不動産管理

アパート経営における生活保護受給者の入居の際の注意と戦略

アパート経営で多くのオーナーが頭を悩ませる問題の一つとして生活保護受給者の入居を受け入れるかどうかという部分があると思います。

地域にもよりますが地方の物件などは特に生活保護受給者のが多い場所もあり、家賃の値段によっては生活保護受給者からの入居希望が多い物件もあるでしょう。

 

厚生労働省の平成29年2月の発表した数値によると生活保護受給者数は約214万1881人、約163万8944世帯となっています。

この数字をもとに考えるとおよそ50人に1人が生活保護を利用している計算になります。

 

最も生活保護受給者が多いのは高齢者世帯ですので、これからさらに高齢者が増加していくことを考えると生活保護受給者の入居について検討せざるを得なくなっていくと思います。

 

今回は生活保護受給者の入居を検討しているオーナーのために、生活保護受給者の入居を受け入れるメリットとデメリット

さらにアパート経営戦略について解説していきたいと思います。

 

生活保護受給者の入居を受け入れるデメリット

 

生活保護受給者の勇気を受け入れるかどうか悩む一番のポイントは、やはり「トラブルが多くなってしまうのではないか」という部分だと思います。

 

トラブルが多くなればその分、オーナーの仕事も増えてしまうので、

できれば属性が良くて堅実なタイプの人に入居して欲しいと、オーナーなら誰しもが思うでしょう。

 

その中でも一番懸念されるのが家賃滞納リスクだと思います。

 

生活保護受給者は自治体から住宅扶助の支給を受けているのですが、基本的に生活保護費自体が暮らしていくのに必要最低限の金額なので

住宅扶助の支援に手をつけてしまう生活保護受給者が多いのです。

 

それによって家賃の支払いが滞ってしまうんですね。

 

また生活保護受給者に入居してもらう場合はケースワーカーと連絡を取り合い、見積もりや費用確認などを行うため、初期費用の支払いが行われるまでに一般的な入居者よりも時間がかかってしまうというデメリットがあります。

 

物件の内見から実際に入居してもらうまで一か月以上かかることも少なくありません。

 

その間は当然空室という扱いになってしまいますから、オーナーとしては痛手になります。

 

さらに生活保護受給者の半分以上は高齢者となっています。

高齢者世帯の約90%が単身者ですので、孤独死のリスクもあることは否めません。

 

孤独死の場合、発見が遅れてしまうと物件が事故物件になってしまう可能性もあります。

関連記事:生活保護を受給している住人が死亡した場合のアパート退去費用について

 

生活保護受給者の入居を受け入れるメリット

 

生活保護受給者の場合、先述したように入居をするのがとても大変ではあるので、一度入居してもらえば転居する可能性が低く、長期で入居してもらえることが多いです。

空室率を下げるために生活保護受給者に入居してもらうのは良い策だと言えるでしょう。

 

また次回から敷金や礼金などの初期費用や更新費用が支払われるので、一般の入居者よりも節目で退去してしまうという可能性も低いです。

関連記事:賃貸の平均居住年数の傾向と、長期入居促進の方法

 

入居受け入れの際注意するポイント

 

家賃滞納リスクが最大のデメリットにはなってしまうので、その対策として保証会社を通すというのが一番良いと思います。

最近は生活保護受給者でも保証を受け付ける家賃債務保証会社が増えており、保証会社を利用していれば万が一家賃が滞納されてしまったとしても、立て替えや督促などを行ってもらうことができます。

 

オーナーが直接入居者に督促などを行う場合は作業が増えてしまうので得策とは言えませんが、家賃保証会社を通せばそういったことも代行してもらえるのでリスクを下げることができるでしょう。

 

また保証会社が見つからず連帯保証人もいないという場合は、自治体から直接オーナーまたは管理会社に住宅扶助を支払ってもらうという方法をとることもできます。

これは住宅扶助の代理納付制度というもので、本人を通さずに住宅扶助を家賃として送金してもらうことができるので、

生活保護受給者である入居者は住宅扶助にも手をつけてしまって家賃を滞納してしまうという事態を避けることができるのです。

 

この方法をとれば、確実に家賃を回収することができるのでオーナーにとっては良い入居者になると言えるでしょう。

 

ただしこの制度は自治体によって導入されていない場合もありますし、生活保護受給者本人の同意が必要になりますので、入居の際に確認が必要です。

関連記事:家賃滞納をして夜逃げされてしまったら住民票で追跡できる?

 

生活保護受給者のニーズ

 

生活保護受給者は生活保護としてもらってる金額とは別に住宅扶助を受け取っています。

どんな家に住んでも住宅扶助として受け取れる金額の上限は変わらないので、住宅扶助として受け取れる金額の上限ギリギリの家賃の物件を探そうとするものです。

 

実はそうなってくると、そのエリアの中でかなり安い家賃の物件が人気というわけではなくなってくるのです。

意外と生活保護受給者の方が生活保護を受け取っていない貧困層よりも裕福に暮らしているというケースがあります。

 

家賃を下げれば生活保護受給者が入居してくるというわけではないので、設備などにもきちんと投資をして、家賃相場に見合う家賃で募集をかけた方が良いでしょう。

 

空室対策で家賃交渉に応じて生活保護者の入居を可能にすると、他の入居者がその情報を聞きつけて家賃減額の交渉を行ってくる可能性もあります。

また他の生活保護受給者も同じ値段で入居希望を出してくる可能性もあるので、家賃下落の可能性が出てきてしまいます。

 

生活保護受給者の入居を狙って家賃を下げるというのは、しない方が良いでしょう。

関連記事:大家が家賃を値上げするタイミング、妥当な条件とは。

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