物件を探していると、たまに違法建築の物件と出会うことがあります。
違法建築物件の売買はできるのでしょうか?どのようなことに気をつければいいのでしょうか?
不動産投資として違法建築物件の売買を検討してる方向けに、詳しく解説していきたいと思います。
違法建築とは
違法建築とは、
- 建築基準法
- 都市計画法
- 消防法
- 都道府県の条例
などに違反している建築物のことです。
違法建築と似たものとして既存不適格物件というものがありますが、厳密に言うとこの二つは異なるものです。
違法建築とは、そもそも物件を建築した当時の建築法にと違反していたものを指しますが、
既存不適格物件は、建築当時の建築法には適法だった物件のことを指します。
建築法などの建物に関する法律は近年で多く変わってきており、建築当時には適法だったものの、法改正によって現行の法律には適合しなくなってしまった物件、というのが存在します。
それが既存不適格物件です。
しかし素人からすると違法建築物件なのか既存不適格物件なのか、というのはすぐに判断することができるものではないですよね。
それを判断するために確認するべきなのが検査済証と言われるものです。
これは物件の建築工事が終わったあとに、しっかりと建築当時の法律に即して物件が建築されているかどうか、ということを検査する完了検査を行い、それが済んだあとに交付されるものです。
検査済証がある物件の場合は、違法建築ではなく既存不適格物件ということになります。
違法建築物件は売買できるの?
違法建築というと「売買したら違法になってしまうのではないか?」と心配になる人もいるかと思いますが、違法建築の売買自体は違法ではありません。
先ほど検査済証の話をしましたが、実は30年以上前になってくるとこの検査を受けていない物件も結構あったようです。
旧耐震基準で建てられている物件は全て既存不適格物件に該当しますし、意外とこういった物件って多いんですよね。
家は簡単にリフォームしたり建て替えたりすることができるものではないのに対して、法律はよく変わってしまいます。そのため、現行の法律には適さない物件もたくさんあるのです。
違法建築物件購入時の注意点
行政処分を受ける可能性がある
違法建築の場合、ずっと所持をしていると行政処分を受ける可能性があります。
違法建築は直ちに直さなくてはいけない、というものではないものの、安全性を鑑みて法令に適合するように改修に努めなくてはいけません。
建築基準法上の行政処分は、重いものであれば懲役3年以下、または300万円以下の罰金の刑に処される可能性があり、建物の取り壊しや使用禁止の是正措置がとられることもあります。
火災や災害時に責任を問われることがある
違法建築物を建築した人だけでなく、実は所有者も有事の際に責任を問われることがあります。
安全性が確保できていない建物を賃貸することで、所有者も責任を問われる可能性があるんですね。
融資がつきづらい
違法建築の場合は融資がつきづらいです。
国としては違法建築が存在していることは仕方がないことだし、すぐにどうこうできることではないけれど、時間と共になるべく違法建築の数は少なくしていきたい、という方針なわけです。
つまり金融機関がそこに融資をしてしまうと「違法建築の延命を手伝った」ということになってしまうんですね。
なので金融機関で違法建築に融資をしてくれるところは少ないです。
たとえば現金や、ノンバンクを利用するなどして違法建築を購入することができたとしても、結局売却する時に買主が見つかりづらい、ということになります。
違法建築物件の購入の時に考えたいこと
是正可能ならいいかもしれない
物件を増築することで違法建築となってしまった物件もあります。
こういった物件の場合は増築部分を取り壊してしまえば是正することができるので、是正ができる物件であれば、取り壊しにかかる費用などを踏まえた上で購入する、というのも一つの手でしょう。
違法建築というだけで価格は一般的な物件よりは安くなりますから、そこを踏まえて計算して安いと感じる物件なら購入するのも良いと思います。
土地の値段で考えてみる
違法建築というのは建物の部分の話なので、最悪の場合物件を取り壊してしまって更地にして売却する、ということができます。
土地の値段だけで考えた時に安いと感じることができる物件なのであれば、出口戦略も見据えて購入することができるのではないでしょうか。
違法建築、というだけで利回りはやはりよくなりますので、それだけで判断しないように注意が必要です。色々なリスクがあることを把握した上で購入を検討しましょう。
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