車庫転(しゃこてん)物件という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
地方で高利回りの物件を探していると違法建築で建てられてしまっている物件にもよく出くわすものですが、
知識がないままに買ってしまうと、違法建築だと知らないままに物件を購入してしまう、ということもあります。
不動産業者が違法建築だと分かった上で売る場合もありますが、仲介を行うだけの業者では違法建築であるということまで調べられおらず、特にそういう説明もしないままに売る、という業者もあります。
今回は違法建築の中でも関西エリアでよく見かける車庫転物件について解説してみたいと思います。
車庫転物件とは
車庫転物件とは関西エリア、中でも特に大阪で見られる違法建築物の一種で、建ぺい率・容積率がオーバーしている物件です。
昭和の終わり頃から平成にかけて、高利回りを獲得するために大阪では常套化していた手段で、一般的には人気のエリアだと10%も利回りがあるものは少ない中で、大阪という人気エリアにおいてこの車庫転物件は12〜13%ほどの利回りがある物件になります。
投資用物件を探してたら大阪で利回りが13%もある物件が!?となれば、食いつくオーナーも多いのではないでしょうか。
しかし売れ残りには売れ残りの理由が、高利回り物件には高利回り物件たる理由があるものです。(たまにお宝物件があったりするので厄介なところなのですが)
通常、建物を新築で建てる場合は、建築基準法に基づいて設計がされ、役所に建築確認申請を行います。
そこで不備があれば見直しを行う必要があり、法律に基づいた設計を行うよう修正させられるものです。
しかし車庫転物件では建築確認済証が発行されたあと、実際に建築をする段階で設計を違法なものへと変更し直してしまうんですね。
これが一時期大阪を中心とした関西エリアで当たり前のように行われていました。
5階建てのマンションで1階を車庫、2〜5階を住居として申請すると、1階の車庫部分は面積の制限は受けるものの容積率には参入されません。
その内容で建築確認済証が出てから、1階部分を住居に違法変更するのです。
このように車庫から住居に転用するので車庫転と言われるんですね。
車庫として貸すよりも住居として貸し出せば、賃料もあがりますから利回りもよくなります。
このような構造で利回りが都心部なのに12〜13%、ものによっては15%を超えるような物件が出回っていたりするのです。
しかり地方物件では利回りが20%以上のものもありますから、大阪にしては利回りは高いけど、これくらいのものもあるのかな?と知識もなく購入してしまうオーナーもいるわけです。
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違法物件は購入できる?融資は?
関西の金融機関やノンバンクであれば、流通している物件に違法物件も多いため融資をしてくれるところが多いようです。
融資先は限定されてしまいますが、こういった車庫転物件でも融資を引いて購入することができる、ということですね。
また、違法建築物件を購入したからといって、個人の信用毀損になることはありません。
容積率オーバーの高利回り物件を保有しているオーナーはたくさんいます。
とはいえこういった違法建築物件というのは検査済証のない物件も多く(検査済の内容と実際の建物が違うわけですからね)、金融機関によっては検査済証がないという理由で融資を断られることもあります。
違法建築物件の難しさ
違法建築を所有すること自体が違法ということではないのですが、違法建築を購入して何かしらのトラブルがあった場合は、所有者として責任を求められることがないとは言い切れません。
そういった意味では不動産投資初心者にはとても難しい物件だなとも思います。
そのリスクをしっかりと理解した上で購入するのと、全く知識がなく、違法建築だとも知らないまま購入するのとでは意味が違ってくるでしょう。
違法建築を購入したくない、と考えるのであれば、物件を購入する時にきちんと検査済証があるかどうか、ということは確認した方が良いですし、
できるだけ不動産業者ともコミュニケーションをとって、購入を検討している物件の情報を集めるようにしましょう。
インターネットで周辺事情のクチコミを調べたり、現地にきちんと足を運んで物件や周辺環境を調査することも大切です。
利回りにとらわれすぎて、その部分だけで物件を探していると、こういった違法建築にも辿り着きやすくなりますので注意してください。
大切なのはやはり、自分の縁のない土地で物件を購入する場合は、そのエリアの慣習のようなものを自分が知らない、ということを認識しておくことです。
地方に投資をしていると、そのエリアでは当たり前になっていること、というのがたくさん存在するんだなと強く感じますね。
初心者の方はやはり自分の馴染みのあるエリアでまず不動産を購入する方が良いと思います。
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