新型コロナウイルスの影響でおうち時間が増えたこともあり、ペットを飼う人が急増したというニュースがありました。
独身の方も増えていますし、ペットと一緒に暮らせるお部屋を探している人も多いように思います。
空室対策の一環として、自分が所有しているお部屋をペット可として貸し出してみるのはどうだろう?と考えているオーナーさんも少なくないのではないでしょうか?
ですが、物件をペット可にするのもなかなかのリスクが伴います。
今回は物件条件をペット可に変えようか悩んでいるオーナーさんに、まず考えるべきこと、知っておいた方が良いことをまとめてみました。
ペットは猫が人気!需要をまずは見てみよう
ペット可物件について、まずはそのニーズを調べてみましょう。
なんとなく「ペット可にしたら空室が埋まった!」というような噂を聞いたり、
空室が続いているから「ペット可とかにしたら埋まるかなぁ」と考えていませんか?
不動産投資では、何かを変える時は、その変更を是とするための根拠・理由があった方が良いと私は思っています。
数字をもってして、仮説を立てて試してみる、というのはマーケティングの基本です。
ではペット可物件のニーズがどれくらいあるのか、ということを見ていきましょう。
まず、一般社団法人ペットフード協会が毎年行っている「全国犬猫飼育実態調査」を見てみると、
2013年からのデータで、犬の飼育頭数は段々と減少傾向にあります。
2013年の飼育率が12.85%だったのに対し、2022年は9.69%と大幅に減少。
それに対して、猫の飼育頭数はほぼずっと横ばいが続いています。
2013年の飼育率が8.99%、2022年が8.63%です。
犬と猫だと猫の方がお散歩の必要がないですし、飼育しやすい、という側面があるのではないかと思います。
賃貸物件では、「ペット可」としていても、「ただし、猫に限る」というように、動物を限定しているオーナーさんもいらっしゃいます。
犬に比べると猫の方が鳴かないというのもあって、騒音問題に発展しにくいですから、そういった面でも少しリスクが低いですよね。
ペット可を検討しているオーナーさんは、まず最初は猫のみ可、という条件にしてみるのも良いかもしれません。
また、ペットの飼育状況に関する世論調査では、ペットを飼っていないと答えた人に対してペットを飼わない理由をたずねたところ、
- 十分に世話ができないから…43.5%
- 死ぬとかわいそうだから…37.6%
- 集合住宅(アパート、マンションなど一戸建てでないもの)であり、禁止されているから…23.1%
という結果になっており、
賃貸契約上ペットを飼えない、という人がある程度いることがわかりますね。
この結果を見ると、集合住宅に住んでいる4〜5世帯中1世帯はペットを飼いたいという気持ちを持っているということになります。
ペット可の賃貸物件は総数の中の10%程度と言われているので、やはりペット可物件に住みたいという人の需要にはまだ部屋数が追いついていない状況のようですね。
数字でみると、需要がある、ということは確かに言えそうです。
関連記事:築古戸建て投資をする人が知っておきたい、実際の入居者ニーズ
ペット可で空室対策にはなるけど、そのリスクは…?
ペット可物件にすることによって確実に空室対策にはなると思います。
ですが、そのリスクもまた大きいです。
まず猫可物件だけなら良いのですが、ペット可にすることによって、そのペットの鳴き声から騒音トラブルが起こる可能性があること。
せっかくペット可で新しい入居者を獲得しても、既存の入居者がそれを嫌がって退去してしまうという可能性があります。
さらに、床や壁がペットによって傷つけられたり、臭いがついてしまう、といったことがあり、
原状回復費用がものすごく高くなってしまう、というのが最大のリスクです。
このリスクをなるべく抑えるために、敷金を家賃数ヶ月分としたり、原状回復に関する特約をつけておく、などの対応が必要になるかと思います。
ちなみに私の物件では、ペットは不可としていたのに入居者が勝手に猫を飼ってしまっていた、というケースがありました。
結局この件については、保険で一部を補償してもらうことができたのでなんとかなりましたが、
下記記事タイトルにもあるように、原状回復費用が最初75万円かかる、という話だったのです。
ペットを飼っているとお部屋の損耗は本当に激しくなります。
100万円前後かかることは当たり前なので、空室対策でまずは何か他にできることはないか、ということを考えて、
それでもちょっと難しい、という時に最後に検討する手段、くらいで良いのではないかと思いますね。
関連記事:賃貸物件退去時に入居者が猫を飼っていて原状回復75万円!?
ペット可にしたら、後戻りできない
ペット可物件にすることによって、再度ペット不可とするのは難しくなります。
ペットを飼っている人が一度入居してしまえば、ペットを飼っている入居者全員が退去しないとペット不可に戻せないです。
その意向期間でも、新しく入ってきた入居者からしたら、「ペット不可だと思って入居したのにペットを飼っている人がいる…」と不満に思ってしまうでしょう。
ペット可の物件のニーズが高いとはいえ、全体数から見れば、ペットを飼っていない人の方が大多数であり、飼いたいとも思ってない人の方が多いのです。
つまりトラブルを招く種にはなりやすい、ということを十分理解しておきましょう。
ペット可の物件にすることによって空室対策になる部分はありますが、
逆にペットを飼っていない人のことを考えると、自分はペットを飼う予定がないのにわざわざペット可の物件に引っ越そう、とはならないでしょう。
ペット可にすることによって、単純に入居検討者の母数が増える、というわけではないのです。
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