どうしても融資がおりない、という時の裏技的な融資方法としてバックファイナンスというものがあります。
今回はこのバックファイナンスについて解説してみたいと思います。
バックファイナンスとは
バックファイナンスとは、一旦不動産を自己資金、つまり現金で購入し、
その後に金融機関からの融資を受けてキャッシュポジションを上げる(自己資金の減少を回復させる)ことを言います。
本来はバックファイナンスは金融手法ではないので、初回取引からバックファイナンスを拒む金融機関も存在します。
支店長次第で融資スタンスが変わる、と言うイメージですね。
バックファイナンスの申し込みから着金までは、金融機関の支店決済で済む融資量なら4週間ほど、本部決済になると5週間ほどが目安となります。
各金融機関での対応
各金融機関のバックファイナンスへの対応をざっくり書いてみます。
銀行の場合
不動産業者向けのバックファイナンスはほとんどのメガバンク、地方銀行で対応してもらえず、
財務内容が良かったり、取引実績が長い事業者の場合は対応してくれる場合がある、と言う感じです。
銀行が財務内容の判断に使う資料は、
- 直近の試算表
- 不動産の在庫一覧表※各プロジェクトの住所、簿価、ひも付き金融機関、進捗が記載されいること
- 借入残高表
- 販売実績一覧表
といったものになります。
信用金庫や信用組合の場合
信用金庫、信用組合だと、バックファイナンスも融資審査をしてもらえます。
一部の信用金庫は初回からバックファイナンスだと融資審査をしてもらえないこともありますが、
銀行のようにバックファイナンスは資金使途が明確じゃなきゃいけない、といったことはないです。
日本政策金融公庫(国民生活)の場合
日本政策金融公庫の場合は不動産の仕入れ資金であってもバックファイナンスが可能です。
ただ、不動産の仕入れ決済前に日本政策金融公庫にバックファイナンスをお願いしたい旨を伝える必要がありますので、ここは注意が必要です。
日本政策金融公庫は日本全国の不動産を担保としてみます。
不動産の決済は日本政策金融公庫の支店で行う必要があり、不動産中外業者のオフィスなどでは決済できないんですね。
関連記事:不動産投資の融資に関する基礎知識!金融機関や条件など
難易度は高い
不動産を購入する時に、現金で購入できる買主というのは強いです。
基本的に不動産売買時は、買付の申し込みが入った順番が優先されるものですが、
一番手が融資特約付きで、二番手が現金ということであれば、売主判断で二番手に先にお話がいくこともあります。
こればかりは売主さんの判断によるものですので、どうしようもありません。
融資特約付きだと本当に購入してもらえるかどうかもわかりませんから、現金で購入してくれる人を優先したい気持ちは分かります。
そうなってくると、融資を待たずにさっさと現金で買って、あとから融資をしてもらうバックファイナンスという手法も魅力的に映りますよね。
現金で購入できる余力があるのであれば、そちらの方がいいかも…と思うでしょう。
ただこのバックファイナンスというのはあくまで裏技的な手法です。
簡単にできるものではないと思っておいた方が良いでしょう。
バックファイナンス頼みで先に物件を購入するのも怖いですしね。
日本政策金融公庫はバックファイナンスが出ることもたまにあったようなのですが、最近は特に難しくなっているようです。
普通は物件を購入する際に担保を設定して融資をするのが一般的ですからね。
不動産投資事業のための融資という形ではなく、
あとから事業の運転資金として、不動産投資とは関係ない融資を引く、というやり方もあります。無担保融資ですね。
安全に行くのであれば、事前に金融機関と相談をして、「融資をお願いした場合、いくらまで借りられるか、条件はどうなるか」ということを聞いておくと良いと思います。
その範囲の中で不動産を買うようにすれば、リスクを抑えられるでしょう。
もちろん実際に審査をしてみたら「融資不可」となることもありますので、それでも回していける規模の不動産を購入するしかありません。
関連記事:【不動産投資】融資審査を有利にする事業計画書、何を書けばいい?
デメリット:規模が小さくなる
バックファイナンス目当てで不動産を購入すると、どうしても自分の手持ちの現金で購入することになりますので、購入できる不動産の規模は小さくなります。
バックファイナンスが確実なものでもないので、さらに規模は小さくなるでしょう。
不動産投資はレバレッジをかけられることで収益性を高めることができますので、レバレッジがかけられない、というのがバックファイナンスの最大のデメリットです。
多少現金があるから持っておくだけよりは何か収益を生み出すものに換えておいた方がいいかも?という程度なら良いと思うのですが…
そういう方法もあるんだ、くらいに思っていただけたら良いのではないかと思います。
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