不動産管理

内装制限は住宅でもある?オーナーがリフォーム時に知っておきたいこと

最近は築古戸建てを購入して、オーナーが自らDIYでリフォームをし、賃貸として貸し出しをする、というやりかたがとても多くなりました。

YouTubeでその過程を発信されている方も多く、それらを参考に独学でDIYを始めるという方も少なからずいらっしゃいます。

そこで注意したいのが内装制限です。

日本では主に、

  • 建築基準法
  • 消防法

の二つによって建物の安全性が守られており、

建物の用途に応じて安全のための基準が定められています。

新築であれば建物確認というものが行政を含む審査期間によって行われて、

安全な建物であるかどうかということが検査され、検査確認証がもらえるのが一般的ですが、

これは新築時のみのこと。

時代とともに法律も変わっていく中で、

中古の物件を買って自分でDIYをするとなると、やはり安全に入居者に過ごしてもらうための知識を自分で身につけた上で作業をしなくてはいけないことになります。

ですが、そういった知識を持ち合わせないままにDIYを進めてしまって、入居者を危険な目にさらしてしまう、ということが増えてきました。

今回は不動産投資を行うオーナーが知っておきたい内装制限について、解説していきたいと思います。

内装制限とは

内装制限でざっと調べてみると、店舗や映画館、飲食店など特殊な物件の内装制限の話ばかりが出てきてしまいがちで、

不動産投資を行うオーナーは「住宅は関係ないのか」と思ってしまいがちです。

ざっと内装制限を受ける可能性のある建築物の用途について記載しておきます。

  • 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもの
  • 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもの
  • 児童福祉施設、老人福祉施設、母子保健施設等
  • 学校、体育館その他これらに類するもの
  • 博物館、美術館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー,ダンスホール、遊技場その他これらに類するもの
  • 公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売 倉庫その他これらに類するもの
  • 自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもの
  • 映画スタジオ又はテレビスタジオ
  • 開口部がほとんど無い居室があるもの
  • 延べ床面積が1,000㎡を超えるもの
  • 火を使う部屋

やはりこうして見てみると、「賃貸物件は関係なさそう」と思ってしまいがちですよね。

ですが実際には、アパートやマンションなどの集合住宅、または戸建てであっても、火気をしようするお部屋においては、火災の被害を最小限にするため、内装を安全なものに制限する、という内装制限が適用されます。

具体的には、

火災が発生した場合のことを考えて、火気を使うお部屋では、燃えにくい素材を使ってください、というもので、

素材の不燃性(燃えにくさ)によりランク分けもされており、部屋の場所や建築物の機能によって、それぞれ「このランク以上のものを使うこと」というような制限がついています。

ランク分けに関しては、燃えにくさで分けられていますが、燃えにくさというのも、加熱開始から燃え始めるまでの時間で分けられているんですね。

  • 不燃材料…20分(コンクリート、ガラス、モルタル、金属板、厚(かぶり)12以上の石膏ボードなど)
  • 準不燃材料…10分(厚15以上の木毛セメント板、厚9以上の石膏ボードなど)
  • 難燃材料…5分(厚5.5以上の難燃合板、厚7以上の石膏ボードなど)
  • その他

というランク分けになっています。

関連記事:空き家投資でDIYリフォームをするリスクとは?

素人にもわかりやすい賃貸DIYガイドライン

「知識を持たないままにDIYをしたら危険だ!」と言われても、なかなか建築基準法や消防法を勉強してしっかり知識をつけてから…とはいきませんよね。

流石にそれでは時間もかかりすぎてしまいます。

そこでぜひこれから自分が所有している賃貸物件のDIYをしようとしているオーナーさんに参考にして欲しいのが、一般社団法人HEAD研究会がネット上で無料公開している賃貸DIYガイドラインです。

「賃貸DIYガイドライン」のキッチンのある部屋の内装制限
「賃貸DIYガイドライン」のキッチンのある部屋の内装制限

このように、わかりやすく、どこに何が必要なのか、どのランクの素材を使って良いのか、ということが書いてあります。

この賃貸DIYガイドラインは不動産管理会社と一級建築士などの専門家が集まる研究会で作られたものであり、

リフォームの素人でもきちんと読めば理解できるようになっていますので、キッチン周りも自分でDIYをしたい、という方はぜひ参考にしてみてください。

費用を抑えることももちろん大切ですが、入居者の生活の安全を守るということもオーナーが負うべき責任です。

関連記事:消防設備点検はアパートなら必須!どういうものなの?

DIYリフォームする場合は、専門家に相談した方が安全

DIYリフォームをしてお部屋を賃貸に出す場合は、できれば一度建築士など専門家に相談した方が安全です。

特に大掛かりなリフォームをする場合、壁を壊したり、火気を扱う場所などといったことは、入居者の安全をおびやかしかねません。

壁を壊して広く見せたい、というDIYのせいで、家の屋根が落ちてくるという事態になってしまった事例もあります。

家はあらゆるところに力が分散されて建っていて、それを素人が知らないままに抜いてしまうことで、均衡が崩れてしまうんですね。

もちろんカッティングシートを貼るくらいの軽いリフォームなら問題ないと思いますが、

大掛かりなリフォームをする時は、なるべく専門家に意見を仰ぐようにしましょう。

関連記事:中古マンションを購入して投資!リフォーム費用を大公開

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