一般的な物件を購入するよりも破格の値段で購入することができるケースが多い競売(けいばい)物件ですが、
それゆえにデメリットもつきものです。
自身の自宅用に物件を購入するなら安い方がいいですし、
不動産投資用に購入するなら「安く買って高く売る」がやはり鉄則ですよね。
では競売物件にはどのようなリスクがあるのでしょうか?
競売物件とは
競売物件とは、借入金などの返済ができない債務者の物件を裁判所が差し押さえ、入札形式によって売り出された物件のことを指します。
つまり、借金をする時に担保として入れられた物件で、結局お金を返すことができなかったから裁判所に取られてしまった物件、ということですね。
競売物件の最低売り出し価格は裁判所から委嘱された不動産鑑定士が決め、その価格は市場価格の約5割〜6割程度となります。
最低売り出し価格だけ見るとものすごく安いんですね。
普段市場には出まわらないような珍しい物件を安くで購入できる可能性があるのが競売です。
手続き関係も裁判所と一緒に進めることができるので、一般的な物件の購入より煩雑な手続きがありません。
競売物件のデメリット
内見できず、得られる情報が限られる
競売物件は内見することができません。
所有者や占有者の許可なく物件の内見をすることはできず、競売物件は差し押さえ物件なので、競売に出されている時点では内見をすることができないのです。
不動産を購入する時は内見できちんと自分の目で見て、触って、現状を把握するのが一般的ですから、これはかなりのデメリットだと言えるでしょう。
落札した競売物件が、中を見てみたら現状調査報告書とはかなり状況が違った、ということもよくあることなのです。
競売物件についての諸情報は裁判所が作成される「三点セット」と呼ばれるものが主な資料となります。
この三点セットは
- 物件明細書
- 現況調査報告書」
- 評価書
の三つです。
物件明細書
物件に関する権利についてまとめてある明細書です。
競売後に引き継がなくてはいけない貸借権の有無についても書かれており、貸借権がある場合はすでにその物件を借りている人がいる、ということになります。
現状調査報告書
現状の物件の使用状況についてまとめてある報告書です。
裁判所から現地に派遣された執行員が作成します。
内見できない競売物件でも、建物内部の写真などがこの現状調査報告書に添付されていますので、重要な書類です。
ただ、この現状調査報告書は競売にかけられる数ヶ月前に作成されるものであり、実際に物件の明け渡しの時にこの状況である保証はありません。
評価書
競売物件の周辺環境、評価額、図面などが掲載されています。
一般的な物件とは違い、「競売にかけられる」ということを考慮した価格付けがされています。
購入は現金一括のみ
競売物件を落札することができたら、裁判所が指定する日時までに現金で入金をしなくてはいけません。
融資を受けられるケースもありますが、競売物件の場合はかなり審査が厳しいです。
ちなみに定められた期日までに振込ができない場合は、事前におさめている保証金は変換されずに没収されます。
占有者が反社会的勢力の可能性がある
占有者が反社会的勢力との繋がりがある可能性も捨て切れません。
通常は強制執行により退去を促すことができるようになっているのですが、居座りなどをされることもあります。
その際に反社会的勢力と繋がりがある占有者の場合だと、落札者が脅されたり、といったことも可能性としてはなくないです。
瑕疵担保がない
一般的な不動産を購入する場合、もし購入した物件に重大な欠陥があることが後からわかったら、売主がその責任を負います。
これを瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)と言いますが、競売物件の場合は売主がいません。
裁判所が執り行う競売によって物件を購入することになるからです。
なので瑕疵担保がない物件を購入することになります。
物件や鍵の引き渡しも保証されない
競売物件では名義の書き換えは裁判所が行ってくれますが、占有者や所有者の立ち退きまでは裁判所は行ってくれません。
つまり物件や鍵の引き渡しは競売物件では保証されていない、ということになります。
占有解除の交渉や手続きは落札者が行わなくてはいけません。
関連記事:競売物件のトラブルとしてありがちな占有者の居座りと対処法とは
滞納金を負担しなくてはいけない
区分所有の建物を落札する場合は、滞納している
- 管理費
- 修繕積立金
- 駐車場代金
などがある場合は落札者がこの滞納金を負担しなくてはいけなくなります。
これらの金額も踏まえた上で落札価格を考えなくてはいけません。
一発入札
競売物件はオークション形式ではなく、一発入札になります。
色々な手間をかけて入札をしても、自分よりも高い金額で入札をしている人がいれば物件を購入することはできません。
買える保証がないのに、労力と時間をかけて入札に挑まなくてはいけないのはデメリットだと言えるでしょう。
競売物件の購入は玄人向け
競売物件を購入するデメリットについて書いてみましたが、競売物件を購入するためには色々な障壁があり、
自宅にせよ収益物件にせよ、競売物件を購入するのはかなり難しいので玄人向けだと言えると思います。
初めての不動産物件購入で競売物件の購入、なんていうのはやめた方がいいと思います。
不動産の相場や、見るべきポイントなどをしっかりと理解できているプロでも、競売物件はなかなか難しいものがあります。
関連記事:中古物件でローンが組めない場合に考えられる理由は?