老朽化などが原因で持っているアパートを解体し、建て直したい、となった時に
問題になってくるのが、現在入居している人たちへの立ち退きのお願いだと思います。
これが原因でトラブルが起きてしまうことは少なくありません。
物件は経年劣化により、必ず寿命がくるものです。
持っている物件を解体しなくてはいけない、という事態もいつやってくるかわかりません。
今回はアパートを解体する時に、
入居者へ立ち退きをお願いする時の注意点について書いていきたいと思います。
立ち退きの正当事由を明確にしておく
まず、立ち退きを求めるには正当事由が必要になります。
これは借地借家法第28条に定められた正当事由で、
もし建物の解体がこの正当事由によるものでない場合は、立ち退きを承諾してもらうことは難しいです。
この正当事由では「建物の現況」という項目があり、
ここに難点があれば、立ち退きをお願いする際に正当事由として認められます。
耐震診断士に診断してもらえば、その家屋が「倒壊・破損のおそれがある家屋」かどうかということがわかります。
そういった正当事由があれば、要は住んでいる人にも住み続けることが難しい、ということが証明できますので
スムーズに退去してもらえる可能性が高くなります。
特に築古物件の場合は耐震基準が旧耐震基準で建てられているため、
新耐震基準では基準を満たしていない、という建物もあります。
日本は特に地震大国ですし、
大きな地震などで倒壊する恐れのある物件だ、ということが証明できれば、それは立派な正当事由になります。
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6ヶ月以上前に退去勧告をする
入居者に立ち退きをお願いする場合は、実際に退去をお願いしたい日付の6ヶ月以上前に退去勧告をしなくてはいけません。
借地借家法第27条で義務付けられていることで、
6ヶ月以内の退去勧告だった場合は、入居者は応じなくてもいいことになっています。
トラブルを避けるためにも、退去勧告は余裕を持ってするようにしましょう。
また、契約解除の1ヶ月前にも再度通知を行う必要があります。
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立ち退き料について
正当事由がある上での立ち退き勧告で6ヶ月以上前に勧告を行っているにも関わらず、
入居者が立ち退きを承諾してくれない場合もあります。
そういった場合は立ち退き料を支払うことも視野に入れなくてはいけません。
立ち退き料は必要?
アパート解体にともなって立ち退きをお願いする時、
立ち退き料を払わなくてはいけない、という義務があるわけではありません。
ただ、立ち退き料は借地借家法第28条のおいて「建物の明け渡しと引き換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする」という項目があり、
これを支払うことによって、正当事由の効力が高まる、と考えれば良いと思います。
つまり、立ち退き料は入居者に納得してもらうための要素の一つ、ということですね。
実際立ち退き料をもらえるなら退去してもいい、という姿勢の入居者は少なくありません。
穏便に事を進めたいのであれば、立ち退き勧告をする際に
立ち退き料を支払う旨もあらかじめ伝えておくと良いでしょう。
立ち退き料の算出方法
賃貸物件の場合、立ち退き料の明確な規定があるわけではありません。
一応目安としては、新たにアパートを借りるための費用(引越し費用+敷金礼金などの初期費用)が目安になるでしょう。
多いケースとしては
- 立ち退きをお願いしてから、実際に契約解除をするまでの家賃の免除
- 敷金を返還する
- 引っ越し費用を負担
- 引越し先の契約金を負担
という感じですね。
大幅にそれを上回る値段を要求された場合は、
それを支払う義務があるわけではありませんので、弱気にならず、なるべく話し合いで解決できるように、お互いの妥協点を探っていくことが大切です。
立ち退き料をめぐるトラブル
正当事由として示した事由を、解体のための正当事由として認めてくれなかったり、
法外な値段の立ち退き料を要求してくる、というような入居者もいます。
借地借家法では確かに入居者が有利になるような内容になっていますが、
それでも正当事由があって、6ヶ月前に立ち退き勧告をきちんとしているのであれば、
解体のための立ち退きは正当なものとして認められるはずです。
どうしても入居者が納得してくれないようであれば
不動産会社や簡易裁判所窓口などに相談してみると良いでしょう。
理想としては話し合いで穏便に解決できることが理想ですが、
それができない入居者もいます。
そういった場合は、裁判に発展してしまうこともあります。
許容範囲の値段なのであれば、ある程度は入居者の要求する立ち退き料の条件をのむのも穏便に済ませるためには必要かもしれません。
裁判に発展したら、それなりに費用もかかってきますし、
何より膨大な時間を割かれてしまうので、
必要経費だと思って立ち退き料を多めに払った方が、最終的にはお得になるかもしれません。
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