賃貸経営には様々なリスクがありますが、その中でも大変なストレスになってくるのが家賃滞納リスクです。
家賃滞納をしてそのまま夜逃げされてしまった、ということもありますよね。
家賃滞納をしている入居者を「めんどくさいから」という理由で放置していまうオーナーさんは少なくないのですが、
その間空室でもないのに家賃は入って来ず、維持費だけがかかってしまいます。
とはいえ裁判などをしようと思ったら時間やお金もかかってしまうもの。
ただ家賃滞納者に関しては住民票によって追跡をすることができる場合があります。
今回は夜逃げしてしまった家賃滞納者を住民票によって追跡する方法について解説していきたいと思います。
他人の住民票ってとっていいの?
何ヶ月も家賃を滞納した挙句に連絡も取れなくなってしまい行方不明…と言う状態になっては、オーナーはどうしたらいいかわからないですよね。
裁判になるかもしれないし、お金や時間をかけてその人を探すのも大変な労力がかかるし…と頭を悩ませる人もいるでしょう。
そういった時にまずお金をかけずにできることが「住民票で追跡する」という方法です。
オーナーである他人が入居者の住民票を取得することができるのか?と疑問に思う人もいるかもしれません。
住民票をとることができるのは以下に該当する人です。
- 本人
- 本人以外の家族等の委任状持参の人
- 他人だが、住民票を請求するのに正当な理由・権利がある人
家賃滞納をされている場合は、この3番目の「他人だが住民票を請求するのに政党な理由・権利がある人」に該当しますので、住民票をとることができます。
夜逃げしてしまった滞納者も、住民票を動かしていれば新しい住まいを住民票から追跡することができる、ということですね。
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住民票を移していない場合
では家賃滞納者が住民票を移していない場合はどうしたらいいのでしょうか。
基本的には引っ越しをしてから14日以内には役所で転入届を提出しなくてはいけないことになっています。
住民票を移さないことによって5万円以下の罰金を課せられることもあります。
また、住民票を移さないと以下のような弊害が出てきます。
- 各証明書類が取得できない
- 郵便物が受け取れない
- 各種手当・助成金が受けられない、受け取れない
- 引っ越しが難しい
- 選挙に行けない可能性がある
- 免許証の更新ができない
- 国民健康保険の利用ができない
一般的に見るとかなり不自由なことですよね。
なので住民票はほとんどの人が移すものなのですが、中には家賃滞納をし夜逃げするのに慣れてしまっている人もいます。
そういう人の場合は、夜逃げした上で住民票も移していないという場合もあります。
ただし時間をあけてから住民票を移す場合もあります。
家賃の時効は5年なので、半年に1回程度住民票を取得してみる、というのも手です。
家賃滞納者を追跡する方が労力がかかると判断して、そのままオーナーが放置してしまい、結果的に家賃滞納者がそのまま逃げ切ってしまうケースもなくはありません。
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住民票以外の家賃回収方法
住民票を取得しようとする前に、すでに連帯保証人・保証会社への連絡は行なっているかと思います。
そこで住民票追跡をしてみても、住民票を移していなくて家賃滞納者の居場所がわからなかった、という時、
他にどのような家賃回収方法があるのでしょうか。
通常家賃滞納が続くようであれば
- 内容証明を打つ
- 支払い督促をする
- 少額訴訟or通常訴訟
を行うものですが、行方がわからない場合は内容証明も打てないのでは?と思いますよね・
基本的に賃貸借契約を解除するためには契約解除の意思表示をしなくてはいけません。
ですが夜逃げされてしまって滞納者の居場所がわからなければその意思表示さえできないということになります。
その場合は「公示の方法」によって意思表示することができます。
ただしこれは「相手の居場所がわからない」という要件を満たしていないと使えない方法なので、
まずは滞納者の住所地に、滞納賃料を指定した期間内に支払うことを催告し、
相当期間内に支払がない場合には賃貸借契約を解除する旨を記載した解除通知書を配達証明付内容証明郵便で発送し、それが所在不明で戻ってくるところまでをやらなくてはいけません。
そのあとに公示の方法を行います。
これは公示送達に関する民事訴訟法の規定に従い、家賃滞納者の最後の住所を管轄する簡易裁判所に申し立てをすることによって行うことができます。
ですがこれも、何棟も賃貸経営をしているオーナーにとっては非常にストレスになることですよね。
家賃滞納リスクを減らすために、家賃が少しでも遅れた時になるべく早く対応をすること。
さらにはあらかじめ、家賃滞納が起きた時にどこまで労力を割くか、ということも決めておいた方がいいかもしれません。
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