不動産を購入するときに注意して見ておくべきなのがセットバックという言葉です。
特に中古物件や土地を購入する時に物件の詳細に要セットバックというような言葉を見つけたら注意が必要です。
今回はこのセットバックについて解説していきたいと思います。
セットバックとは
行政の考え方として防災に強いまちづくりが日本の中で目指されています。
そのためどのような道でも消防車が入れるようにしたいと考えられているんですね。
しかし歴史のある地域だったりすると道路の道幅がとても狭いところがよくあります。
そういった場所で火事などが起きてしまった場合、消防車が入れなくて消火活動が遅れてしまったりします。
そこで新しく建物の建て替えをしたりする場合は消防車が入れるように道幅を確保するため、土地を後退させるようにしています。
この土地を後退させるということをセットバックと呼んでいます。
専門的には「法42条2項道路」や「みなし道路」と呼んだりします。
歴史がある地域の道を歩いていると道路がボコボコしていて道に飛び出しているお家があったりします。
この道に飛び出しているお家というのはまだセットバックが完了していないお家ということですね。
既にあるお家に対して、立て替えて道路を明け渡せ!というのはなかなか難しいことなので、
建て替えの際にセットバックする決まりになっています。
逆を言えば建物が現存する限りはセットバックを行う必要はありません。
もちろんこれは消火活動などを行う際に推奨されている道幅を確保するための決まりなので、建て替えないからセットバックしなくていいままだというわけではありません。
緊急時のことを考えればやはりセットバックをしておく方が望ましいでしょう。
基本的には道路の幅を4メートル以上を確保するためにセットバックを行います。
この4メートルという規定は法的に決まっているもので、車2台がすれ違うことができる道幅であり、消防車などの大型の車両が通ることができる道幅です。
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セットバックによって土地が小さくなる
物件がまだセットバックされていない状態で売りに出されている場合はこのセットバック部分の土地も販売価格に含まれています。
しかしセットバックが必要な物件に関しては実質有効な面積はセットバック部分を差し引いた面積になるので、そこから建ぺい率や容積率が算定されます。
どれくらいセットバックしなくてはいけないのかというところが土地の形や道の形態、対岸がどのようになっているかということにもよってきますので
土地や中古物件を購入する時は、不動産業者などにどれぐらいセットバッグを行わなくてはいけないのか、そうした場合建ぺい率や容積率はどう変わるのか、など詳細を確認しておいた方が良いでしょう。
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セットバックは拒否できる?
基本的にセットバックを拒否することはできません。
現存する建物がそのまま使用される場合はセットバックをする必要はないのですが、建築確認が必要になるためセットバックをせずに新築や建て替えを行うというのは不可能です。
購入する土地があらかじめ狭くなってしまうことがわかっているため、セットバックが必要な不動産の場合は、相場から値段が安くなっている場合もあります。
必ずしもデメリットばかりが目立つ不動産ではありません。
ただしどの程度セットバックが必要なのかということはあらかじめきちんと確認しておいた方が良いでしょう。
またセットバック済となっている土地もありますが、念のためきちんとセットバッグが行われているかということも確認してもらうようにした方が良いと思います。
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セットバック部分は駐車場にできる
セットバックをした部分ですが、この部分は道路とみなされるため通常駐車場として利用することはできません。
また塀やフェンスなども敷地の中に収める必要がありセットバック部分に立てることはできないようになっています。
ただしすぐに移動できる状況である場合は駐車場として利用しても問題ないことになっています。
平面駐車場として利用するのであればセットバック部分を有効活用することができるんですね。
ただし駐車場としての利用をする場合はすぐに移動できるという条件がついてしまいます。
これは緊急時に消防車のとこ通る時にすぐに車をどかすことができるよう求められるからです。
ただ、この条件付きではあるものの車庫証明も取得することは可能です。
駐車場以外に建築物を設置したりすることはできないのでなかなかそれ以外の用途で有効活用するのは難しいでしょう。
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セットバックにかかる費用と買い上げ
セットバックした土地の処理は自治体によって異なっており行政によって無償譲渡、無償使用承諾などの処理をされます。
一部の自治体ではセットバック部分の土地を買い上げてくれる場合もあるようです。ごく少数のようですが。
セットバックをするにあたってかかってくる費用に対しても助成金などを出している自治体もあるので、
セットバックが必要な不動産を購入する場合は具体的にどれぐらいの金額がかかるのか、さらにセットバックすることによって土地がどれだけ狭くなるのかということをきちんと確認した上で検討すると良いでしょう。