不動産売買時には大きなお金が動きます。
売る側も買う側も、きちんと売買が完了するまで結構な時間があり、緊張するものですが、
どうしても額が大きい分、クレームが出たりトラブルに発展することも少なくありません。
不動産売買時にどのようなクレームが出たり、トラブルが起きるのかについて解説していきたいと思います。
売却後のクレームと瑕疵担保責任
不動産売却後に一番起きるクレームが
- 設備に問題があった
- 雨漏りする
- 床鳴りする
というようなクレームです。
どんなに確認していても、家は住んでみないとわからないことが多くありますから
売却後にクレームが出てしまうこともあります。
そういったクレームをつけて、わざと請求をしようとする悪質な人もいなくありません。
住んでみないとわからない、という不安を抱えながら高額な不動産を購入するのは買主にとっても不安なことです。
だからこそ、重要事項説明や売買契約書などの段階を踏んで不動産売買が行われるようになっており
実際に買い付けを行ってから、不動産売買が正式に成立して不動産を明け渡すためには最低でも1ヶ月〜2ヶ月ほどの時間を要します。
売主側では気づかなかった点でも買主からすると「生活する上で支障がない経年劣化」だとは思えないようなこともあります。
そういった時に売主側に修繕の義務が発生する、ということを瑕疵担保責任と言います。
瑕疵(かし)というのは見えない不具合や欠陥のことで、
住んでみて後から気づくもののことを指します。
あらかじめわかっているような不具合は契約書に明示されていますからね。
瑕疵担保責任には以下のような不具合、欠陥があります。
- シロアリ
- 腐蝕
- 雨漏り
- 給排水管の故障
- 建物の傾き
- 境界、越境のトラブル
- 地盤沈下
- 土壌汚染
- 騒音、振動、異臭
など。
瑕疵担保責任については民法第570条に規定があり、
その責任は民法の債権消滅時効により10年まで続くので、どちらかというと圧倒的に売主には不利な内容になっています。
しかも瑕疵の範囲については規定がありません。
しかしこの民法第570条は任意の規定であるため、
不動産売買契約書によって瑕疵の範囲を限定することも可能です。
売買契約書に瑕疵の責任について書かれた条項が必ずありますので
こちらをしっかりと把握した上で売買を行うようにしましょう。
クレームを避けるために大切なこと
不動産売買におけるこのようなクレームやトラブルを避けるために
あらかじめ注意しておけることがいくつかありますので紹介していきたいと思います。
信頼できる仲介業者を選ぶ
不動産売買の際は不動産仲介業者が間に入ってくれます。
信頼できる不動産仲介業者を選ぶ、ということがとても重要で、
不動産売買時のクレームに対して真摯に対応してくれる業者もあれば、トラブルは売主と買主に丸投げ、というような業者もあります。
売主や買主だって、不動産売買に慣れている人は少ないですから
不動産のプロである仲介業者にしっかりと間を取り持ってもらうことが重要です。
いくつかの仲介業者と話をしてみて、担当者ともきちんとコミュニケーションが取れるような仲介業者を選ぶようにしましょう。
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記録をとっておく
水回りや床鳴りなど、全てのポイントを買主と一緒に見て回り、
それらの記録をしっかりと残しておくことが大切です。
一緒に見て回ることも大事ですが、それが記録として残っていないと、あとからクレームになってしまった時に
対応が難しくなってしまいます。
できれば写真や動画などを撮って記録に残しておきたいところですね。
瑕疵担保責任についてしっかり学んでおく
瑕疵担保責任についての知識をしっかり持っておく、ということも大切です。
不動産売買をするのであれば売主であっても買主であっても
この瑕疵担保責任については知識が必要です。
曖昧な部分の多い規定だからこそ、売買契約書で具体的な内容を明記しておいた方があとあとトラブルになりにくいですし
それを把握した上で売買契約を進められた方がお互いに良いでしょう。
ちなみに競売物件の場合は売主がいない、という扱いになるので
瑕疵担保責任を負う人がいません。
競売物件の購入を行う場合は注意が必要です。
関連記事:競売物件のトラブルとしてありがちな占有者の居座りと対処法とは
買主と売主のコミュニケーションをしっかり
あとあとクレームが出たりトラブルに発展しないために大切なのは
買主と売主の間にしっかりとコミュニケーションを築くことです。
物件は一緒に中を見て回り、経年劣化などが見られる箇所に関してはしっかりと説明をすること、
その記録も取っておくこと。
大きいお金が動く不動産売買ですから、お互いに相手に配慮をし
円滑な売買を進めていきたいですよね。