましたから……。
なので、市場の価格よりも安かったのですが、売りました。
個人的には少しだけ思い入れのある物件だったのですが、市場価格より安い場合でも、キャッシュフローを悪化させる原因になっているのであれば、売却した方が「吉」という場合もあるのです。
得をする人の特徴
売り急いでいる人から安く買った人
売り急いでいる人っているんですよね。早めにお金が欲しい人だったり、後は相続でもらった物件だけど、「不動産なんて面倒だからどうでもいい」と思っている子供。
こういう人たちから買うと、安く買うことのできる可能性がありますね。私も何度かこのパターンで購入しています。
戸建やアパートで多いパターンです。アパート経営の実態は「厳しい場合」も多いのです。なので、息子や娘の代になると、
「どうせ儲からないし、売ってしまおう」となって売る。そこにうまく指値を入れる投資家が入ってくるのです。
こういう投資家は得をすることが多いですね。
私の経験から言える実態
安い時に買うという鉄則で資産は増える
大原則なのですが、安い時に買うという鉄則で資産は増えるのです。投資家の間で話題になるのは、「銀行の蛇口が緩いのか?」ということ。
しかし、銀行が融資をしてくれるからといって、「買い時」ではありません。そして、「投資適格物件」とは限らない。
だからこそ、徹底的に安い時に買うべきなのです。
日本の場合は、リーマンショックやバブル崩壊時に不動産価格が大暴落しました。アジア通貨危機の時も、ライブドアショックの時も、経済が傾いた。
そういうチャンスを虎視眈々と狙って、投資する必要があるのです。
投資家のスキルの中で最も重要なのは「待つ能力」」ではないかな、と。アパート経営の実態は良い側面ばかりではありません。
中には、大損をする投資家もいます。
今は土地神話が崩壊した時代です。待つこともまた大事です。
利回りだけで買っている投資は失敗する
不動産投資の利回りの最低ラインはどうやって判断する?等の記事でも書いていますが、不動産投資において、利回りは非常に重要な指標になります。
ただ、利回りだけを見て買っている投資は失敗する確率が高いのかな、というのが私が不動産投資を経験してから感じたことです。
アパート経営の実態ですよね。
例えば、現在でも「20%」を超える利回りの物件を目にすることがあります。仮に利回りだけで投資判断をするのであれば、「買い」です。
しかし、土地の形や水回りの状況、修繕の履歴や周辺環境によっては「買いではない」という場合もあるのです。
利回りだけで判断してはいけないのです。
紹介してもらえれば高稼働率
結局は、営業マンが紹介してくれなければ、空室率は高いままです。最近はsuumo等の不動産賃貸ポータルサイトを見て、連絡をしてくる人が増えてきました。
ただ、そうは言っても、1つの物件だけではなく、営業マンが紹介する2つ目、3つ目の物件を見る場合が多いのです。
だからこそ、紹介してもらえるように、営業努力をする必要がありますね。これが出来ないと、アパート経営をしたところで、その実態としてはあまり良い結果にならないと思います。
「不動産投資は不労所得で良いよね」なんて言われることが多い投資家。しかし、その実態は「営業マンよりもつらい営業マン」だったりすることも。
アパート経営の実態は、実は泥臭く、大変な作業だったりもするのです。
アパート経営の実態について、現役の投資家が書いてみました。
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