アパート経営をするにあたって見逃しがちになってしまうのが水回りのことなのですが、
賃貸トラブルの中でも水回りのトラブルは一番多く、水関連の問題に悩まされているオーナーは少なくないです。
中でも浄化槽を使ったアパートの場合は、ランニングコストが多くかかってきてしまいます。
今回はアパートの浄化槽についてスポットを当ててお話ししていきたいと思います。
アパートの水道の種類
アパートの水道の種類には
- 井戸水
- 上水道
- 下水道
- 浄化槽
といったようなものが挙げられます。
賃貸契約の場合はほとんどの場合が上水道で水を出しそれが下水道か浄化槽に流れていくというのが一般的です。
浄化槽というのは建物につけられているタンクのようなもので、上水道から流れてくる水道を使った後の水が流れこみ、
その水をある程度綺麗にして川などに放流しています。
一般的には上水道で使った水を下水道に流すという流れになりますが、
浄化槽を使っているアパートの場合は浄化槽で汚水や雑排水を処理、濾過しています。
下水管を使うのが一般的ですが、下水管を引くにもお金がかかるので
下水管が来ていないアパートなどで使われていたことが多く、現在もそのまま浄化槽が使われている物件なども残っているんですね。
衛生面に関しては平成13年度に浄化槽法の改定があり、
新規に浄化槽を設置する場合は生活排水(=し尿と台所、お風呂、洗濯等の雑排水を合わせたもの)のすべてを浄化できる「合併処理浄化槽」のみの取り扱いになりましたので、
以前よりもだいぶ改善されています。
下水道と浄化槽の違い
下水道と浄化槽の違いですが、
まず入居者目線で言うと下水道に比べて浄化槽を使っているアパートの方が水道料金は安くなります。
というのも下水道を利用するにも水が必要になってきますので、下水道を使っているアパートだと上水道と下水道どちらのぶんも水道料金がかかってくるんですね。
なので下水道を使う必要がない浄化槽を使っているアパートの方が水道料金は安くなります。
ただこれをオーナー目線で言うと少し話が違ってきて、
浄化槽は定期的に清掃や点検が必要になってくるものなので、ランニングコストがかかります。
水道料金は安く済むかもしれませんが清掃や点検のコストと手間がかかることを忘れてはいけません。
関連記事:アパートの水道管が凍結したらどうしたらいいのか。予防策も紹介
浄化槽の場合にかかってくるコスト
では実際に浄化槽のアパートの場合はどれぐらいのコストがかかってくるのかと言うと、
だいたい毎年5万円前後のランニングコストがかかってくると考えた方が良いでしょう。
法律によって保守点検と清掃が義務付けられているためかかってくるコストです。
これとは別に浄化槽自体の耐用年数も30年から40年とされているため、浄化槽を使っているアパートで大体築30年程度経っているアパートの場合は
浄化槽そのものや設備機器の交換などが必要になってくることがありますので注意が必要です。
小規模なものでも浄化槽そのものを交換する場合は50万円から60万円ほどの大きなコストがかかってきます。
この部分を見落としてしまって築古物件を購入してしまうと、思っていたよりも収支の計算がうまくいかずマイナスになってしまうこともありますので
アパートの水道がどのような仕組みになっているのかということもきちんと把握してから物件を購入する必要があるでしょう。
またアパートを購入する際に、浄化槽を使っているアパートなのであれば
下水管へ切り替えを行う工事が可能かどうかということも問い合わせてみるといいかもしれません。
場合によっては建設された当初は下水管が利用できなかった地域でも、現在では下水管を利用することができるようになっており
切り替え工事ができて、思っているよりランニングコストを下げることができるかもしれません。
清掃・点検費用は誰が負担する?
清掃点検費用についてですが、年3回程の保守点検と年1回の清掃が必要になってくる浄化槽は年間でランニングコストが約5万円ほどかかってきます。
一般的にはこれはオーナー側が負担するのが普通です。
というのも水周りの設備というのは、生活をする上でなくてはならない設備であり、
そこに住むために必要な設備なので、家屋とともにその設備を提供するという意味でオーナー側つまり貸主が負担をします。
ただこれは大きなランニングコストになってきますので家賃や共益費などに含めて、価格設定をしているオーナーが多いです。
家賃とは別に清掃点検費用などを請求するとトラブルにもなりかねませんからね。
現状回復費用として浄化槽の清掃点検費用を借主に請求する場合もありますがこれもトラブルになりやすいケースなので
できれば家賃や共益費などに含めてしまうのが良いかと思います。
もちろん入居者の故意過失によって浄化槽の清掃が必要になった場合はその費用は入居者に請求することができるでしょう。
また賃貸借契約書に特約をつけて浄化槽清掃費用などを入居者負担にしている場合もあります。
いずれにせよトラブルになりやすいポイントではありますので、賃貸借契約書を結ぶ時にしっかりと説明をすることと
オーナーも浄化槽についての知識をきちんと持っていることが大切でしょう。
関連記事:賃貸の入居トラブル!オーナーはどう対応すればいい?