不動産管理

家具付きで賃貸に出すデメリットは?オーナー目線で考えてみた

都内でワンルームの区分所有マンションを購入したのですが、指値交渉を行った際、

「お部屋の中にある家具を処分しなくて良いのならもう少し値段を下げる」という条件で物件を安く購入することができました。

 

そのため、購入した時に物件の中に

  • ミニ冷蔵庫
  • 小さなテーブル
  • ベッド
  • 椅子
  • 姿見
  • ハンガーラック
  • テレビとテレビ台

が残されている状態だったんですね。

(写真は一例)

 

残されている家具が割と良い家具だったので、「家具付き物件として賃貸に出してみるのはどうだろう?」と思い、

普段管理をお願いしている管理会社の担当の方にお話を聞いてみました。

 

海外だと家具家電付きの物件というのは割と普通のことで、

物件には全く何もない状態からスタート・引っ越しの時に何もかもを持っていかなくちゃいけない、みたいなのは実は日本特有の風習です。

新生活を始めるには家具家電を揃えるための出費が多くかかるものですよね。

 

だから「家具家電付きの賃貸は結構需要があるのかな?」なんて考えていました。

 

結果を先に言うと、「家具付き物件はやめたほうがいい」とのことでした。

どのようなデメリットがあるのか、オーナー目線でお話していきたいと思います。

 

初期費用がかかる

 

今回は前のオーナーが置いていった家具や家電を家具付きとして出してみてはどうだろう?と考えたことではあるので、

特に初期費用がかかるわけではありません。

むしろこれらを処分するほうがお金がかかる…という状態です。

 

なので一般的なオーナーが何もないお部屋を家具付きとして賃貸に出す場合のケースを想定しての話ですが

  • テレビ
  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • 電子レンジ
  • ベッド

これらを家具・家電付きのお部屋で揃えたとして、どんなに安く揃えたとしても5万円〜6万円ほどかかるでしょう。

新品で良いものを…と考えると軽く10万円超えてくることもあります。

 

どれくらいの家賃設定ができるお部屋かにもよりますが、ワンルームだと限界がありますよね。

これらの初期投資費用を回収するにも結構な時間がかかると言えるでしょう。

 

お金のない学生などがターゲットとなる物件であれば家具付きにすることで空室を埋めることができるかもしれませんが、

逆にそういった層がターゲットとなるお部屋は家賃設定が安いことが多いと思います。

そうなってくると家具付きにすることでお部屋は埋まっても、利益がなかなか出ない、という結果になってしまいそうです。

関連記事:都心でワンルームへの投資にありがちな「洗濯機置き場がない」という問題

 

修理交換が必要になる

 

家具付き、という部分が「設備」という扱いになってしまうと、家具が故障した時に修理や交換をオーナー側でしなくてはいけなくなってしまいます。

これはエアコンやストーブ、給湯器などでも言えることですが、意外と負担になってくる部分ですよね。

 

修理よりも新しいものを買ったほうが値段的に安いこともあるので、結局新品を買わなくてはいけなくなったりします。

 

冬の寒さが厳しく、降雪量も多い東北や北海道地方の物件も所有しており、そちらでもストーブをお部屋につけるのが一般的なのですが

それも設備扱いになると面倒、ということで管理会社には結構嫌がられてしまったりします。

 

故障や不具合があるたびに管理会社もやりとりをしなくてはいけなくなりますので、業務が増えることになるのです。

管理会社に嫌がられることを考えると、やはり家具付きというのは難しいのかもしれませんね。

 

ちなみにもう一つの懸念事項としてNHKの受信料問題があります。

放送法64条第1項に

「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」

という記載があり、もしテレビを設備としいた場合は受信設備を設置したオーナーが受信契約をして受信料を支払わなくてはいけなくなる可能性があります。

 

2019年7月には東横インがNHKから支払いを求められる訴訟で、19億3500万円の支払いが二審で命じられていました。

このも結局「放送法はテレビの設置者に契約の締結を強制しており、例外規定はない」ということで支払いが命じられていたんです。

 

毎月の支払いが発生する可能性があることを考えると、特にテレビは設置しないほうが良さそうです。

関連記事:不動産オーナーの管理会社との付き合い方

 

家具が好みに合わないことがある

 

お金のない学生のために家具付き物件にする、みたいな場合は入居者側も好み云々言ってられる状況じゃないかもしれませんが

家具が好みに合わない、ということももちろんあります。

 

そうなってくると入居者としては、家具付きをお得だ、と考えるどころか「捨てて新しいものにしたい」と考える可能性があります。

捨てるのにもお金がかかりますから、家具付きというのは難しいですね。

関連記事:空室対策のための設備、ウォシュレットの取り付けについて

 

今回、普段管理をお願いしている不動産業者の方にもお話をうかがったのですが

やはり管理会社から「めんどくさい」と思われるのが一番のデメリットかなと感じました。

 

家具付きという設備で競合物件との差別化をするよりも、例えば「インターネット使い放題」だとか「モニター付きインターフォン」などのほうが今のニーズには合っているのかな、という印象です。

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