不動産を購入する場合は銀行などの金融機関からお金を借りることになるケースが多いと思います。
融資を受けるために金融機関がどのような基準で物件を評価するのかということを知っておくのは大切なことです。
物件の評価には二つの方法があります。
- 積算評価
- 収益評価(収益還元法)
という方法です。
都市銀行などでは積算評価が中心になることが多いですが、どちらの評価方法で評価をするかというのは銀行の融資方針によるところが大きいです。
できればどちらの方法も理解しておいた方が良いでしょう。
それぞれどのような評価の仕組みになっているのか解説していきたいと思います。
積算評価
積算評価とは評価を積み重ねて算出する評価方法になります。
土地の評価と建物の評価を積み重ねて算出するという意味です。
つまり
[積算評価額]=[土地の評価額]+[建物の評価額]ということです。
土地の評価額は
[路線価]×[面積]
で計算されます。
実際にはここから算出された評価額に金融機関がいくらか係数をかけて、評価額を最終的に決めるのですが、この係数についてはそれぞれの金融機関によって異なります。
路線価については国税庁のホームページにある財産評価基準書をで調べることができるようになっています。
路線価は100Dなどといった表記が使われていますが、この単位は1000円になっています。
なのでもし100Dと書かれていたら100×1000で1平方メートルあたり10万円という計算になります。
このアルファベットは借地の割合を表しており、その土地が借地権の場合どれぐらい評価が減らされるのかというランクを表しています。
- Aが90%
- Bが80%
- Cが70%
- Dが60%
- Eが50%
- Fが40%
- Gが30%
となっています。
続いて建物の評価ですが、建物の評価額は
[新築時の1平方メートルあたりの価格]×[延べ床面積]×[再調達価格]×([法定耐用年数]ー[築年数])÷[法定耐用年数]
で計算します。少し複雑な計算式ですね。
再調達価格は目安にはなりますが
- RC造…18万円〜20万円/平方メートル
- S造…15万円〜17万円/平方メートル
- 木造…12万円〜14万円/平方メートル
程度と考えておくと良いでしょう。
土地と建物の金額が出たら両方の評価額をプラスして計算します。
現在売りに出されている価格に比べて、この評価額の割合が高ければ高いほど収益物件となるので、金融機関の担保評価も高くなります。
とはいえ金融機関はこの路線価や構造によって算出された評価額だけを見ているのではなく、
その他にも
- 最寄りの駅からどれくらい近いか
- 土地の形は使いやすい形なのか
- 幹線道路に面しているか
- 部屋数は多いか
というようなポイントも見ているので、多少誤差はあると思っておきましょう。
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収益評価
次に収益評価(収益還元法)で不動産を評価する方法です。
収益還元法は不動産を運用することでどれくらい収益が得られるのかという、その不動産の収益性に注目して求める不動産評価方法です。
積算評価方法よりも収益性の高い物件であればあるほど多くの融資が受けられる可能性が高いということです。
収益評価の計算方法は金融機関によって異なるのですが、
だいたい満室家賃の80%の年間賃料収入の金額と、融資の返済額を見比べて、年間賃料収入の金額が多ければ融資を受けられます。
式にすると以下の通りになります。
年間賃料収入×80パ%>年間賃料収入×20%+年間返済額
年間賃料収入に対して80%をかけるのは年間の空室率を2割に見込んでいるためです。
また年間賃料収入に20%がかけられているのは年間の諸経費を2割と見込んでいるためです。
これらを踏まえて建物の築年数と構造から借入期間を割り出します。
年間返済額に関しては元利均等返済の計算ツールなどがインターネット上にあるので、それらを使って計算してみると良いでしょう。
金融機関側の目線で考えよう
金融機関側が最も恐れているのは、「貸したお金が返ってこなかった場合」のことです。
融資をするのであればその物件がしっかり収益を上げられる物件でなければいけません。
そのため、融資を受けやすくするためにも金融機関がどのような評価基準を持っており、どうやって不動産や物件を評価するのかということをしっかり知っておくと良いでしょう。
しかし銀行から融資が下りたからといって「安全な投資だと認めてもらえた」というわけではありません。
金融機関側はリスクヘッジのために投資対象物件に抵当権を設定し、融資したお金が返ってこない場合はその物件を売却して残債務を回収するようにしています。
銀行から融資が下りたからといって安全な投資というわけではないので、融資が下りても気を引き締めたまま不動産投資を行ってください。
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