個人での不動産投資において不動産を購入した時や、今まで扱っていた規模に比べて大きな規模の不動産を購入した場合、
税務署からお尋ね文書がくることがあります。
正確には「お買いになった資産の買い入れ価格等についてのお尋ね」という書類ですね。
今回はこのお尋ね文書について解説してみたいと思います。
税務署からのお尋ね文書はなぜくるの?
税務署のお尋ね文書は不動産売買があった時のみ送られてくるわけではなく、正確に言うと「大きな財産が動いた時」に送られてきます。
例えば相続をした時や株の売買で大きな金額が動いた時なども税務署からお尋ね文書がくることがあるんですね。
税務署は不動産購入時に登記をすることによって不動産を取得した事実を把握します。
金額が大きくなければ不動産売買をしてもお尋ね文書が来ないこともあります。
不動産売買の中でもキャッシュで購入した場合に届くことが多いです。
税務署からお尋ね文書がくると「何か悪いことをしたのだろうか!?」と驚いてしまうと思います。
中には税務署から来署依頼の連絡がくることもあるのですが、
税務署側のミスでちょっとしたことを確認したいがためにそういった連絡がくることもよくあることのようです。
きちんと返答すれば電話一本で済むこともありますので、冷静に対応するようにしましょう。
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お尋ね文書の内容
お買いになった資産の買入価格などについてのお尋ね、という書類が入っているので、そこに購入物件の詳細や購入者の年齢、年収などを記入し
さらに購入資金をどのようにして調達したのかを明記して税務署に返送します。
会社から発行してもらっている源泉徴収票や購入した不動産の登記簿謄本、売買契約書を参考にして書類に記入していきましょう。
- 共有者の持分割合
- 預貯金の金額
- 借入金の金額
- 資金の贈与
などの項目があります。
税務署は何を知りたいのか
これらお尋ね文書の項目で、税務署側が何を知りたいのか?というと
- 未申告の贈与が発生していないか
- 隠匿されている資金がないか
ということをチェックしています。
税務署からのお尋ね文書が来るのは大きな金額の財産が動いた時とお話しましたが、
税務署は財産が大きく動くことで発生するはずの納税金がきちんと納められているかということを確認したいというわけですね。
特に不動産購入の際は家族から贈与が発生していないか、ということが注目されます。
返済に無理のあるローンを組んでいたり、申告された所得や収入が明らかに購入した不動産の額に見合っていない場合などは
贈与税を納めるべき額の贈与が発生していないかが疑われるというわけです。
ちなみに父母などから基礎控除額である年間110万円を超える贈与があった場合は贈与税の申告が必須になり、納税義務が発生します。
また所得や預貯金から見て、あまりにも規模が大きすぎる不動産を購入していると
所得税を脱税した資金で不動産を購入したのではないか?という疑いも持たれてしまいます。
お尋ね文書は返答必須ではない
税務署からくるこのお尋ね文書ですが、法的な強制力があるものではありません。
そのため必ず回答しなければいけない文書というわけではないのです。
とはいえ、税務署から「この人はちょっと怪しいかもしれない」と思われてお尋ね文書を送られているわけですから
その上お尋ね文書を返送しないとなるとますます税務署側の不審感をあおることにはなります。
お尋ね文書をすぐに返送しないからといって税務調査が急にくるわけではないのですが、何度かお尋ね文書が送られてくるでしょう。
なるべく迅速に、そして詳細に返答することで、変に怪しまれずにことが済むならその方が良いと思います。
ちなみに税理士に業務を依頼している方であれば、税理士二回等をお願いすることも可能なので相談してみると良いでしょう。
お尋ね文書対策
お尋ね文書事態に法的強制力もありませんし、それほど驚くようなものでもないということはわかっていただけたかと思いますが
できればお尋ね文書を送られたくないですよね。
そのためにも、物件を購入する時は資金負担の割合と名義の割合を揃えておくことが大切です。
またお尋ね文書が届いた時にきちんと返送できるように、不動産購入の時に使った文書、資料などは全てきちんと保管しておくようにしましょう。
特に複数の物件を購入して運用している場合は、物件ごとに資料を整理しておく必要があります。
きちんと申告を行い納税をしていれば税務署から疑われることはありません。
逆にお尋ね文書に対してしっかりとした回答ができないと、後日税務署に来てくださいという通知がくることになります。
不動産投資を行う上で、こういった税金のこともしっかりと勉強しておく必要がありますね。