2021年に賃貸不動産経営管理士という資格が国家資格になりました。
不動産投資を行うオーナーの方は、聞いたことのある資格なのではないかなと思います。
今回はこの資格がどのような資格なのか？
どんな範囲を勉強すれば取得できるのか。この資格を使ってどんな仕事ができるのか。
取得をするメリットなどについても解説してみたいと思います。
賃貸不動産経営管理士とは
賃貸不動産経営管理士とは、賃貸住宅管理の適正化・健全化に貢献することを目的に活動できる人のための国家資格です。
賃貸住宅の管理をする上で必要な技能や倫理観を持って、賃貸住宅の管理にあたる人。
賃貸住宅の管理業務を行うには業務管理者の設置が義務付けられているのですが、
その業務管理者になるのに、賃貸不動産経営管理士の資格を持っていることが要件の一つになっています。
つまり、不動産投資家のための資格ではなく、
管理業務を行う人のための資格ですね。
ただ、管理を行う上での実務に直結することも学ぶことができるので、
不動産投資家も学んでいて損はないと思います。
不動産投資は特別な資格がないと出来ないというわけではなく、誰でも始めることができる投資ですが、
中には宅建なども取得してから投資を始める、というオーナーさんもいらっしゃいます。
賃貸不動産経営管理士はどのようなことを学べる？
実務に直結する知識、というと具体的にどんなことなのでしょうか？
賃貸不動産経営管理士の資格では、以下のようなことを学ぶことができます。
- 管理会社が行っている仕事がどんな仕事なのかがわかる
- 賃貸借契約に関連する法律を学べる
- 賃貸募集の流れがわかる
- 建物や設備の基礎知識を学べる
特に賃貸借契約に関連する法律は知っておいて損はないと思います。
こういった契約書はある程度雛形があって、それを流用することが多いので、
隅々まできちんと読んで理解ができているという人は少ないでしょう。
ですが入居者とトラブルが起きた際に一番最初に見なくてはいけないのは賃貸借契約書です。
契約書は雛形を管理会社の方で作成してもらっても、特約的なものを追記することをお願いしたりすることもできるので、
知識があればそういった応用もできますよね。
例えばペットも特定のペットなら可としたり、その場合に原状回復時に別途お金がかかる旨を記載したり、といったことがあります。
そういったことを行う場合も、賃貸借契約書に関する知識があると便利です。
賃貸不動産経営管理士の試験内容は具体的には以下の通りです。
・管理受託契約に関する事項
・管理業務として行う賃貸住宅の維持保全に関する事項
・家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
・賃貸住宅の賃貸借に関する事項
・法に関する事項上記のほか、管理業務その他の賃貸住宅の実務に関する事項
関連記事：賃貸物件の管理、どの時期に何をする？
試験を受ける資格、試験の難易度
賃貸不動産経営管理士の資格試験には年齢制限や学歴などの制限はありません。
ただ、宅建士同様、賃貸不動産経営管理士になる、となると、試験に合格をした上で登録を行う必要があります。
試験には制限はありませんが、この登録には下記の要件があります。
- 管理業務に関し2年以上の実務の経験を有する者
- その実務の経験を有する者と同等以上の能力を有する者（※実務経験2年とみなす講習の修了をもって代える者等を指す。）
難易度は他の不動産関連資格と比べると低く、合格率は平成25年には80%台と高かったのですが、
令和2年には30%を切り、国家資格になった現在、さらに難しくなっていく可能性があります。
最低でも100時間は勉強する必要があると言われており、
そもそも不動産業界初心者、という方にとってはそれ以上の勉強時間が必要になりそうな試験です。
関連記事：不動産投資の勉強はどうやってやればいい？
不動産投資家にとって必要な資格なのか？
どちらかというと管理会社で働く人が責任者になる場合は必要になってくる資格かなと思いますが、不動産投資家も取得しておけば役に立つ資格だと思います。
特にその資格を使って何かするというわけではなくても、資格取得を目標に勉強するだけで、投資に役立つ知識が身につくでしょう。
普段管理会社の方達とお話ししていると、結構管理の担当の方というのは不動産オーナーの方にひどい言われ方をしている人も多いんですよね…
それは多分、管理の仕事がどんな仕事なのかわかっていなくて、投資家の目線だけで物事を話してしまうからだと思います。
どんな風にお願いすれば管理会社の方がやりやすいのか。どんな流れでやってあげれば、管理会社の方にとって良いオーナーになるのか。
そういったことを考えることも不動産投資を行う上では重要だと考えています。
管理会社の方は一緒にビジネスを行うパートナーでもありますから、
相手がどのようなお仕事をしているのか、ということが見えてくれば、よりスムーズに一緒にお仕事をしていくことができるでしょう。
もちろん法律関係の知識があることは、自分の投資事業にも大きな力になると思います。
特にこれから不動産投資を学びたいという方で、何か目標があった方が頑張れるという方は、
この資格取得を目指して勉強してみるのもよいかもしれませんね。