家の売買をする時に必ず付いてまわる責任が瑕疵担保責任です。
今回はこちらの瑕疵担保責任について、時効があるのか、免責される場合はどういう場合なのかということを解説していきたいと思います。
瑕疵担保責任とは
瑕疵担保責任とは不動産にある「瑕疵(かし)」に対して売主が負う責任のことです。
例えば家を購入した時に購入する前には聞いていなかった家の欠陥があった時、それに対して損害賠償や契約解除、必要な補修などを売主に請求することができる、という買主を守るための制度になります。
瑕疵という言葉には「キズ・欠陥・不具合」という意味合いがあります。
物件を購入する前に実際に物件の中を買主には見てもらったりもしますが、実際に住んでみないとわからないような瑕疵というのがあるものです。
この瑕疵担保責任は民法第560条及び第570条に規定されています。
ただしこちらの民法の規定には瑕疵の範囲は定められていませんし、何年まで保証をしなくてはいけないのかということも決まってはいません。
そのため実際の不動産取引では任意規定である民法の瑕疵担保責任に関する規定以外に、この内容とは異なった内容で契約を締結するのが一般的になっています。
例えば
- 土地の瑕疵
- シロアリの害
- 給排水管の故障
これらの瑕疵について引渡し後3ヶ月以内に請求があったものに限り修復の義務があるというような内容の契約を交わしたりします。
これらの瑕疵以外には瑕疵担保責任を負わないというないようにしてしまい、期間自体もこちらで決めるということですね。
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4種類の瑕疵担保責任
さて瑕疵担保責任について、「後から気付いた物件のキズや不具合」というような説明をしましたが、
実際に瑕疵担保責任を問われる瑕疵にはどのようなものがあるのでしょうか。
大きく分けて四つの種類の瑕疵があります。
- 物理的瑕疵
- 法律的瑕疵
- 環境的瑕疵
- 心理的瑕疵
以上の4種類です。
それぞれについて解説していきたいと思います。
物理的瑕疵
物理的瑕疵は目に見える物理的な欠陥のことを指します。
- 土壌汚染がある
- 地盤が沈下している
- 建物が歪んでいる
- 雨漏りする
- アスベストが出ている
- 耐震上に問題がある
というような欠陥です。
瑕疵の中でも一番分かりやすい瑕疵と言えるでしょう。
法律的瑕疵
法律的瑕疵は法律の制限などによって建物や土地の利用が制限されたりしているケースのことを指します。
例えば
- 接道義務を満たしていない建物
- 都市計画法や建築基準法などに該当し建物の利用が制限されている
- 計画道路の指定を受けていて、建築に制限がかかっている
というような瑕疵です。
こういった物件の場合は契約の際に買主にその旨を伝える必要があります。
環境的瑕疵
環境的瑕疵とは土地や建物自体には問題がないけれど不動産を取り巻く環境に瑕疵がある状態のことを指します。
例えば
- 不動産周辺に指定暴力団事務所がある
- 不動産周辺に大きな道路があり騒音や振動が頻発する
- 不動産周辺にごみ処理施設などがある
というような場合です。
これらは人によってどこまで受け入れる事が出来るのかというボーダーラインが難しいものでもあります。
心理的瑕疵
心理的瑕疵も環境的瑕疵と似ていて、土地や建物などの不動産自体には問題がないが、嫌悪感を抱くような過去が不動産にある、というケースです。
事故物件や告知事項ありの物件などが該当します。
- 過去に自殺があった
- 殺人事件が発生したことがある
- 部屋の中で孤独死があった
というようなケースです。
売主が売却する前に告知しなくてはいけないこと
売主は買主に対して口頭だけではなく必ず書面にて告知事項を保持しなくてはいけない告知義務というものがあります。
売主として知っていることはすべて告知する、ということを徹底すれば告知義務を果たしているという認識になります。
瑕疵に関してはマイナスな部分になりますので、それを伝えることによって値段を交渉されてしまったり買ってもらえなくなるのではないかというような気持ちが働くのは仕方がないことですが
知っていたにも関わらず瑕疵について告知をしなかった場合、損害賠償請求をされたり契約の解除をされてしまうなどのトラブルに発展してしまう可能性があります。
そういったリスクを回避するためにも告知事項がある場合は必ず全て告知をするようにしましょう。
告知義務を果たすために使用する書面には
- 付帯設備表
- 物件状況等報告書
の2種類の斜面があります。
これらの書面に書式に従って記入することによって、知っている情報をすべて買主に開示することになります。
付帯設備表にはどのような設備を付帯した状態で物件の明け渡しをするのかということを記入し
物件状況等報告書には物件についての瑕疵の情報を全て記載します。
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瑕疵担保責任による損害賠償の時効
民法の規定では瑕疵担保責任による損害賠償の時効、つまり期限は定められていません。
そのため大体の場合が瑕疵担保責任の期間お引渡し後2〜3ヶ月とすることが一般的です。(個人が中古住宅を売却する場合)
また売主が不動産業者の場合は宅地建物取引業法の定めにより、中古物件の場合は引渡し後2年以上の瑕疵担保責任を負うことになっているので注意が必要です。
この内容に反する特約条項などの定めは無効になります。
また、民法で定められている債権時効消滅によって、瑕疵担保による損害賠償請求は10年間権利を行使しないと時効となり消滅します。
瑕疵担保免責
引き渡し後に物件に何かしらの瑕疵が発見された場合でも保証や責任を売主が負わないことを瑕疵担保免責と言います。
- 築年数がかなり経過している場合
- 築年数が古く売主が中古不動産として購入している場合
- 建物を解体する前提で販売する場合
これらの場合は瑕疵担保免責として販売することが多いです。
特に中古物件の売買の時は瑕疵担保責任について知識があった方が良いと思いますのでしっかりと把握した上で売買交渉を進めていきましょう。
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