売買知識

無償譲渡物件って何?どういう仕組みでどんなリスクがあるの?

0円物件と言われる無償譲渡物件をまとめたポータルサイトがあります。

特に不動産投資初心者の方は初めにあまり資金をかけたくないという理由で、この無償譲渡物件に興味を持つ方もいらっしゃるかと思います。

しかし無償譲渡物件というのはかなり扱いの難しい物件だと思います。

通常の売買とは内容が異なりますので、注意しなくてはいけない点も多いです。

今回は無償譲渡物件がどうして無償譲渡されているのか、実際に無償譲渡物件を取得するときにどのようなことに気をつけなくてはいけないのかということについて解説してみたいと思います。

無償譲渡物件の背景ってどんなものがあるの?

無償譲渡物件とは無償で譲渡される物件で、現在空き家になっているというものが多いです。

ではどうして無償譲渡という形になっているのでしょうか?

その背景にはいろいろなものがあります。

ものすごく古い

例えばものすごく古い築古の物件。

中古の不動産であれば築30年から40年というのはよく見かけるものですが、築50年以上経っている今にも倒壊の危険性があるような物件は無償譲渡物件として扱われていることがあります。

当然旧耐震基準で建てられていますから、耐震性は高くありません。

空き家の場合は長い間人が住んでいないお部屋ですので急速に部屋の経年劣化が進んでいる場合もあります。

もし物件を取得したとしたらどれくらいリフォーム代がかかるのかということを考えなくてはいけないですね。

エリア自体がもう人がいない

物件そのものに理由がある場合もありますが、物件の環境が悪いという可能性もあります。

例えばその建物が建っているエリア自体にもう人がいないという場合です。

過疎地域の場合は賃貸として物件を出しても入居が決まらないでしょう。

無償譲渡で物件を取得したとしてもそれで収益を上げるのが難しくなってしまいます。

相続したくない

ずっと空き家が続いているような物件で、所有者が高齢もしくは先が長くないような状況である場合、親族が相続をしたくないという理由で不動産を早く処分したいから無償譲渡を望んでいるという場合もあります。

所有者がなくなってしまうと相続をしなくてはいけないですが相続税が発生しますので所有者の名前を早く変えたいというケースですね。

こういったケースは無償譲渡ではなく、相場よりも格安で出ている物件でもあるものです。

普通は査定に出して適正価格で売却しようとしますからね。

しかし無償になっているということはやはりそれなりに理由があるということでしょう。

関連記事:お宝物件はどうやって探す?何を見ればいいの?

再建築不可の物件だった

再建築不可の物件で、築古のものだと、建物を壊して何か新しく建てるということもできませんので買い手が見つからず無償譲渡物件として出されていることがあります。

水道が破裂していた

上下水道が通っているかどうかということはしっかりと確認したいところです。

水道が破裂していたという物件が無償譲渡物件として出ていたことがありましたが、こういった物件は修繕にかなりお金がかかると考えた方が良いでしょう。

水道管が通っている場所によっては、かなり金額がかかってしまうことがあります。

隣人がトラブルメーカー

隣にトラブルメーカーが住んでいるということもあります。

こういったことは現地視察に行かないと分からない部分もありますので、無償譲渡物件であっても必ず現地に赴いて物件を購入して良いかどうかということを検討しましょう。

関連記事:収益物件を購入する時現地調査が見ておくべきポイント

シロアリに食われている 

シロアリに食い尽くされていて倒壊の危険性があるような物件も無償譲渡物件として出ていることがあります。

物件の基礎となる部分がシロアリに侵食されてしまっていると、なかなか修繕してなおるということもありません。

関連記事:シロアリの駆除費用相場はどれくらい?

無償譲渡物件は売買ではなく贈与となる

無償譲渡物件は売買という扱いではなく贈与という扱いになります。

そのため購入するためのお金はかかりませんが、贈与することで贈与税というものが発生します。

この贈与税について知らなかったがために後から請求が来てびっくりしてしまうという人もいます。

結局物件の評価に対して税金がかかってきますので、贈与税がいくらかかるのかということもあらかじめ計算した上で物件を取得するようにしましょう。

場合によっては双方の合意が取れる金額で設定して売買をしたほうが、金額が抑えられる場合があります。

個人間での取引の場合、税制面でもそちらの方が有利となることが多いです。

ただし親族であったり、同族会社など、特別な関係性があるような場合は、双方の合意があったとしても、設定の金額では認められない場合があり税金がかかる可能性がありますので注意が必要です。

関連記事:不動産屋の嘘!売買時にありがちな話を紹介します

無償譲渡物件でもかかるお金はある

無償譲渡とはいえかかるお金は色々あります。

  • 贈与税
  • リフォーム費用
  • 司法書士大代
  • 固定資産税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 火災保険(年間)

その他にも家具などを付ける場合は消耗品代がかかってくるでしょう。

なるべく費用を抑えたいという観点から無償譲渡物件を探している方も多いと思いますが、実際のところ物件を取得するのにどれくらいかかるのかというところは必ず一度計算してみた方が良いです。

無償譲渡物件、どう扱えばいい?

では無償譲渡物件を取得した後どのような取り組み方があるのでしょうか?

もちろん自分でセカンドハウスとして使うなどといった場合は特に問題はないと思いますが、不動産投資として収益をあげる場合はどうしたらよいのかということを考えてみたいと思います。

売却

なるべく費用を抑える方向でリフォームをして売却をするという方法があります。

この場合は売却益で収益を上げる形になります。

しかし不動産投資初心者にとってはリフォームをする時、何にいくらくらいかかるのかというのはなかなか計算できないものでしょう。

かなり玄人向けの取り組みだと言えます。

民泊化

空き家の場合は避暑地やリゾート地などにある場合もあります。

そういう場合は短期的に貸し出しをすることができる民泊セカンドハウスなどといった形で運営をしていくというやり方もあります。

しかし民泊などにする場合は営業許可なども必要になってきますので、リフォーム時に賃貸とはまた違った側面で考えなくてはいけない部分が出てきます。

いずれにせよ無償譲渡物件というのは初心者向けではありません。

また長期的に保有して投資をしていくという対象にはなかなかならない物件がほとんどだと思いますので、長く保有して収益を上げていきたいと思っているのであればおすすめは出来ません。

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