売買知識

競売物件の占有者とは?購入時は要注意!

不動産投資をする時に、収益物件の選択肢の一つとして競売物件を考える人もいると思います。

競売物件とは、主にローンの返済ができなくなった人の物件が差し押さえられ、裁判所の権限によって売り出されている物件のことを指します。

例えば、住宅ローンを組んで自宅を購入したけれど、ローンの返済が滞ってしまい、自宅が差し押さえられ、競売にかけられている、みたいなパターンですね。

こういった物件は、裁判所に競売にかけられて、入札者によって落札される形で購入されるのですが、中には落札をした物件でも、「まだ住んでいる人がいる」という状況があります。

この「まだ住んでいる人」が占有者ですね。

この競売物件に占有者がいるリスクについて、今回は解説してみたいと思います。

三点セットで占有者の確認が出来る

競売物件は一般的な売買物件と違い、所有者の意思で売られている物件ではありません。

なので、競売で売られてしまうことが決まった物件でも、所有者がまだ住んでいることがあります。

どの物件であっても、競売物件の場合は入札前に内見をすることができません。

そのため、競売で物件を購入する際は裁判所が掲示する三点セットという資料をもとに物件の価値を判断し、入札するかどうかを決めます。

この三点セットの中に、物件明細書というものがあります。

この物件明細書には「物件の占有状況等に関する特記事項」というものがあり、この項目には、調査日時点における「占有」の状況が記載されています。

調査日時点におけるものではありますが、この時点で占有者がいない物件であれば、占有者リスクのない物件を手に入れることができる可能性が高いです。

関連記事:競売物件の購入の流れを解説

占有者がいる場合の手続き

競売の場合は元の所有者が売ろうと思って売り出している物件ではなく、ローンの返済が滞ったなどの理由で強制的に物件を売却させられているので、競売で落札された後も、ほかに行く場所がない、などの理由で元の所有者が居座ってしまうケースが多々あります。

通常、建物に居座っている人を強制的に立ち退かせるためには、建物明渡請求の訴訟を提起し、勝訴判決が確定してから更に強制執行の手続きを行う必要があります。

実は私は現在所有している収益物件で、家賃の滞納が続いており、この裁判を進めているところです……

家賃滞納からのゴミ屋敷が2件、訴訟の準備をしています 地方の築古アパートを中心に、区分マンション、戸建てにも投資をしています。 投資歴は10年を超えました。 10年以上...

時間も数ヶ月ほどは最短でもかかりますし、弁護士の先生にお願いして進めていく必要がありますので、100万円以上は費用がかかりそうな感じで、損失も大きく、困りますね。

相手が家賃を払っていない場合でも、勝手に荷物を放り出して、「出て行ってください」とはできないのが日本の法律なのです。

オーナー業をやればやるほど、オーナーが弱く、入居者が守られる法律になっているなぁと感じます。

ただ、競売物件の場合は引渡命令(民事執行法83条)という簡略的な手続きが用意されているんです。

不動産引渡命令とは、競売で取得した不動産に人が住んでいたり、家具などの動産が置いてあったりした場合に、買受人の申立に基づき、裁判所が相手方に対して不動産を引き渡すように命令を出す手続きのことです。

競売物件の買受人は競売の代金を納付した日から6ヶ月間、裁判所に対し物件を買受人に引き渡す旨を命ずるよう申し立てができるようになっており、短い場合は3〜4日ほどで引渡命令が出されます。

引渡命令が確定すれば、それに基づいて強制執行を行うことができるんですね。

一般的な強制執行に比べたら、競売物件での強制執行はかなり楽なのだと思います。

それを知っていれば、競売物件も少し手が出しやすく感じられるかもしれませんね。

とはいえ、占有者がいる場合は申立てを行ったりしなくてはいけなくなりますので、購入してすぐに収益物件として稼動させられるわけでもありません。

内見ができないというリスクもありますので、初心者には向かないですね。

関連記事:【実録】家賃滞納で連帯保証人に支払い拒否されています

元所有者ではない人が占有しているケース

中には、占有者が物件の元所有者じゃない場合もあります。

占有者がいる場合は引渡命令(民事執行法83条)という手続きを利用することができますが、この手続きの相手方は「債務者(元所有者)」又は「不動産の占有者で対抗力のある占有権限がない者」に限られます。(民事執行法83条1項)

対抗力のある占有権原に基づくか占有かどうかを検討する必要があり、場合によっては弁護士に相談した方が良いことも。これはなかなか素人で考えるのは難しいですね、

引渡命令を受け取った相手方は、書面を受け取った日から1週間は不服申立てをすることができます。

その期間内に不服申立てがなかった場合は引渡命令が確定します。

引渡命令が出ても占有が続く場合は、強制的に引渡しを実現するために、不動産の所在地を管轄する執行官に対して強制執行の申立てを行うという流れです。

引渡命令は

  • 相手が限られる
  • できる期間に限りがある

ということに注意し、三点セットの情報を細かく理解することが大切かと思います。

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