家にインターネット環境があるというのが当たり前になってきた今の時代、アパートやマンションの経営をしていく上でネット回線の設備を整えるということを検討するオーナーさんも増えていると思います。
今回は大家さん向けにネット回線の設備について、導入のメリットやその仕組みなどを解説していきたいと思います。
アパートにネット回線を導入するメリット
まずはアパートにネット回線を導入するメリットについて解説していきます。
最近はインターネット回線がすぐに使えるかどうかということを第一条件としてお部屋を探す人も増えてきました。
特に若い世代から喜ばれる設備ではあるので、単身者向けのアパートの場合はネット回線を導入するメリットは大きいと思います。
「wifi・インターネット無料」で検索する人が増えている
賃貸アパートやマンションを探す時に「wi-fi無料」「インターネット回線無料」というような条件で検索をし、お部屋を探す人が急増しています。
賃貸物件を探すときにまずはインターネットで物件を絞り込むという人がほとんどですからね。
つまり賃貸物件まとめサイトのような所で絞り込み条件にある条件を物件の設備として加えることによって、よりお部屋が上位表示されやすくなるということです。
空室率を上げるためには物件の露出を増やさなくてはいけません。
ネット回線の導入、というのは非常に大きな影響を及ぼしてくれると思います。
類似物件と差別化できる
基本的にインターネットで物件の絞込みをしているユーザーは類似物件を比較して物件を決めます。
そういった時に一つでもメリットが多い物件にするでしょう。
同じような立地、同じくらいの家賃なのであれば、ネット回線の有無によって入居が決まるかもしれません。
「入居してから即日で使えるネット回線」というような注釈を入れるのも、他の物件との差別化になって良いと思います。
退去防止
ネット回線を無料で提供することによって退去防止にもなるかと思います。
というのも、通常個人がインターネット回線を契約して回線を使おうとすると月に4000円から5000円ほどの費用がかかるのが一般的です。
それをずっと無料で使い続けることができるお部屋に一回住んでしまうと、引っ越しをした時に回線代がプラス5000円かかるというふうに考えられるので
「それであればもう少しこの部屋に住もうかな」と思ってもらいやすくなるでしょう。
もちろんネット回線があるということが大きな決め手になる、とまでは言えませんが
お部屋の設備として一つのプラスのポイントになると思います。
家賃を上げることができる
ネット回線を導入することによって家賃を多少あげることもできます。
例えば、すでに入居している入居者に向けても「家賃プラス3000円で毎月インターネット回線が使い放題になります」というような告知をすれば加入してくれる人もいるでしょう。
個人的に契約をするよりもアパート全体でインターネット回線を契約した方が確実に安いので、そのぶんの値段だと思って家賃の値上げに納得してくれるケースも多いです。
関連記事:アパートの空室が埋まらない理由として考えられるもの
各部屋でインターネットを使えるようにする仕組み
各部屋でインターネット回線が使えるようにする仕組みとして一番手っ取り早いのは全部のお部屋のインターネット契約を大家側でしてしまうという方法です。
しかしこの場合お部屋ごとに5000円前後の契約料金がかかってしまいますので、大きな出費となってしまいます。
なのでよく使われている方法として「光ファイバー回線を一本だけ引き込み、そのネット回線を全部屋でシェアする」という方法があります。
全部屋でシェアするためには有線LAN形式と無線LAN形式の二つの方法があります。
有線LAN形式
有線LAN形式の場合は建物自体に引き込んだ1つの回線をハブを介して各部屋に分岐させる方法です。
無線LANの場合は障害物があるとどうしても回線が不安定になってしまいます。
特に壁などの障害物があるとすぐに回線が途切れてしまうので、各部屋に有線LANケーブルで引き込む形が一番安定してインターネット回線をシェアすることができる方法だと思います。
特に仕事などでネット回線を使う人の場合はある程度の速さが出る回線じゃないと使えないので、
有線LANでシェアをしているところの方が良心的だと言えるでしょう。
有線LANの場合はパソコンなどに直接LANケーブルを差し込む形になりますが、
無線ルーターを買ってくればお部屋まで来ている有線LANにルーターを繋げるだけで部屋の中でwi-fiを使うことができるようになります。
無線WiFiの速さはルータの値段にもよるところがあるのでピンキリではありますが、安いルーターであれば3000円前後で購入することができます。
入居者特典として付けてしまってもいいでしょう。
無線LAN形式
無線LAN形式は建物に引き込んだ光ファイバー回線を無線LANルーターを介して各部屋に電波を飛ばす方法です。
先ほどお話ししたように有線LANでシェアをするよりも圧倒的にこちらの方が回線が不安定になってしまいますしセキュリティ面も不安です。
ただしお部屋に導入工事をする必要がないので導入自体はすぐにできます。
入居者の都合なども考えずに導入することができるでしょう。
木造のアパートの場合はこちらの方法でもいけなくはないですが、鉄骨やRCマンションの場合はこの方法だと電波そのものが届かない可能性もあります。
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ネット回線導入コスト
さてネット回線の導入コストですが、
建物自体に通信機器を導入するのが大体10万円前後。
各部屋への有線LANの引き込み工事が2万円から3万円程度。
と考えると、大体6部屋あるアパートの場合で20万円から30万円程度のコストだと言えます。
そこに月額費用がかかってきますが、これはインターネット回線一回線分ですので1万円いかない程度です。
ただしもともとの回線が遅い回線だと有線LANでせっかく分岐をさせても回線速度が落ちることがありますので、光ファイバーで1Gbpsうらいの速度がある回線を選んだ方が良いでしょう。
大掛かりになリフォームなどするよりはコスパがよく、新しい設備として付加するメリットが大きいのがネット回線設備だと思います。