売買知識

任意売却物件の購入にはどんなデメリットがある?

不動産投資を始めるためにはまず物件を購入しなくてはいけないわけですが、物件にも色々な買い方があります。

新築ではなく中古で物件を購入すれば費用をある程度抑えることができますが、中でもいわくつきで売り出されている物件というのは更に費用を抑えることができます。

いわくつき不動産にもまた色々種類がありますが、今回は任意売却物件について解説して見たいと思います。

任意売却物件とは

任意売却物件とは、一般的に売り出されている物件とは違って、

もともとは住宅ローンを組んで購入した物件だけれど、返済が難しくなってしまった、あるいは離婚する、といった持ち主の事情で売りに出されている物件です。

似た様な言葉に競売物件というのがありますが、

競売とは住宅ローンの借入先となる金融機関が不動産を差し押さえて強制的に売却する、というものになります。

競売もローンが返せないといった経済的事情で売り出されるものですが、任意売却よりも競売の方がより強制力が強いです。

競売物件に比べると任意売却物件の方が詳細な物件情報が公開されていることが多く、

購入可能時期などのスケジュールも明確になっていることが多いです。

競売と違って差し押さえではないので、金融機関や不動産業者と綿密な打ち合わせをして進めていくものだからなんですね。

価格的には任意売却物件が市場相場の約7割〜8割程度、競売物件は市場価格の約5割程度となっています。

価格は競売物件の方が安いものの、競売物件は差し押さえなので、もともと住んでいた人が出て行ってくれない、などのトラブルが結構あります。

それに比べると任意売却物件の方がトラブルは少ないでしょう。

関連記事:競売物件のトラブルとしてありがちな占有者の居座りと対処法とは

任意売却物件を購入するメリット

では先に任意売却物件を購入するメリットを解説します。

安く買えるので、投資には向いている

先述した通り、任意売却物件は相場価格の約7割〜8割程度の価格で不動産を購入することができます。

投資の基本は安く買って高く売る。

利回りも大切ではありますが、どれだけ安い金額で購入できるか、ということと

どれだけ高い値段で売却できるか、ということが、最終的な収益に大きな影響を与えます。

ついつい初心者の方は利回りばかり気にしてしまいがちですが、買う時と売る時のこともしっかり考えなくてはいけないのが不動産投資です。

状態が良い物件も多い

不動産投資用に中古物件を一般取引の中で探していると、

安い物件は大体ある程度のリフォームが必要になることが多いです。

ですが不動産投資初心者の場合はどこにどれくらいの金額をかければ、賃貸に出せる状態になるのか、ということを判断する力がまだありません。

そのため、状態の良い物件を購入して、あまりリフォームをしないですぐに貸しに出す、という方向性の方が楽だと思います。

任意売却物件であれば物件にはよるものの、比較的築年数が浅い不動産を安く手に入れることができますので、

リフォームをあまりしないでそのまま貸し出す、ということをしやすいのではないかと思います。

関連記事:中古物件のリフォームはここにお金がかかる!内見時に見るべきポイント

競売物件に比べると物件情報が細かい

競売物件の場合は差し押さえなので、確認できる物件情報には限りがあります。

まだ占有者が住んでいる状態で調査をすることが多いですからね。

それに対して任意売却物件の場合は、一般的に売りに出されている不動産物件とほとんど変わらない情報を購入検討時に入手することができます。

投資をする物件なのであれば、ここは非常に重要なポイントですよね。

関連記事:不動産投資する時に物件情報のどこを見るべきなのか

ちなみに任意売却物件であれば住宅ローンを組めるというメリットもありますが、

これは住宅として購入する場合に限りますので、不動産投資の場合はあまり関係がありません。

任意売却物件を購入するデメリット

任意売却物件は専用のポータルサイトがあるほど、探す場所は沢山あります。

ですが、デメリットをしっかり理解して、見るべきポイントを見ておかないと「こんなはずじゃなかった」となりかねません。

任意売却物件にどんなデメリットがあるのか、見ていきましょう。

契約締結に時間がかかる

任意売却物件の場合、一般的な不動産の売買とは違って、債務者と債権者の間で住宅ローンの完済のための調整が行われながら話が進みます。

もちろん住宅ローンを返済するために売り急いでいることが多いですが、なるべく高く売ってローン返済をしようとするため、一般的な不動産の売買に比べると契約締結に時間がかかります。

もし物件を手に入れてから、この時期には賃貸募集したいな、という明確なイメージがあるのであれば、それに遅れが出てしまう可能性が充分ある、ということを念頭に置いておかなくてはいけません。

繁忙期を逃すと入居付けが難しいような物件は任意売却物件では購入しない方が良いでしょう。

価格交渉が難しい

先述のように、任意売却物件というのは払えなくなった住宅ローンを物件を売却することで得たお金で返済するために売却されます。

そのため、通常の不動産売買のように指値をして価格交渉をする、というのがなかなか難しいです。

ある程度「この金額で売れないと困る」というボーダーが先に決まってしまっているわけですね。

関連記事:不動産の指値、目安は?根拠のある数字を提示しよう

管理費や修繕積立金の負担がある可能性がある

住宅ローンを支払えなくなって任意売却をするようなケースの場合、マンションだと管理費や修繕積立金を滞納していることも多いです。

区分マンションを購入しようか検討している場合は、管理費や修繕積立金の滞納がないか、ということもしっかり確認しましょう。

関連記事:区分マンションとは?投資を始める時に知っておきたい基礎知識

契約不適合責任がない

物件を購入したあとに見つかる瑕疵(かし)(物件が傾いていた、シロアリがいた、など)に対する責任は、通常は売り手が責任を負っているもの。

これを契約不適合責任と言うのですが、任意売却物件の場合は売り手が契約不適合責任を負える経済状況ではないので、免責にする契約を結ぶことが多いです。

後から不都合がわかっても、責任を負ってもらうことはできないというのも、任意売却物件のデメリットでもあります。

関連記事:瑕疵担保責任の民法改正で不動産経営はどんな影響を受ける?契約不適合責任とは?

今回は任意売却物件について解説してみました。

一般の不動産売買よりも多少デメリットはありますが、このデメリットを理解した上で、みるべきポイントをきちんとチェックし購入するのであれば、割安で買えるので良いのではないかと思います。

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