賃貸物件において入居者が退去した後に残していたものを残置物(ざんちぶつ)と呼びますが、この扱いについて困っているオーナーも少なくないのではないでしょうか。
今回はこの残置物の扱いについて解説をしていきたいと思います。
残置物とは
具体的に言うと入居していた人が退去した時に残していた私物のことを残地物と言います。
代表例としてはエアコンや冷蔵庫ガスコンロや照明器具(証明の傘)などがあります。
アパートやマンションの賃貸経営をしていると残置物の処理については悩むこともあるでしょう。
勝手に残していったものだからゴミだろうと言って処分してしまってはいけないのです。
残地物を残すには基本的にオーナーの許可がいる
基本的に残置物を残す場合は入居者はオーナーの許可を取る必要があります。
そもそも引っ越し先に持って行けないような家具や家電は処分をするにもお金がかかりますから、オーナーに許可をもらって残して行けるのであればそちらの方が処分費用もかからなくて入居者的には得ですよね。
ですが、こういった手順を踏まないで残置物を残して行ってしまった場合、オーナーもその残地物が不要だなと思ったら処分するのに費用がかかるわけです。
さらに残置物の内容によっては入居付けに影響が出る場合もあります。
例えばエアコンやウォシュレットといったものであれば残置物として受け取って入居付けをする時に完備設備として紹介することができるので入居付けにも良い影響を与えてくれるでしょう。
しかし例えばベッドやテーブルなどの家具の場合は入居付けに悪影響を及ぼす場合が多いです。
というのも家具に関しては中古品ではなく自分で新しいものを揃えたい、自分が今まで使っていたものを使いたいという人が日本の場合は多いからです。
自分の部屋を自分の落ち着くようにカスタマイズしたいというのが入居者の希望でしょう。
家具のような日常的に肌に触れて使うものに関しては、残置物として残さない方が良いです。
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設備と残地物の違い
最初から設備としてつけているものに関しては故障した場合、その修繕費用をオーナーが支払うのが一般的です。
ただ残置物に関しては賃貸借契約書で特約をつけていれば残置物取扱を入居者に任せることができ、残置物の故障は入居者の負担で修繕を行うという取り決めをすることができます。
例えばエアコンなんかは良い例です。
私も以前住んでいた賃貸物件で二つのエアコンがついていたのですが、一つが設備扱い、一つが残置物扱いとなっていました。
賃貸借契約の時も「残置物扱いのものに関しては故障した場合は修繕費は入居者の方負担になります」という説明をしっかりと受けました。
その時はあまり物件についての知識もなかったので設備と残置物だと扱いが違うということに驚いたものです。
特約をつけていない場合は残置物はオーナーの所有物ということになり、残置物であっても補償した場合はオーナー負担での修繕ということになってしまうのできちんと特約を付けるようにしましょう。
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勝手に処分してはいけない
退去したばかりの部屋に残されている残置物に関して、オーナーが許可したものじゃない物が残されている場合があります。
これに関しても所有権は前の入居者にある状況なので勝手に処分をすることは違法ということになります。
処分をする時に必要な手続きは以下の二つの方法になります。
- 所有者である前入居者と合意を得て処分
- 訴訟を起こして強制執行で処分
出来ればスムーズに事が済むので前者の方で片付けたいところです。
退去した入居者に連絡を取って、残置物があるということと残置物を処分する許可を得れば残置物を処分することができます。
念のため口頭での約束ではなくきちんと書面に残すようにしましょう。
また残置物の処分をするための費用は誰が負担をするのかということも明確にしておきます。
訴訟を起こして強制執行で処分する場合は残置物を競売にかけたり結局入札者がいないからオーナーの方で落札をして処分廃棄というような流れになるので非常に煩雑です。
また費用も多くかかってしまいますし、勝手に残置物を処理すると損害賠償請求をされる可能性もあります。
面倒ですが前入居者と連絡が取れない場合は法的手続きに則って対応をしていく必要があります。
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一般的な退去では残置物が出ることはない
一般的に入居者が退去する際は貸主と借主または管理会社の担当者が立ち会って原状回復が必要な場所や荷物の搬出状況を確認した上で鍵の返却をする明け渡し作業があります。
その立ち会いの時に残置物があれば指摘をし処分をどうするかということを話し合うことができるのでトラブル防止になります。
多くのオーナーは管理会社に管理を依頼していると思いますので明け渡し作業も立ち会ってもらうようにしましょう。
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