賃貸物件において、入居者が「退去する時にウォシュレットを残していきたい」という交渉をしてくる場合があります。
ウォシュレットというのは一応商標なので、不動産業界界隈では温水洗浄便座というのが通称になるわけですが、このウォシュレットを残置物として残していくという提案について、
オーナーはどのようなことを考えれば良いのか、解説してみたいと思います。
お部屋の設備が増えるわけですし、「メリットしかないのでは?」と考える方もいらっしゃると思います。
しかし残置物の扱いは少し難しいところがありますし、実はデメリットになってくる部分もあるので、入居を検討する人たちがどのようなことを考えるのかということを踏まえて、お話ししていきます。
賃貸物件でのウォシュレットの扱い
ウォシュレット設備がついていないお部屋の賃貸で、入居者の方でウォシュレットが欲しい場合、入居者負担でウォシュレットをつけてもらうことになります。
その場合は必ず管理会社、オーナーに相談をする必要があります。
お部屋自体はオーナーが入居者に貸し出しているものになりますので、新しく設備をつける場合はきちんと相談をしなくてはいけないはずです。
さらに、入居者の方で新しくつけた設備は、退去する時に全て元通りに戻す必要があります。
基本的な考え方として、新品であったり機能的に問題なく使えるものであったとしても、それらを残していくということはできず、お部屋を借りたときと同じ状態で返す、ということが入居者には求められます。
借りた状態と同じ状態に戻して返すことを原状回復と呼んでいるわけです。
関連記事:オーナー側のアパートの原状回復費用、何にどれくらいかかる?
ウォシュレット取り付け・取り外しの費用相場
ちなみにウォシュレットの取り付けと取り外しにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?
費用相場としては、
- 取り付け工事:10,000円〜
- 取り外し工事:5,000円〜
程度になります。
全て入居者の方で行なってもらう場合はウォシュレットの本体代金と取り付け工事取り外し工事のどちらの料金もかかるということになりますね。
ウォシュレットを購入した店舗で取り付け工事も一緒に行ってくれる場合もありますし、取り外し工事もセットで含んでいる料金を提示しているところもあります。
ウォシュレット付き物件は人気がある
ウォシュレット付きの物件に人気があるのは確かです。
賃貸物件を探す大手の不動産ポータルサイトでも、物件のスクリーニング条件に温水洗浄便座を項目として取り入れているところが多いからです。
ウォシュレット付きの物件じゃないと決めたくないという人がいるからこそこのようなスクリーニング条件があるのだと考えれば、このスクリーニングに引っかかるためにもオシュレットつき物件であることで露出が増えることは間違いないでしょう。
一見すると前入居者にウォシュレットを置いて行ってもらうことは悪いことではないような気がします。
関連記事:空室対策のための設備、ウォシュレットの取り付けについて
ウォシュレットを残置物にするリスク
ではウォシュレットを残置物にした時どのようなリスクがあるのでしょうか?オーナー目線で考えていきましょう。
設備になってしまう
前の入居者が残していった後スレッドが設備の扱いになってしまい、次の入居者が使う中で故障した場合オーナーの負担で修理をしなくてはいけなくなってしまいます。
修理で治らない場合は新品のウォシュレットを購入しなくてはいけなくなります。壊れたからウォシュレットはそのまま使わないことにしよう、というのはできないわけです。
ウォシュレットが壊れた時に修理業者を手配しなくてはいけないなどの手間も増えますので、トラブルを引き起こしやすくなると言えるでしょう。
設備の扱いではなく残置物として扱うように契約を行うということもできます。
契約時に残置物の扱いになるので、故障した場合は修理などは入居者の方で行なってくださいという旨を説明し契約書にも記載があればオーナーの管理ではなくなりますので楽になると思います。
ただしこういった残置物に関しては、「付帯設備」と「残地物」は全く違うものであるということが入居者にとっては常識ではありません。
そのためトラブルに発展しやすくなる部分はあると思います。
管理会社に管理を委託しているのであればオーナーが直接やり取りをすることはなくなりますので、入居者から問い合わせがあっても管理会社の方で「そちらは残置物です」という案内をしてもらうことができます。
それであればウォシュレットを残置物として置いて行ってもらっても問題はないかなと思います。
他のお部屋からの要望に繋がる場合も
アパートなどの集合住宅を経営している場合は、「インターネットで募集要項を見たら隣の部屋にウォシュレットが付いていたので、自分の部屋にも取り付けて欲しい」というような連絡がくる場合もあります。
もちろん全てのお部屋を平等にする必要はないのでオーナーの采配次第になるとは思いますが、多少家賃の設定価格などを見直さなくてはいけなくなる部分もあるかもしれません。
そういった意味で考えることが多くなり、煩雑になるのが嫌で、入居者が退去する時に取り外しをお願いするオーナーもいます。
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