投資用の不動産を購入する際に銀行差し押さえ物件を検討される方もいらっしゃると思います。
今回は銀行差し押さえ物件を購入する際にどんなことに気をつけたらいいのか、ということをまとめてみたいと思います。
銀行差し押さえ物件とは?
銀行差し押さえ物件とは、銀行が抵当権を行使して強制的に差し押さえる物件のことで、
最終的には裁判所を通して競売にかけられるので、競売物件とも呼ばれます。
抵当権とは住宅ローンなどのローンを融資している銀行が、債務者(お金を借りている人)の不動産を債権回収のために担保にできる権利のことで、
債務者がローンの返済が滞ったり出来なくなった時に、抵当権を行使して不動産を差し押さえ、裁判所を通して競売にかけて売ることで、現金を得て、ローンの残債分を回収するという仕組みになっています。
不動産のローンとなると金額もかなり大きなものになります。
いくら属性的に収入が安定しているといっても、それだけの金額をポンと金融機関が貸してくれるわけではありません。
貸したお金を回収できなくなるリスクを金融機関は負っているので、もし回収できなかった時は、不動産を没収することができるように、抵当権というものを設定するわけですね。
そしてそれが銀行差し押さえ物件として競売にかけられます。
一般的に売り出されている不動産とは内容が異なりますので、もちろん銀行差し押さえ物件は購入前に慎重に検討する必要があります。
また、ローン返済未払い以外にも物件が差し押さえになるケースがあります。
それが、
- 税金の滞納
- 借金の滞納
というケースです。
銀行だけに限らず、税金の滞納があれば国も不動産を差し押さえることができます。
また、住宅ローン以外にも借入があり、その返済がとどこっていれば、やはり債権者が未払い金を回収できるように不動産の差し押さえを行います。
関連記事:不動産投資における銀行融資で銀行員が見ているポイント
銀行差し押さえ物件のメリット
では銀行差し押さえ物件を購入するメリットを先に見てみましょう。
なんと言っても差し押さえの物件は一般的な物件に比べて安い、というのが一番のメリットです。
差し押さえ物件は市場価格に比べると3割ほどやすい価格で購入できる場合が多いです。
とにかく安く買う、ということを優先するのであれば、銀行差し押さえ物件はおすすめです。
ちなみに差し押さえ物件は競売物件とも言いますが、一般物件とは購入する手順が異なります。
一般的な物件の場合は不動産業者が仲介に入りますが、競売物件の場合は裁判所を通してオークション形式となっています。
オークションなので場合によっては安く買えない場合もありますが、掘り出し物件が多いことに間違いはありません。
また、一般的な住居だけでなく、投資用物件(一棟もののアパート)や店舗やビル、土地といったさまざまな種類の物件があるのも差し押さえ物件の面白いところです。
銀行差し押さえ物件のデメリット
銀行差し押さえ物件は多くのデメリットがあります。
特に不動産投資初心者には少し難易度が上がるんじゃないかな、と思いますね。
事前内見できない
物件を事前に内見することはできません。
債務者がまだ住んでいることがほとんどで、裁判所からもらう写真や書類などでしか物件の中の様子がわからないのです。
競売物件は普通にネットで見られるので探してみるとわかりますが、中には汚部屋になっている、というものも少なくないです。
のぞくだけでものぞいてみると本当に色々な物件があって結構楽しいですよ笑
瑕疵担保責任がない
通常は物件を購入直後何か不具合が合った場合、売主が修繕の負担をしてくれるというのが瑕疵担保責任(今は契約不適合責任という言い方になりました)ですが、
これが競売物件の場合ですと売主不在ということになりますので、ありません。
購入後に「思ってたのと違う!」となっても、保証などは何もない、というのが競売物件なのです。
関連記事:瑕疵担保責任の民法改正で不動産経営はどんな影響を受ける?契約不適合責任とは?
引き渡し義務がない
差し押さえ物件の一番のデメリットといってもいいのがこれです。
売主不在の売買においては、裁判所に対象物件の引き渡し義務がありません。
そのため、売主や第三者が未だ住んでいる、という状態だった場合、その退去や残地物の撤去なども買主責任となります。
購入して所有権はうつったのに、対象物件にはまだ売主が住んでいる…みたいなことが起きやすいのが競売物件の怖いところなのです。
- 鍵の引き渡し
- 隣家との境界線の確定確認
などもありません。
物件を買ってから強制退去のための裁判手続き…なんてこともあり得るので、どうにも不動産投資初心者には手を出しにくいとは思います。
ですが中には、最初から競売物件で投資を始めたという方もいらっしゃいますし、初期費用を抑えたいのであれば検討してみてもいいかもしれませんね。
関連記事:不動産を購入する時にかかる初期費用、その内訳について解説!