中古投資物件を探していて、
利回りの良い物件だなー!
と思ってよくよく見てみると問題がある、というのはよくあることですが、そのうちの一つが違法建築です。
違法建築というとギョッとされるかもしれませんが、実は昭和〜平成にかけて、利回りを高くするために違法建築はよく建てられており、中古物件の場合はあまり珍しいものでもありません。
関西方面では1階を車庫として建てて、建築確認が済んだ後にそこをお部屋に変えてしまう車庫転(しゃこてん)物件というのが流行ったそうです。
車庫として使うはずだったものをお部屋に変えれば単純に敷地面積に対してお部屋の数が多くなりますので、利回りが上がります。
そんな物件が多かったみたいなんですよね。
特に私が投資を検討している物件は築20年〜30年くらいの建物が多いので、ちょうどその時期だな、という感じです。
所有している物件の中には築40年〜50年、それ以上のものもあります。
違法建築物と既存不適格建築物
違法建築と呼ばれる物件は主にどのような物件かというと、
- 建ぺい率を超えている
- 容積率を超えている
- 接道義務に違反している
- 建築確認を実施していない
- 完了検査を受けていない(直ちに違法というわけではない)
といった物件になります。
物件は誰もが好きに建てられるわけではなく、土地に対してどのような建物なら建てられるのか、その制限が法令によって細かく決まっているわけですね。
その制限が守られていない物件が違法建築物なわけです。
違法建築物と間違えられやすいものに既存不適格建築物というものがあります。
既存不適格建築物は、建築された当時は法令をきちんと守って建てられた建物だったものの、その後法令の方が改正されて、現行の法令には沿わなくなってしまった建築物のことを指します。
建物に関する法律も年々内容が変わっており、法律の方が後から変わってしまうということがあるわけですね。
この既存不適格建築物は違法建築物とは異なります。
ただ、ものによっては工事を行い、現行法に合わせる必要がある場合もあります。
セットバックなんかも同じようなことですね。
昔は道が細くてもOKでしたが、緊急時に緊急車両が通れず到着が遅れるため、狭い道をなくして、最低限緊急車両ご通れる道幅にしていこう、とルールが変わって道路と建物の境界線を建物側に下げるのがセットバックです。
ですが直ちにみんなが行うわけではなく、それだけ土地の面積が狭くなるのもあってセットバックしないままの土地建物はたくさんあります。
関連記事:不動産用語、セットバックとは?土地を買う時に注意したいこと
違法建築を賃貸に出すことは違法ではない
違法建築物を所有し、それを賃貸として貸し出すことは違法ではありません。
- 建築基準法
- 借地借家法
- 民法
以上のどれにおいても、違法建築を賃貸に出すことが違法だとはされていません。
違法建築であっても、賃貸に出すことは問題にはならないのです。
関連記事:投資歴12年の私が考える築浅でも避けた方がいい物件-アパート編-
違法建築になるまで
どのようにしとる物件が違法建築になるのか、というところを見ていきましょう。
建築確認をしていない
建物を建築する場合は、法令に沿った内容で建てられた建物か、ということをチェックする建築確認という審査のようなものを、建築後に通す必要があります。
法令を遵守した建物か、図面の内容と合った建物になっているか、ということがチェックされて、問題がなければ建築確認済証をもらうことができます。
ですが、この建築確認をしていない物件が昔は結構あったようなんですね。
物件を購入する際に、建築確認証のない物件というのが割とあります。
違法建築は購入したくない、という考えの方は、物件を購入するときに建築確認証があるかどうかを確認した方が良いでしょう。
増改築した
建物の増築をした場合は登記が必要になります。それを行っていないのもまた違法建築です。
登記をすることで対応できる場合もありますが、登記をするとそれはそれで法令を遵守した内容になっていない、ということもあります。
実は私も最近購入を検討していた建物が、物置の部分だけ登記が必要なのに登記をしていない物件でした。
そして登記をしてしまうと行政指導が入ってしまうような物件だったんですよね。
結局銀行側は融資をするのに登記をしてほしいということだったのですが、登記をしてしまうと行政指導が入ってしまうしなんとか登記しない方向でいけないかと思ったものの、結局その物件を購入することはできませんでした。
物置もものによっては登記が必要になるのだそうで、これは新しい学びでした。
関連記事:【実録】物置が登記されていない物件
違法建築を賃貸するリスク
違法建築を賃貸することは違法ではありませんが、建物の耐火性や安全性に問題があるのが違法建築ですので、災害や火災などが合った際に被害が大きくなる可能性があります。
また入居者に怪我があったり、死亡してしまったりということがあれば、損害賠償請求をされる可能性があるでしょう。
とはいえこういった物件は多く、絶対に避けた方がいいというわけでもないかと思います。
これは各々の投資スタイルによりますね。
賃貸のリスクというよりは、私のケースのように、「買いにくい物件である」というのが一番のリスクかと思います。
売買は手こずるでしょうから、出口戦略に困るかもしれません。