地方の築古不動産を中心に、区分や戸建てでも投資をしています。
投資歴は10年を超えました。
今回は、不動産投資を始める時に開業届を出した方が良いのかどうか、ということについて解説してみたいと思います。
- 不動産投資を始めると言っても、まだ大きく収益が出る予定があまりない
- 副業としてやるだけ
という方は、開業届を出すかどうか悩む方もいらっしゃるかと思います。
開業届がどういうものなのか、提出をするメリットなど踏まえて解説していきます。
開業届とは
開業届とは、税務署に「新しく事業を始めます」という申告をするための書類です。
ご自身が住んでいるエリアを管轄している税務署に、「個人事業の開業・廃業等届出書」という書類を提出します。(法人の場合は「法人設立届出書」を提出)
原則として、開業届を提出するのは事業を始めてから1ヶ月以内とされています。
ただし、1ヶ月以内に提出しなかったからといって、何が特別な罰則があるわけではありません。
関連記事:不動産投資による税金対策、どんな仕組み?
開業届を出しても会社に通知が行くことはない
「副業として不動産投資をしたい」という方は、勤めている会社に内緒で始める方もいらっしゃるかもしれません。
開業届の提出先は税務署ですので、開業届を提出したからといって、勤めている会社に通知が行くようなことはありません。
なので、直ちに副業がバレることはないんですね。
ただ、住民税の計算の時に、会社でのお給料以外の収入があると副業をしていることが会社にバレます。
これは別の記事で詳しく書いておりますのでぜひ参考にしてみてください。
副業禁止の会社で副業的に不動産投資を始める場合、直ちにバレることはありませんが、収入が多くなってくるとバレる可能性があります。
ただ不動産投資は「事業」ですので、副業として扱わない会社もあります。
そのあたりが気になる場合は今一度、就業規則を確認するようにしましょう。
関連記事:不動産投資は副業になる?サラリーマンが不動産を始める時に知っておきたいこと
開業届を提出するメリット
それでは、不動産投資で開業届を提出するメリットを解説します。
融資を受けやすい
まず融資を受けやすい、というのがメリットです。
不動産投資を現金で行う方もいらっしゃいますが、やはり最初にどれだけのお金を投じることができるか、というのが収益性に大きく影響してきます。
100万円しか投じられなければ利回り10%の場合、1年で110万円。
1000万円投じることができれば、同じ利回り10%でも1年で1100万円になります。
この違いは大きいですよね。
会社員の場合は勤務先の源泉徴収票や勤続年数などをチェックされるため、開業届の提出を求められることはありませんが、開業届を出していれば、きちんと事業として取り組んでいく姿勢があることをアピールすることができます。
金融機関は「お金を貸した時に、きちんと返してくれる人」にお金を貸したいものです。
お金の管理がきちんと出来そうな人、意欲的な人ほど、お金を貸してもらいやすくなりますよね。
関連記事:【初心者向け】不動産投資をする際の融資に関する用語
経費として計上できる範囲が広がる
開業届を提出し、事業として届け出ていれば、不動産投資業にまつわる様々なことを経費として計上することができるようになります。
例えば、
- 物件探しのためにかかった交通費
- 不動産業者さんと打ち合わせをした時にかかる打ち合わせ費
- 物件の修繕費
- 自宅で作業していれば、作業量を按分して家賃や光熱費など
といったものも経費にすることができます。
青色申告で確定申告をすれば、控除額も大きくなりますので、節税にもつながります。
損益通算や、赤字の繰越ができる
開業届を出していれば損益通算(赤字と黒字の合算)や赤字の繰越などができます。
例えば会社員の方では当たり前ですが通年黒字ですよね。不動産事業が赤字になった場合、給与所得と合算すると、見かけの収入が減ります。税金がそこにかかってくる形になるので、結果として節税になるということです。
また、赤字は3年間繰越ができるので、収益が多かった年に赤字を繰り越すことで、節税ができる、ということです。
青色申告
通常、開業届を出しただけでは確定申告は白色申告となります。
青色申告をするためには、開業届のほかに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
提出期限は
- 1月1日~1月15日までの開業の場合は3月15日まで
- 1月16日以降に開業した場合は開業日から2カ月以内
です。
青色申告をするつもりなのであれば、開業届と一緒に提出してしまった方が忘れることがなくて良いかなと思います。
関連記事:不動産投資にも日本政策金融公庫は使える?どんな特徴があるの?
開業届は届出がなくても罰則はありませんが、届出は義務となっています。
解説した通り、提出した方が事業を続けていく上ではメリットが多いので、事業開始から1ヶ月以内には提出するようにしましょう。
1ヶ月を過ぎて提出をしても受理はしてもらえますので、まだ提出していない、という場合は早く提出するようにした方が良いです。