近年しばしば限界マンションという言葉を聞くようになりました。
実はこの限界マンションというのは、社会問題の一つとされており、日本国内で不動産投資をするのであれば内容を理解しておきたいものです。
今回はこの限界マンションについて解説したいと思います。
限界マンションとは
限界マンションとは管理維持に限界がきてしまっているマンションのことを指します。
建物そのものに寿命がきてしまっているものや、空室が多くなったために管理費を回収することもままならず、管理組合を運営していくことができなくなってしまっているマンションですね。
今まで不動産業界で問題視されていた空き家問題は地方の戸建てなどが多い傾向にありましたが、
こういった限界マンションは地方だけでなく、東京や大阪などの人口の多い都市でも増加傾向にあり、問題となっています。
供給過多となっているマンションがどんどん管理維持できなくなっており、今後もこの問題は深刻化していくでしょう。
特にタワーマンションなどの規模の大きいマンションは、限界マンションになりやすい傾向があります。
煌びやかなイメージのあるタワーマンションですが、戸数が多すぎて入居付けが難しく、また修繕には莫大な費用がかかります。
タワーマンションという特殊な構造を修繕することができるノウハウのある修繕業者もいません。
将来的にタワーマンションは深刻な社会問題を引き起こすことが懸念されています。
限界マンションが立ち並ぶエリアは犯罪の温床となり、スラム化しかねないとまで言われているんですよね。
たしかに空室率が高くなれば、不審者が隠れたり、住み着いてしまうこともあるわけです。
限界マンションが生まれる仕組み
ではこのような限界マンションはどうして生まれてしまうのでしょうか。
居住者の高齢化
一番最初に挙げられる原因は、居住者が高齢化することです。
マンションの管理というのは、住民が管理組合を設立して行うものですが、
高齢化が進むと管理組合の役員をやりたがらない人が増えたり、そもそも病気で入院してしまったり、老人ホームに入居してしまったりといった理由で管理組合に参加できない、ということも多くなります。
そういった状況では、管理組合を構成する人が少なくなってしまい、管理維持が立ち行かなくなってしまう、というわけです。
空室が増える
建物は必ず経年劣化していくものですから、築年数が長くなってくるとどうしても空室率は高くなります。
こういった空室率が高くなることもまた、管理組合の人員がいなくなることに繋がります。
また空室が多ければ管理費や修繕積立金も確保することができません。
管理が行き届かなくなってくればますます新しい入居者がつかなくなります。
こうしてデッドスパイラルが生まれてしまうんですね。
建て替えには居住者の5分の4以上の賛成が必要
一般的に50年前後でマンションは建て替えが必要になってくるものですが、
建て替えをするには居住者の5分の4以上の賛成を得る必要があります。
ただこの建て替えのための費用は、管理費や修繕積立金から拠出できるわけではなく、
基本的に建て替えにかかる費用を1戸あたりに換算してそれぞれがお金を出さなくてはいけないことになります。
当然高齢者のほとんどの方は費用負担をしてまで建て替えをするのは嫌だと考えるわけです。
ここから何十年も住む予定があれば建て替えをしてもいいですが、高齢者はそれを望まないですよね。
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限界マンションは安く買えても、デメリットが大きい
こういった限界マンションは、都心にあるものでもかなり安く購入することができます。
安く購入することができれば、不動産投資においてもキャピタルゲインを得られる場合がありますが、限界マンションに関しては価値が下がる一方になることが多いので、投資目的で購入するのは非常にリスクが高いと言えます。
立地がよくて安い、という点だけで飛び付かず、
管理組合がしっかり機能しているか、修繕積立金はきちんと積み立てられているか、修繕は最近行われているか、といったことをしっかりと調べて、
その上で物件を購入するかどうかを判断するようにしましょう。
都心は特に競合物件も多いですから、「人の多いところであれば入居付けもできるだろう」という考えで取得すると痛い目をみます。
駅徒歩3分程度であればまだ希望はありますが、駅徒歩7分以降になってくると急に厳しくなってくるイメージがあります。
都心ではワンルームマンションの供給率が高いことを考えると、結局物件を安く買えても、家賃を下げないと入居付けができない。
それどころか管理組合が機能しておらず、共有部がどんどん廃れていく、見栄えも悪くなって家賃を下げても入居付けできない、といった状況にもなりかねません。
限界マンションというものの存在を理解して、中古のワンルームを購入する時は慎重に吟味していただければと思います。