不動産投資をこれから始めようとしてりいる時に「団信」という言葉を聞く機会があると思います。
これは団体信用生命保険のことを指しますが、
不動産投資の中でも一番のリスクと言える「ローン」から家族を守ってくれる大切なものです。
今回はこの団体信用生命保険、通称「団信」について
団信に入るメリットや「本当に生命保険代わりになるのか?」ということを掘り下げていきたいと思います。
団体信用生命保険とは
団信というのは住宅ローンの返済中に債務者が亡くなってしまった場合や重い病気にかかってしまって返済能力がなくなってしまった時に
債権者に対してローンを代わりに支払ってくれる保険のことを言います。
ローンを抱えたまま債務者である家族が亡くなってしまった、という場合
家族がそのローンを支払っていかなくてはいけないような状態になってしまいます。
そういった状況を回避してくれるのが団信、ということですね。
がんなどの病気に対しても適用されるような団信が最近は増えてきているようです。
団信はマイホームだけでなく投資用物件でも加入することができます。
金融機関にとっても不良債権を抱えるリスクを回避することができるので、団信に入ることを融資の条件としているところがほとんどです。
団信に加入することによって、金融機関の住宅ローン金利から+0.2〜0.3%ほど上乗せされるのが一般的です。
複数の物件で団信に加入することも可能なので
すでにマイホームのローンで団信に加入していても、投資用物件を購入するためのローンで新しい団信に加入することもできます。
団信は生命保険代わりになる?
団信に加入していれば、万が一のことがあった時に家族にかける負担をなくすことができるだけでなく
不動産投資用の物件ローンであれば、家族に家賃収入というストック収入まで残すことができます。
そういった意味では一般的な生命保険よりもメリットが大きいと言えるかもしれません。
団信への加入が絶対ではなく、任意である金融機関もありますが
できれば団信へ加入してローンを組んだ方が良いでしょう。
団信に加入せずに一般的な生命保険に加入する、というパターンもありますが、
その場合は生命保険料が不動産投資の経費として認められない場合があります。
生命保険料が経費として認められるためには
- 生命保険契約が、ローンの条件である
- 生命保険の保険金の受取人が、ローンを組んでいる金融機関に指定されていること
という条件を満たしていなくてはいけません。
ただ、団信の保険料と生命保険の料金が同程度で
ローン残高以上の保険金額に加入できるのであれば一般的な生命保険の方がメリットがある場合があります。
生命保険であれば、団信とは違って受取人や保険金の金額についても自由に設定することができます。
注意が必要なのは団信を利用できるのは個人だけであり、法人で不動産投資を行う場合やローンの合計金額が高額(目安として1億円以上)の場合は団信に加入することができません。
相続税には注意!
団信に加入していると債務者に万が一のことがあった時にローン残高が団信の適用によりゼロとなります。
これは家族にとってはとても良いことのように思われますが、
ローン残高がゼロになることによって相続が発生する場合、相続税が割高になってしまうことがあります。
通常相続が発生する場合は、ローンなどはマイナスの資産ですから
相続される資産からローン分をマイナスした上で相続税が課税されます。
しかし団信の適用によってローン残高がゼロになってしまうと、マイナスできるローンがなくなるので
まるまる相続税がかかってきてしまうんですね。
相続税の観点から考えた時に、資産が多い場合は団信への加入に注意が必要です。
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団信の種類
金融機関によって団信の内容は細かく変わってくるものですが
大きく分けて3種類の団信があります。
基本の団体信用生命保険
債務者の死亡、もしくは高度障害状態に陥った時にローン残高が完済される
一般的な団体信用生命保険のことを指します。
三大疾病特約付団体信用生命保険
基本の団体信用生命保険の内容である「死亡、または高度障害状態」に加えて三大疾病である
- がん
- 脳卒中
- 心筋梗塞
になった場合に、ローン残高が補填される、もしくは完済されるのが三大疾病特約付団体信用生命保険です。
ただ、この疾病の診断だけで良い、というわけではなく
「所定の状態」であることが条件となっている場合がありますので
団信に加入する時に条件をきちんと確認しておくことが大切です。
つまり病気の程度による、ということですね。
八大疾病特約付団体信用生命保険
基本の団体信用生命保険の内容に加えて、八大疾病である
- がん
- 脳卒中
- 心筋梗塞
- 糖尿病
- 高血圧性疾患
- 肝硬変
- 慢性腎不全
- 慢性膵炎
になった際にローン残高が補填、もしくは完済されるのが八大疾病特約付団体信用生命保険です。
三大疾病特約付団体信用生命保険に比べるとより「所定の状態」の条件が厳しいことがありますので注意が必要です。
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