売買知識

固定資産税は更地にすると高いのはなぜなのか

日本中に増え続ける空き家が問題になっていますが

空き家が増える根本的な理由を知っているでしょうか?

 

確かに空き家はもう住まない家、解体する家なので

解体するのに費用がかかるから、というのもあるのですが、

実は空き家を解体してその土地を更地にしてしまうことによって固定資産税が高くなる、というケースがよくあります。

 

このせいで空き家が増え続けている、という実態もあるんですね。

 

ではなぜ更地にすると固定資産税が高くなってしまうのか、ということについて

今回は詳しく解説して行きたいと思います。

 

家屋を解体すると固定資産税が高くなる理由

 

空き家を解体して更地にすると、なぜ固定資産税が高くなるのか、というと

土地に建物が建っている時は、固定資産税の負担が軽減される特例があるんですね。

軽減措置特例」があるのです。

 

建物を解体してしまうことによって、その特例が適用されなくなってしまうので

更地になると固定資産税が高くなる、という仕組みになっているんです。

 

建物を解体して固定資産税が高くなる、というよりは

もともとあった固定資産税が特例によって軽減されていたものが、特例を外れて元の値段に戻る、という方が正しいんですね。

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固定資産税の特例措置とは

 

では土地に建物が建っている場合の固定資産税への特例措置というのはどういうものなのでしょうか。

 

特例の内容は以下のようになっています。

 

住宅の敷地で住宅1戸につき200平方メートルまでの部分(小規模住宅用地)については、課税標準を登録価格の6分の1とする。

200平方メートルを超え、住宅の床面積の10倍までの部分(一般住宅用地)については、課税標準を登録価格の3分の1とする。

 

ここで言う住宅用地、というのは建物が建っている土地のことを指しますので、

建物がなくなり更地になった場合は、この特例措置は適用されなくなる、ということですね。

 

小規模住宅用地の場合は特例から外れてしまうと6倍の固定資産税がかかってきてしまうので

更地にすることで大きな損をしてしまうのです。

 

これが今、社会問題ともなっている空き地が増え続けている大きな原因です。現在も平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計結果の概要を見てみると、900万個弱ありますからね。

街に出てみると、「このボロい家はなんで解体しないのかな?」と思うかもしれませんが、それは特例措置を解除されたくない土地のオーナーの意向でもあるのです。

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土地の活用方法を決めてから解体しよう

 

実際にはこの固定資産税が変わってくる、ということを知らずに家屋を解体してしまい、

想定していなかったのに固定資産税が上がってしまった、という人もいます。

 

建物を解体することによって、実際にどれくらい税率に変動が出るのか、ということを調べた上でしっかりとした計画を立ててから建物の解体に踏み切るようにしましょう。

 

土地を売却するために建物を解体するのであれば、解体費用を売値にのせることもできますし、

そうすれば場合によっては解体を行なっても最終的に収支がプラスになることもありえます。

小さな木造戸建でも50万円程度〜100万円程度はかかりますしね。

更地にしてしまうと固定資産税が高くなってしまう土地なのであれば

用途が決まってから解体をする、というのでも良いでしょう。

 

ただ、現在は空き家が社会問題になってきていますので

国から補助金が出るようなケースもあります。

 

これは各自治体によって制度が異なりますので、必ずしも補助金が出る、というわけではないのですが、

条件も異なり、比較的条件がゆるいところもあるので最大限補助金を利用するためにもしっかり調べておいた方が良いでしょう。

 

自治体に直接、もしくは解体業者などに相談してみると良いと思います。

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空き家を解体せず放置するリスク

 

家屋を解体するにもお金がかかりますし、

どうせ使わない家なのであれば、解体せず放置しておいた方がいい、という考えの人が多くなってしまうのは仕方がないことだと思います。

 

更地にすることによって固定資産税が高くなるリスクを考えたらなおさらのことですよね。

 

ですが、空き家をそのまま放置していると結局固定資産税が高くなってしまうどころか、余計にお金がかかってしまうリスクもあります。

 

空き家を放置していると、そこが犯罪の温床となってしまったり、

動物が住み着いてしまって繁殖してしまったり、不法投棄が増えてしまったり、と様々な問題が起こります。

 

これらの空き家の対策として「空き家対策特別措置法」というものがとられるようになりました。

 

「特定空き家」と認定されると、勧告や指導の対象となり

それでも対策が講じられない場合は、固定資産税の特例が外されてしまうんですね。

 

つまり更地にした時と同じように固定資産税が上がってしまうんです。

 

さらに罰金が課せられることもありますし、

所有者の代わりに行政が対策を行う行政代執行が行われれば、その費用も徴収されることがあるので注意が必要です。

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固定資産税が高くならないケースもある

 

建物を解体して更地にしても、農地として申請したり、

条件によっては固定資産税が高くならないケースもあります。例えば、所有している土地の地目が「宅地」の場合は農地に変更することにより、

固定資産税が高くならないことがあります。

ただ、無理に農地にするのであれば、地場の工務店を使って利回り8〜10%くらいを想定し、アパートを建てた方が将来的には効率的だと思います。

 

しかし、この条件に関してはかなり深い知識が必要になってくるので

専門家に相談するのが一番良いでしょう。親の代から持っている土地を相続してしまい、その固定資産税で悩んでいるオーナーさんも実は多かったりします。

アパートを建築して、その分固定資産税を軽減させつつ収益をあげてみる、というのも1つの選択肢です。

例えば、5000万円の土地に5000万円で建物を建てたとしましょう。1億円ですよね。利回りは8%程度で考えるとします。

年間で800万円が家賃収入として入ってくる計算です。固定資産税軽減措置を受けつつ、収益化もしていく。これが効率的な方法だったりもしますね。

もちろん、農地に転用してみるというのも1つの手段ですが、将来的なことを総合的に考えると、ただ単に農地に転用するのもどうなのかな、とも。

細かい部分は土地の税理士などに相談してみるのも良いかと思います。

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