不動産投資を行う時は金融機関で融資を受ける、という方が多いと思います。
実際に手元にある現金よりも大きな金額で投資ができる、というのが不動産投資の魅力でもありますしね。
基本的には物件価格の約2〜3割程度の頭金を用意して、残りの部分で融資を受ける、というのが一般的だと思いますが、
頭金を入れずに物件の販売価格を全額融資してもらうことをフルローン、
物件価格だけではなく物件を購入する時に必要になる諸費用を上乗せし、それら全てをローンとして組むオーバーローンといったローンの組み方があります。
しばしばオーバーローンは違法なのではないか、という話を見かけますが、
オーバーローンそのものは違法ではありません。
ですが中には、違法になってしまうオーバーローンもあります。
今回は不動産投資におけるオーバーローンの違法性について、解説していきたいと思います。
オーバーローン自体は違法ではない
不動産投資をする際にオーバーローンを組むのは違法ではありません。
不動産購入時は不動産そのものの金額以外に、
- 不動産仲介業者に支払う仲介手数料
- 登記費用
- 司法書士に支払う報酬
- 不動産取得税などの各種税金
- 火災保険料などの各種保険料
- 印紙代
など、さまざまな諸経費がかかります。
多い時は不動産価格の約10%ほどの金額になることもあります。
それらを全て融資でまかなうことができるのがオーバーローンということですね。
内容がきちんと「本当にかかる金額」なのであれば、オーバーローンは違法ではないのですが、
中には費用を水増ししてお金を借りようとする方がおり、これが違法だと言われているわけです。
賃貸経営に関係のない費用をオーバーローンで借りたお金でまかなうことはできません。
不動産投資に関係のない車や家具の購入などの費用にオーバーローンで借りたお金を使ってはいけない、ということです。
関連記事:不動産購入は現金とローンどっちがいい?メリットデメリットが知りたい
違法なオーバーローン「かきあげ」
オーバーローンでよく使われる違法な手口が「かきあげ」と呼ばれるものです。
契約のかきあげ、という言われ方をするのですが、
銀行用の契約書と実際の契約書を2通作成して、銀行に提出契約書は実際の契約金額よりも高く記載しておくんですね。
これは不動産業者と口裏を合わせて銀行から多くお金を借りる方法で、有印私文書偽造という罪になります。
また、融資を多く借り入れるために、源泉徴収や給与明細などを修正して不動産業者が銀行へ提出する、ということもあります。
これも公文書偽造の罪となります。
不動産業者としては利益を出すためになるべく高い建物を売りたいと思っており、
投資家は「資金さえあれば高い建物が欲しい」と思ってしまうため、そこで利害の一致が生まれてしまうということですね。
ですが、不動産業者側がオーバーローンを勧めてくるような場合は怪しいと思った方が良いです。
一般的にオーバーローンというのはなかなか難しい融資ですし、リスクも高いですからね。
関連記事:不動産投資における銀行融資で銀行員が見ているポイント
オーバーローンのデメリットはリスクが高いこと
オーバーローンは手元にキャッシュがあまりなくても規模の大きな物件を購入することができて、投資にレバレッジをかけることができる、というのが最大のメリットでしょう。
ですが、それに対するデメリットは大きいです。
当たり前ですが、借りる金額が大きくなればなるほど、月々の返済も多くなります。
ローンを組む際は、毎月いくらローンを返していかなきゃいけないのか、その返済は家賃収入でまかなえるものなのか?ということを必ず考えなくてはいけません。
例えば
- 「満室であれば家賃収入でもまかなっていける…」
- 「家賃でこれくらいとれれば大丈夫そう…」
- 「多少自分の給料から手出しがあっても…」
みたいな考え方だとリスクが大きすぎるのでやめた方が良いと思います。
シミュレーションをする時は空室が多めに出る予定で。
家賃下落率もしっかり考えて想定していきましょう。
最初から自分の給料で手出しを出すつもりでいると、かなり危険だと思います。
借入額が多くなると、当たり前ですがリスクも高くなるということを肝に銘じておきましょう。
関連記事:不動産投資をする時にやっておくべきシミュレーションまとめ
違法性のあるオーバーローンに注意
違法性のあるオーバーローン、
不動産会社と話を合わせておけば、バレることはないんじゃないか?と思う人もいるかもしれません。
しかし、不動産会社が逮捕されてバレたというケースや、金融庁が各金融機関に入る金融検査でバレる、というケースもあります。
もし違法性のあるオーバーローンがバレてしまったら、ローンの一括返済を求められたり、
金融機関から訴えられる、という可能性もあります。
こうなってしまうと金融機関との関係性が悪化し、今後投資をやってみたくても融資を受けることができない、という状態になってしまうでしょう。
ちなみに不動産会社だけでなく、物件の購入者が逮捕された、というケースもあります。
悪質な手口に引っかかってしまわないように、
また悪いことをしてお金を稼ぐ、ということをしないように、誠実に投資を続けていきたいですね。