総務省の5年に1度の調査で、日本全国の空き家の数が900万戸になったことが明らかになった、というニュースが出ていました。
全国の空き家 過去最多の900万戸に 住宅全体の13.8% 総務省(NHK NEWS WEB)
増え続ける空き家は社会問題かしており、
2015年5月には空家等対策特別措置法が2015年5月に全面施行されました。
そしてさらに、2023年6月にその一部を改正する法律が公布されています。
今回は、この空家等対策特別措置法の法改正によって何が変わったのか、ということを解説してみたいと思います。
空家等対策特別措置法とは?
まず、空家等対策特別措置法について。
正式名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」ですが、「空家等対策特別措置法」や「空き家法」と呼ばれることがあります。
以前までは空き家だったとしても所有者の許可なく行政機関が立ち入り調査を行うことは認められていなかったのですが、
空き家法の施行によって、立ち入り調査が認められるようになりました。
また、住民票や戸籍などで所有者の情報を調べることも許可されるようになりました。
空き家の定義ですが、空家等対策の推進に関する特別措置法第二条一項において、以下のように定義されています。
この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
人が住んでいなく、長く使用されていない家屋は空き家ということですね。
さらに、第三条では、所有者や管理者の責務が定められています。
空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。
所有している家屋が特定空家等というものに指定された場合、
行政の助言や指導に基づき、適切な対応を取る必要があります。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
なぜ空家等対策特別措置法は改正された?
空家等対策特別措置法は比較的最近定められた法律ですが、
この法律が施行されてからも空き家の増加は止まっていません。
そして約20年で1.9倍となっているのが現実です。
空き家対策がより実行力を持ってできるように、空家等対策特別措置法の改正がされました。
この改正によって変わってくるものも大きくありますので、
特に空き家投資をしようとしている方や、相続などで持て余している不動産がある方は、改正されたポイントをチェックしておいた方が良いでしょう。
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空家等対策特別措置法改正で何が変わった?
空家等対策特別措置法の改正で大きく変わったポイントを3つ、まとめてみたいと思います。
空家等の活用拡大
令和5年12月の改正には、空き家をより活用しやすくなるために、次のような措置ができると定められています。
- 市町村による用途変更や建て替えなどを促進(空家等活用促進区域の設定や土地の前面道路の幅員規制・用途規制の合理化など)
- 所有者のいない空き家を処分するため、市町村が所有者の代わりに処分できる財産管理人の選任を裁判所へ請求できる
- 市町村長が空き家の活用または管理のための空き家等管理活用支援法人を指定できる
今までは、建築基準法などの規制がネックとなって、建て替えや修繕がうまく進められていないケースもありました。
これが改正によって少し緩和されています。
たとえば前面の道が幅員4m未満でも建て替えや改築等が用意になる、など。
空き家投資を狙っているオーナーにとっては朗報ですよね。
管理の確保
特定空家等の増加を防ぐために、国や自治体が「管理不全空家等」というものを設定することができるようになりました。
管理不全空家等とは、放置すれば特定空家等になるおそれがある、特定空家等の前段階の空き家ですね。
管理不全空家として勧告を受けた空家の所有者・管理者は、国の指導を受けながら管理指針に則した措置を行わなければならないとされています。
たとえば定期的な換気や通水、庭木の伐採などです。
日本の場合は、更地にしてしまうと固定資産税が上がってしまう、という背景があり、
そのため建物は使わないけど残しておく、という流れがあり、kろえが空家問題に繋がっているというのもあります。
勧告された空家は固定資産税が軽減される住宅用地特例が適用されなくなります。
これは空家を放置している人には痛手になるでしょう。
特定空家の除却等
行政代執行をより早く、円滑に進めるため、緊急時に命令がなくても代執行が可能な「緊急代執行制度」が創設され、代執行費用も裁判所の確定判決が必須ではなくなり、強制的な徴収が可能になりました。
放置された空き家を所有者に代わって管理・処分できる財産管理人の選任を市町村が裁判所に請求できるようにもなっています。
改正前に比べると、特定空家は除去手続きが進めやすくなったんですね。
空き家はますます手放す人が多くなりそうですので、相続などのタイミングを狙って投資してみるのもいいかもしれません。
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