不動産を購入するまでの流れの中に買い付け申込書というものを提出する、ということがあります。
買い付け申込書を記入して提出するので、「これを提出してしまったら物件を必ず購入しなくてはいけないのか?」と不安になる方もいるでしょう。
今回はこの不動産購入の買い付け申込書について、その意味とどのような効力があるのか、キャンセルすることは可能なのかということを解説していきたいと思います。
買い付け申込書とは
買い付け申込書とは、購入を検討している物件を内覧し、物件が気に入って購入しようという段階になった時に、不動産の仲介業者に対して提出をするものです。
買付証明書や買受証明書、購入申込書などといった呼び方をされることもあります。
購入を検討している物件は売り出し価格が明示されていると思いますが、買い付け申込書は必ずしもその金額を書かなくてはいけないというわけではありません。
「この金額であればこの物件を買います」という意思表示をするのが買い付け申込書なので、値下げの余地があるのであれば売り出し価格よりも少し値段を下げて買い付け申込書を書いても良いのです。
誰だって物件を安く買いたいと考えますから、売り出し価格よりも低い金額で買い付け申込書を書く不動産投資家が多いです。
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買い付け申込書と売買契約書は別物
買い付け申込書にはいろいろな呼び方があって少しややこしいですが、売買契約書と買付申込書は全く違うものなので注意が必要です。
売買契約書は実際に購入が決まった段階で交わす契約書で、契約を解除した際の手付金や違約金の扱いなどが明記されており、この契約を交わす際は実際に手付金も払わなくてはいけなくなります。
申込書とは全く別のものなので、内容などきちんと確認してから書類を記入するようにしましょう。
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買い付け申込書を書くタイミング
買付申込書を書くタイミングとしては、購入を検討している物件を見学した後になります。
見学直後に申込書を書く場合もありますが、2〜3日空けてから、どれくらいの金額で買付申込書を書くか、ということを検討し、申込書を書くことが多いです。
買い付け申込書を提出した後は売買条件の交渉に移り、その後交渉が成立すれば売買契約の締結という流れで進んでいきます。
申込書の内容
申込書に書く内容としては以下のような内容となります。
- 申し込み日
- 買主に関する情報…氏名、住所、印鑑
- 売買価格…希望の購入額を記入します
手付金・内金…売買契約の時に支払う手付金をいくらにするかを記入しておきます。手付金は売買価格の5%から10%にするのが一般的です。 - 売買契約日…売買契約を締結する希望日を記述しますが、実際には交渉が成立してからになりますので、記入した日付になるとは限りません。
- 引き渡し日…売買契約日同様、交渉が成立した場合いつ引き渡しをして欲しいのかということを記入する部分ですが、こちらも記入した日付になるとは限りません。
- ローンの利用有無と借入予定額…不動産を購入するにあたって、ローンを組むことも多いと思いますが、実際どれぐらい借り入れをする予定なのかということを記入しておきます。ローンがおりるかどうかは分からないので予定で大丈夫です。
- その他の条件…何か他に条件をつけたい場合は記入しますが、基本的には売主にも仲介業者にも敬遠されてしまうので、何か条件を付けることをはあまりありません。
- 対象物件…物件の所在地や面積などを記述します。基本的には仲介業者が記入しておいてくれると思いますが、間違いがないか再度確認するようにしましょう。
買い付け申込書に書式の決まりなどはなく、これらの項目は不動産業者がで雛形を持ってきてくれて記入できるところは記入しておいてくれるものです。
それに記入してある項目も一度確認するようにはしましょう。
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買い付け申込書に法的効力はない
買い付け申込書に法的な効力はありません。
売主に対して買主側が、「この物件を購入する意思があります」という意思表示をするためのものが買い付け申込書です。
買い付け申込を入れた後で、「やはり購入するのをやめる」ということになった場合でも、違約金などのペナルティが発生することは基本的にはありません。
とはいえ相手に購入の意思表示をするのが買い付け申込書なので、物件を抑えたいからといって複数の買い付け申込書を同時並行的に出すというような行為は行わないようにしましょう。
きちんとその物件を購入する意思があるときのみ買い付け申込書を提出します。
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申込書の有効期限
買い付け申込書の有効期限は一週間から二週間程度が一般的です。
これは仲介をする不動産業者によって決められていることが多く、買い付け申込書が入ってから金額交渉にすぐに入っていくので、金額交渉もそれくらいの期間で決着がつくと思っておいてよいでしょう。
基本的には金額交渉は1〜2往復くらいが一般的です。
何度も長くやり取りをして金額を詰めていくということはあまりありません。
最初からあまりにも売り出し価格から離れている金額を申し込まない方が良いということです。
もちろん投資家は儲けのことを考えなくてはいけませんから、その塩梅が難しいところですけどね。
あいだに立っている仲介業者の担当者と相談しながらどれくらいの値段で交渉できそうかということを考えていくと良いのではないでしょうか。
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