不動産投資を行うとき物件を購入するためにたくさんの物件を比較検討すると思うのですが、物件に擁壁(ようへき)と呼ばれる物が付いていることがあります。
建物の耐久性が落ちてしまうような作りになっている擁壁もありますので、擁壁のある物件に関してはいくつかのポイントをしっかりと確認しておかなくてはいけません。
今回は擁壁付きの物件のチェックポイントについて解説していきたいと思います。
擁壁とは
擁壁とは土を横方向に支えるために作られている壁のことで、家の下や周りにある擁壁の場合は、家を支えるための土を支えるため作られているもののことを指します。
塀とは少し異なり、中に土が入っていて、土台の役割を果たしているものです。
土を堰き止めるものは全て擁壁というくくりになりますが、家の周りに作られている擁壁には間知ブロックと呼ばれるブロックが使用されていることが多いです。
塀や擁壁などの傾きなどが気になって手を出せない物件などもあるでしょう。築古物件の場合はきちんとチェックしておきたいポイントです。
ちなみに2018年に大阪北部の地震があった際、ブロック塀が倒壊し女児が亡くなるというショッキングなニュースがありました。
塀に関しては1.2m以上のものを建てる場合は控え壁という補強用の壁が必要なのに、この控え壁がないもので、塀自体は1.6m。
さらに基礎部分が1.9mもあり、高さは合計で3.5mに及ぶものでした。建築基準法で定められている施工令の2.2mを大幅にオーバーしています。
築古物件は特に現在の建築基準では違法となっているものが多く、もちろんそういったもの全てが購入してはいけない物件というわけではないのですが、こういった重大事故につながるような欠陥のある不動産は避けたいですよね。
特に擁壁の場合はどこを見ていけば良いのでしょうか。
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擁壁には必ず水抜きがついている
擁壁には水抜きと呼ばれる、擁壁の内側にある土が含んでしまった水分を外に出すためのものが付いています。
これは3平方メートルごとに付けなくてはいけないものなので、もし購入を検討してる物件の擁壁に水抜きが付いていない、もしくは間隔が広すぎる場合は注意が必要です。
擁壁の内側の土にたまった水分を外に出すことが出来ず、擁壁が傾いていったり崩れたりする原因になります。
水抜きから土が出ている場合は危険
水抜きというのは擁壁の内側にある土が含んでしまった水分を外に出すために作られているというお話をしましたが、通常は水が抜ける部分はきちんと濾過ができるように組まれているものです。
しかし、そこの造りが甘いものは、水抜き部分から水と一緒に中の土が出ていってしまうんですね。
水抜き部分から土が水と一緒に流れ出てしまうということは、物件を支えている土がどんどん少なくなっていってしまうということです。
これによって陥没などが起き、物件が傾くなどの現象が起きます。
水抜き部分から土が一緒に流れ出ていないか、ということはしっかりとチェックするべき部分ですね。
もし土が一緒に流れ出てしまっていて、すでに土が少なくなり、建物が傾いているような場合は作り直しが必要になってきます。
擁壁部分だけ作り直せる構造なら良いですが、傾きがひどい場合は建て直し、ということになるでしょう。
その場合はかなり金額が大きくなってしまいますから、やはり擁壁のある物件はしっかりとチェックポイントを確認しておくことが大切です。
ちなみに、水抜き部分から土は一緒に流れていないけれど、水が勢いよく流れているという場合は、すでに土が流れ出きってしまって、水だけが流れているという状態になっている可能性もあります。
水抜きはいくつかついているはずなので、他の部分に比べて勢いよく水が流れている水抜きがある、という場合は注意が必要です。
高さが2mを越えない擁壁は建築確認が要らないので要注意
高さが2mを越える擁壁は建築確認が必要です。
証明書がきちんとあるか、ということを確認すれば擁壁がしっかり建築基準に則って作られたものかどうか、ということを確認することができます。
もちろん2mを越えている擁壁でも建築確認をきちんと取得していないものもありますので、「2mを越える擁壁だから大丈夫」ということではありません。
また裏を返せば2mを越えない擁壁の場合は建築確認などが必要ないため、いい加減な工法で作られているものもあるということです。
この場合は自分で確認をするしかないので、
- 3平方メートルに1つ程度の間隔で水抜きがあるか
- 土が一緒に出てるところはないか
- 勢いよく水が出ているところはないか
ということをしっかり確認しましょう。