売買知識

買主から「自分で登記する」と言われました…そのリスクは?

所有している築古物件を売却することが決まり、現在売買にあたっての重要事項説明などを確認している最中なのですが、

買主さん側から「自分で登記する」と言われているそうで、それを管理会社の方からうかがいました。

今までいくつも不動産の売却をしてきていますが、「登記を自分でやる」と買主さんから言われたのは初めてです。

確かにブログやSNSを見ると「自分で登記はできる」というような記載があるものが増えてきている印象ではありますが、

不動産売買の登記というのは一般的には司法書士さんにお願いして行うものです。

その場合は権利証(登記識別情報)や印鑑証明書を司法書士さんに渡すのですが、自分で登記する、という買主さんの場合は、これらの情報を司法書士資格のない素人(買主さん)に渡すことになります。

これは少し不安ですよね。

今回初めて買主さんから「自分で登記する」と言われたので、

「自分で登記する」と言われた売主のリスクについて色々と調べてみました。

自分の覚書のようなものですが、そのリスクを書いていきたいと思います。

そもそも変わった買主さんかもしれない

まず、不動産投資を10年以上続けてきて、売買もそれなりに経験していますが、

登記を自分でやりたいと言われたのはこれが初めてです。

つまりこの買主さんは、かなり変わった方だ、と言えると思います。

最近は若い方だと空き家投資などにチャレンジされて、元手が少ないながらも不動産投資をコンテンツ化する、というようなやり方をされている方がいらっしゃいますから、

「全部自分でやってみた」というようなコンテンツ作りのための場合もあるかもしれませんね。(管理会社に聞いてみたところ、最近はご自分で登記する、という方も少しずつ増えてきている印象です、とのことでした)

あとは登記費用を削減したい、というケースもあるのかもしれません。

司法書士さんにご依頼すると、10万円程度は登記費用がかかるものですからね。

いずれにせよ、少し変わっている部分はやはりあると思いますので、売買が終わった後でも何かトラブルが起こる可能性がなきにしもあらずなのではないかなと思っています。

売却しようとしている物件も築古で色々問題のある物件ではありますので、それに興味を持ってくださる方ですから、悪い意味でなく、変わってる部分もあるのかもしれません。笑

関連記事:不動産屋の嘘!売買時にありがちな話を紹介します

登記が完了しない

きちんと登記を完了することができるのか、という部分がやはり心配です。

もしかしたら今までにもご自分で登記をされた経験がおありなのかもしれませんが、そこまでは私にはわかりませんし…

売買の時は色々な支払いを按分して、日付ごとで払う形になっています。

ですが登記が無事完了しなかった場合、予定の日付を超えても売主である私が支払わなくてはいけないものが発生する可能性がありますし、

固定資産税や都市計画税がずっと請求されてしまう、ということも想定できるでしょう。

また、登記の際に買主とは別の方の名義に変更されてしまう、というリスクもあります。

登記がスムーズにいかない可能性があるというのは色々な不安を生みます。

関連記事:不動産を購入する時にかかる登記費用はいくら?

他の物件も記載されている権利証の場合

不動産登記の場合、物件の権利証が必要となります。

そのため権利証をお渡ししなくてはいけないのですが、通常は司法書士さんにお渡しするものを、今回は司法書士資格のない買主さんにお渡ししなくてはいけません。

そして権利証に他の物件の記載もある場合、

売却する当該物件以外の物件も買主の名義で登記されてしまうリスクがあります。

不動産の登記というのは、物件がどういう建物なのか、ということを細かく書類にし、

その物件の所有者は誰なのか、ということを国に知らせるためのものです。

つまり、勝手に登記されてしまったら所有権を主張することができなくなります。

公的な文書で、所有権を証明するものがなくなってしまうわけですからね。

関連記事:建物未登記の物件、購入する時のリスクは?

リスクを考えると、買主に登記を任せるべきではない

ということでこれらのリスクを考えると、買主さんに登記を任せるのはあまり良くないな、という結論に至りました。

まずは仲介してくださっている会社に、司法書士さんを通して登記をしてもらうようお願いしていただけないか、言ってみたいと思います。

これが引く手数多の良い物件なら、「司法書士を入れない場合は売却できません」と言えるのですが、

なんにしろこの物件はかなりの築古で金額も相当安いので、買ってもらえるのはありがたいことなんですよね。

場合によっては、買主が負担するべき司法書士費用を売主が負担して、無理矢理司法書士さんを入れる、ということもあるようです。

売主である自分自身が買主とともに法務局に出向き、登記を見届ける、という方法もあるようですが、

地方の物件のため今回は現実的ではありません。

どうなるかはわかりませんが、とにかく登記を買主にお任せするのであれば、

登記完了後に登記簿謄本を取得して、きちんと買主の名義に変更されたか、というのはチェックしないといけませんね。

もちろん権利証に他の不動産が記載されている場合は、そちらの名義も改めて確認しておく必要があります。

関連記事:不動産売買契約、決済当日の流れ!実際に購入してみた

売買知識を学べるおすすめ記事
こんな記事も人気です