不動産管理

親子間で賃貸を行い、家賃としての不動産所得がある場合の注意点

不動産を通した形で賃貸をする場合は明確なルールのもとで行うので問題ないですが、

親子間で空き家を貸したりして家賃としての不動産所得がある場合もありますよね。

 

親族間でのやりとりというのは実はとても難しいところで、

しっかりとした知識がないと税務署に目をつけられてしまいます。

 

今回は親子間で賃貸を行い、家賃としての不動産所得がある場合に注意するべきことについて解説していきたいと思います。

 

親子間で税金がかかる場合、かからない場合

 

親子間で賃貸をし、不動産所得がある場合

一番気になるのが、「そこに税金がかかってくるのかどうか」と言うことだと思います。

 

これは生計が同じ家族か、それとも別の家族かによって異なってきます。

 

生計を一にしているかどうかで変わってくる

 

生計が同じ家族であることを専門用語で生計を一(いつ)にしている親族と言います。

 

例えば

  • 同じ家で住んでいる親子で同じ生計で暮らしている
  • 単身赴任をしていて別々に暮らしているが、休みは帰ってきて、生活費の送金もしている
  • 学生で、別々に住んでいるが、生活費などを親に送金してもらっている
  • 介護が必要な親で、生活費や介護費用などを送金している

というような親子であれば、生計を一にしていると見なされます。

 

同じ財布の中で親子が生活をしているのであれば、

離れて暮らしていても生計を一にしていると見なされると考えて良いでしょう。

 

生計を一にしている親子間での賃貸の場合は

同じ財布の中でお金が移動している、という見なされ方をするので税金がかかってきません。

 

生計が同じ親なのであれば、親から不動産を借りている場合でも

そこに税金はかかってこないんですね。

 

借主の会計処理

 

借主の場合、

生計を一にしている親族から不動産を借りている時は、原則としてその家賃の支出を経費として計上することができないので注意が必要です。

 

ただし、生計を一にしている家族が所有する不動産にかかってくる固定資産税や火災保険料、減価償却費などの必要経費は

経費として計上することができます。

 

逆に生計が別である親子間で不動産を借りることがあれば、

家賃を必要経費として計上することができる、ということです。

 

貸主の会計処理

 

生計を一にしている親子間で不動産賃貸をする場合、

貸主としても「同じ財布の中でのやりとり」と見なされるので、不動産所得があったとしてもそれは所得とは見なされません。

 

ただし、生計が別である親子間なのであれば

親子であっても受け取った所得は不動産所得として計上しなくてはいけません。

 

他に給与所得がある場合は、20万円を超えて不動産所得がある場合

確定申告も必要になってきます。

関連記事:不動産収入の確定申告はいくらからしなくてはいけないの?

 

賃貸借契約書はしっかり作成しよう

 

親子間での不動産賃貸の場合でも、何かがあった時のためにきちんと賃貸借契約書を作成しておくことが大切です。

 

親族間でのやりとりというのは、不正な金銭のやりとりや、恣意的な操作がないかどうか

税務署もかなり目を光らせているものです。

税理士さんが「一番リスクがあるのは親族間での金銭のやりとりです」と豪語していました。

 

税務調査で親族間への賃貸がある場合は

賃貸借契約書の提出を求められることがあります。

親子間での貸し借りでもしっかりと賃貸借契約書を作成し、税務調査で求められてもいつでも提出できるようにしておきましょう。

 

また賃貸借契約書にある支払いに関する規定はたとえ親子間であったとしてもしっかりと守るようにしましょう。

 

家賃を払わなくてはいけない日にしっかりと家賃を払う、という基本的なところをきちんと守っておかないと

トラブルのもとになってしまいます。

 

親族間だとどうしてもルーズになってしまいがちですが、生計が別なのであれば

親子間でも家賃は不動産所得として計上しなくてはいけないものですから

きちんとルールを守って賃貸を行っていかなくてはいけません。

関連記事:家賃収入がある人がやっている税金対策とは?

 

親から借りてる土地での不動産所得について

 

また、中には親から無料で土地や建物などの不動産を借りていて、

その不動産を利用して賃貸経営を行っている、という方もいると思います。

 

こういった場合、不動産所得は誰の所得として計上されるものなのでしょうか?

 

土地も建物も親の所有物の場合

 

土地も建物も親の所有物で、不動産所得がある場合、

その所得は親のものと見なされ、所得税を払うのも親になります。

 

子が不動産所得をそのまま自分の収入として受け取っている場合は贈与と見なされ、贈与税がかかってきますので注意が必要です。

 

土地は親の所有物で、建物が子の所有物の場合

 

土地自体は親の所有物で、それを借り受ける状態で、建物を子が建て

その建物によって不動産所得を得ている場合は、建物が家賃収入の起因となるのでその不動産所得は子のものと見なされます。

 

この場合は所得税も子が払うことになります。

 

使用貸借契約書を作っておこう

 

有償で不動産を貸借することを「賃貸借」と言いますが

親子間などで無性で不動産の貸し借りをすることを「使用貸借」と言います。

 

親子間で手軽に無料で不動産を貸し借りすることがありますが、

不測の事態に備えて、使用貸借契約書をきちんと作成しておくことが大切です。

契約期間や禁止事項など、しっかりと条件を明記した使用貸借契約書を作成しておきましょう。

関連記事:マンション経営を親から継ぐ時に考えなくてはいけないこと

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