不動産を購入しようとしたときや不動産を相続するとなった時に抵当権付きの不動産だったということがあります。
不動産に抵当権がついているというのはどういうことなのでしょうか?
そういう不動産は購入しても良いのか?
相続した場合はどのような手続きが必要なのか?
今回は抵当権について解説していきたいと思います。
抵当権とは
抵当権とは金融機関から住宅ローンなどを組んでお金を借りる時に、購入する物件や土地などの不動産に対して、金融機関が設定する権利のことを言います。
担保にするというような言い方をすることもあります。
抵当権付きのローンを組むときはそのローンは有担保ローンと言われます。
それに対して抵当権のつかないローンは無担保ローンですね。
ローンの契約を締結した日に抵当権の設定登記も行い、ローンが完済されれば抵当権の抹消登記が行われます。
もし抵当権を設定して借りているローンの返済が滞ってしまったら、金融機関は抵当権を行使して不動産を差し押さえ競売にかけることができます。
もちろんローンが滞ってすぐに抵当権が行使されるということではありませんが、3ヶ月以上ローンを延滞し、督促状が届いてもなお半年延滞するといつ差し押さえを受けてもおかしくない状態となるでしょう。
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抵当権に関する手続き
抵当権を設定する時や内容を変更するとき、またローンが返済し終わって抹消をする時にはそれぞれ証書の作成や手続きが必要になります。
抵当権の設定
本人又は本人の代理人が法務局に出向いて登記手続きを行います。
大抵の場合は司法書士が本人の代理人として書類の作成を行い法務局に提出を行います。
登記の手続きを行う時は登録免許税がかかります。また司法書士に代理をお願いした場合は司法書士への報酬も必要になってきます。司法書士の報酬は金額によっても異なりますが2万円から10万円程度が相場です。
金額や依頼する場所によって料金が異なってきます。
登録免許税というのは登記の手続きをする時にかかってくる税金で、借りたお金の金額に0.4%の税率を掛けた金額となっています。
また金銭消費貸借契約書に貼り付ける印紙代もかかります。
印紙代は契約書が扱う金額によってことなります。
登記の変更手続き
ローンの返済中に名義人変更があったり住所の移転などがあった場合は、登記内容の変更手続きを行う必要があります。
登記変更手続きにかかる手数料は物件一件の証書につき1000円となっています。
こちらも司法書士に代理をお願いする場合は司法書士絵の報酬が必要になります。
抹消手続き
ローンの返済が終わっても登記簿謄本の抵当権の記載は自然に消滅することはありませんので、支払いが終了したら抹消登記の手続きを必ず行う必要があります。
抹消手続きにかかる費用は
- 法務局への申請料金(不動産一件の証書につき1000円)
- 司法書士費用
です。
ちなみに不動産一件の証書につき1000円なので、土地と建物両方の場合はそれぞれ1000円で合計2000円となります。
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根抵当権とは
抵当権という言葉に似ている言葉として根抵当権(ねていとうけん)という言葉があります。
根抵当権とは主に法人が利用するもので、「極度額」と呼ばれる金額の限度を定め、その範囲の中でお金を貸し借りすることができる抵当権の事を言います。
しかし毎回抵当権の設定を抹消するのは、お金もかかりますし面倒なので根抵当権という権利を設定します。
抵当権のついた不動産の売買や相続
抵当権のついている不動産の売買や相続はできるのですがいくつかの注意点があります。
抵当権付き不動産を購入する際
抵当権付きのまま物件を購入するとかつての売主がローンを滞納した場合購入したはずの家が競売にかけられる可能性があります。
そのため抵当権付きの物件は抵当権を抹消した状態で購入するのが鉄則です。
一般的には抵当権付きの物件の場合は引渡しと同時に抵当権の抹消を行うことになります。
買主が不動産を購入するために売主に支払った代金をそのまま売主は銀行へ返済することでローンの残債を抹消するような形となります。
不動産会社が仲介に入って不動産の売買を行う場合は、抵当権の抹消は必ず行われます。
もし不動産会社の仲介を入れず個人間で売買をする場合は抵当権の抹消を条件として必ず入れるようにしましょう。
しかし不動産投資をする上で個人間で不動産の売買を行うといた危険なことはあまりやらないほうが良いです。
トラブルの原因にもなりますしね。
相続する物件に抵当権が付いている場合
相続した家や土地などの不動産に抵当権が付いているという時ですが、ローンの返済が終わっているのに登記上の抹消登録をしていないという場合がありますので、その場合は抵当権がついていても気にせず相続をして、その後抹消登録手続きを行えば良いでしょう。
問題はローンの返済が終わっていない時です。
まず被相続人である亡くなった方が団体信用生命保険に加入していれば、死亡時にローンは完済されます。
しかし団体信用生命保険に加入していない場合は相続人がローン残債も相続するような形になります。
このように相続ではプラスのものの相続も出来るのですがマイナスのものも相続することになるんですね。
しかし不動産を売却してもローンが完済できない場合は相続放棄という選択肢もあります。
相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に行わなくてはいけないという条件はありますが、相続放棄を行うことも可能なんですね。
ただし相続放棄を行う場合はプラスの財産も含めて全て相続ができなくなるので注意が必要です。
もし武器を売却して売却金額でローンを返済することができ、さらにプラスになるのであれば、抵当権がついていて残債のある不動産てもそのまま相続をした方が良いでしょう。
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