不動産投資をする時に、収益物件の選択肢として競売物件を検討する方もいると思います。
競売物件は、主にローンの返済が滞ってしまった人の不動産が差し押さえられ、裁判所の権限によって売り出されているものになります。
一般的な売買に比べると7割〜8割程度の金額で取得できる、というのが魅力ですが、
- 落札前に内見をすることができない
- 占有者がいる可能性がある
- 隠れた瑕疵がある可能性があり、それらの保証はない
というリスクもあります。
今回は、競売物件を購入するかどうかを検討する時に見る資料である三点セットと呼ばれるものについて、解説してみたいと思います。
三点セットとは
競売物件は所有者が物件を売ろうとして売りに出しているわけではありません。
差し押さえられて、裁判所に売られてしまう物件のため、通常の売買不動産のように資料も揃えられていないですし、内見もできません。
そこで参考にするのが、期間入札の公告とともに公開される
- 物件明細書
- 現状調査報告書
- 評価書
という3つの資料です。
これがいわゆる三点セットと呼ばれているものですね。
競売不動産を購入する時に最も重要な資料であり、一般の不動産売買に比べて情報が少ない競売物件では、この三点セットをどれだけ読み解けるか、ということが重要だと言えます。
関連記事:競売物件の購入の流れを解説
三点セットの内容
では、三点セットのそれぞれの資料について解説してみたいと思います。
公告書
三点セットの表紙部分から物件目録までは公告書と言います。
公告書部分には
- 表紙…事件番号・入札期間・開札期日・売却決定日・特売実施期間など
- 売却基準価格…売却基準価格・買受可能価格・買受申出保証額・固定資産税・都市計画税の記載
- 物件目録…売却対象物件の不動産の表示(所在・地番・地目・地積・構造・床面積など)の情報
といったものが記載されています。
物件明細書
「現状調査報告書」「評価書」に基づいて裁判所の書記官が作成した資料が物件明細書です。
裁判所の物件に対する認識が記載されているので、三点セットの中でも一番重要な資料だと言えます。
内容としては以下のような内容です。
- 不動産の表示…通常は別紙で物件目録が付いています。
- 売却により成立する法定地上権の概要…法定地上権が成立する場合などは、その内容が記載されています。無い場合は「なし」と記載されています。
- 買受人が負担することに成る他人の権利…占有権限(賃借権)などの内容が記載されている。
- 物件の占有状態等に関する特記事項…誰が占有しているかの記載。この欄に記載された占有者は原則として引渡命令の対象となる。
- その他買受人の参考となる事項…地代・管理費等の滞納の有無、境界の争いや土地明渡建物収去訟の存在などが記載されています。
物件明細書を見る時は、
- 取得した時に負担となるような権利はついていないか?
- 占有者は誰で権限は何か?
- 管理費の滞納の有無
などを注目して見てみると良いと思います。
競売物件の場合は占有者がいる場合があり、落札後に強制執行を行わなければならないケースもあります。
それらの手続きのために、占有者はいるか?占有者が誰なのか?といったことを確認しておくべきですね。
関連記事:競売物件の占有者とは?購入時は要注意!
現況調査報告書
裁判所の執行官が土地・建物の形状や占有状況を調査して作成をしたものが現況調査報告書です。
あくまで調査時点でのものになることに注意です。
内容は以下の通りです。
- 物件目録…通常は別紙で物件目録が付いています。
- 不動産の表示…【住居表示の記載建物について】種類・構造及び床面積の概略・付属建物・管理費等の状況管理費等紹介先・その他の事項の記載。【敷地について】現状地目・形状・占有及び占有状況・上記以外の建物・その他の事項・執行官保管の仮処分・敷地権以外の土地・土地建物の位置関係の記載がある。
- 占有者及び占有権限…占有範囲・占有者・占有状況・関係人の陳述及び提示文書の要旨・占有権限・占有開始時期・契約内容・契約当事者・契約賃料・敷金・保
証金・特約など - 関係人の陳述等…現況で誰が誰と占有しているか。
- 執行官の意見…裁判所の執行官の立入調査や占有者の話など現場の状況をまとめて報告しています。
- 調査の経過…執行官がいつ、どこで、何を調査したかの記載。
- 土地建物位置関係図・建物間取図・写真(外部・内部)…法務局に備え付けの公図の写しや平面図・物件の概観・室内の状況などの写真が複数枚掲載されている。
現況報告調査書においては、まず、この物件を買った時に継承する滞納額や遅延損害金を①不動産の表示の項目で確認します。
ここに書いてあることが全てではなく、隠れた滞納などもある可能性があります。
また、③占有者及び占有権限では、占有者がいるかどうか、ということを確認することができます。
占有者がいる場合は強制執行を行わなければならないので、このあたりも注意して把握しておきたいですね。
さらに⑦土地建物位置関係図・建物間取図・写真(外部・内部)の写真を見て、残置物などがどれくらいあるか、リフォームがどれくらい必要そうか、ということを読み解きます。
限られた資料では難しい部分もあると思いますが、ゴミ屋敷のような物件は写真をしっかり見ていれば回避できるかな、と思いますね。